あらすじ
【ページ数が多いビッグボリューム版!】人類という種が、単独で行えるギリギリの行為、エヴェレスト南西壁冬期無酸素単独登頂――。それは、長い間、人間を拒み続けてきた。その神の領域とも言える登攀に、孤高の単独クライマー・羽生丈二が、全てを捨てて、挑戦する!! 巻末に、谷口ジロー[もうひとつの山嶺]収録
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Posted by ブクログ
「それで、どうなんだあんたは。何故山に登る?」
「正直・・よくわからないな。あのマロリーは、そこに山があるからだとそう言ったらしいけどね。」
「少なくとも、俺は違うね。そこに山があったからじゃない。ここにおれがいるからだ。おれにはこれしかなかった・・これしかないから山をやっているんだ。」(p.83)
ここでテントを張ることができるのは唯一この岩の下だけだ。しかもここの狭いこの場所だけなんだ。他の場所にテントを張れば、ひと晩に何度か必ず落石が襲う。それが頭部にあたれば死ぬ。眠る時もその姿勢でいることだ。もしザックの上に上体を被せて寝込んでしまったら落石が直撃する。おれが山だったら、そういうミスを犯す人間の頭には遠慮なく石を落とす。(p.270)