あらすじ
博雅より雨乞いの勅を届けられた晴明。既に高僧・寛空による請雨経法や陰陽寮の天文博士である兄弟子・賀茂保憲による五龍祭など雨乞いの儀式も予定されている。晴明は保憲の手伝いを断り瓜を届ける。そして晴明と博雅は若狭の霊泉を目指す。そこで瓜を受け取った晴明は水に関わる聖地を移動し術を施し続ける。晴明の思惑通りに雨は降るのか? 「安倍晴明 天の川に行きて雨を祈ること」を収録。
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Posted by ブクログ
『安倍晴明 天の川に行きて雨を祈ること』雨が降らず、地も人の心も乾ききった平安の都に雨を降らせるため、晴明と博雅が7つの瓜を奉納しつ水に縁のある神を祀った聖地巡礼の旅に出る。最後に単純に雨が降ってめでたしめでたし…ではなく、この過程が生きながらにしてもう一度生まれ直すという魂再生の劇的展開で閉められるところが見事。文字通りの感動の雨嵐でした。晴明と博雅の訪れた地を実際に歩いてみたくなりますね(無理だけど)。夏は避暑旅行にいいかも。
雨乞いの旅は結果として、雨だけでなく兄弟子との確執にこだわっていた自らの心を解き放つというおまけがついていたと言うけど、晴明にとってはこちらがメインだったのかも。真葛が「もうオヤジをいじめたりしません」とはらはら泣くところはいじらしくて可愛くて思わず手でなでなでしてしまいました。大人になったね、真葛。
なんという清々しいお話であったことだろう。
コロナウイルスが蔓延している今この時も、雨の降らなかったこの時と何か共通しているのだろうか?助けて晴明様。
Posted by ブクログ
「原作を越えた」と原作者の夢枕獏に言わしめた作品。絵の美しさと大胆な展開が他の追随を許しません。漫画の域を超えています。特に後半の、原作からどんどん飛躍していく物語に関して、僕はおそらくその10%くらいしか理解できていなく、正直なところ「玄象と巻き物かわいいな」、くらいの勢いの駄目読者なのですが、その世界観には大いに感銘を受けました。
10巻以降、辞書みたいな厚さで、腕が疲れます…。
Posted by ブクログ
『陰陽師』では、この巻が一番好きです。
清明が雨乞いの旅をする話。
この清明と博正の旅を、わたしもやってみたいんですよね。
白州正子さんの『十一面観音巡礼』とあわせて読むと、さらに楽しめます。
Posted by ブクログ
「安倍晴明 天の川に行きて雨を祈ること」
若狭から吉野までを旅して雨乞いをする。
地図を見ながら読むとまたおもしろそうだと思った。
昔の人は、現代より本当に特殊な力を持っていたのか、もっと「命のめぐり」に敏感だったのか。
今回も、自分にも忘れた力があるのかもしれないと思いながら。
Posted by ブクログ
この巻は、「安倍晴明 天の川に行きて雨を祈ること」の一話のみで構成されています。
日照りがつづく京の都で雨乞いの儀式がおこなわれることになり、陰陽寮の加茂保憲も駆り出されることになります。しかし晴明は、奉納する瓜を保憲に預けて、彼自身は博雅とともに六つの地を訪ね歩き、この天地を構成する水のエレメントの神秘に参究しつつ、彼自身の心の奥底に渦巻いていた保憲との反目意識についての自己内対話がおこなわれることになります。
ストーリー構成について見るならば、ほとんど破綻をきたすといわなければならないほど、本筋を外れた描写が延々とつづくのですが、それでもあまり退屈することなく読むことができるのは、秀麗な絵の力のおかげでしょうか。