夢枕獏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
連載時の清明が舞を舞う回で、それまで編み上げたいくつもの旋律が織り合わさって、交響楽曲を聴いているかのような不思議な高揚感にみまわれた。パズルのピースがことごとく嵌っていくような。一度完成した絵から、また別のピースがコロンと落ちたかのような巻末頁の構図に、何度見ても戦慄を覚える。
この巻を読むだけでは意味が繋がらないので、未読の人にはぜひ1巻から通しで読んで欲しい。
6巻の博雅と物の怪との一期一会の横笛セッションも、余韻も含め完璧。
問題はこの後の展開。岡野さんが読者を置き去りにどんどん自己の世界に入っていったため、宇宙人と交信しているかのような感じになっていく。残念。 -
Posted by ブクログ
「そこに山があるからだ。」
山に登る理由を聞かれて登山家ジョージ・マロリーはこう応えたそうです。
マロリーとアーヴィンはエベレストへの世界初登頂への挑戦の途中に消息を絶ちました。
これはそんなマロリーが持っていたカメラがネパールで偶然見つかるという事から始まる2人の山に魅せられた男、山岳写真家の深町と孤高の登山家羽生の話です。
足が動かなければ手でゆけ
手が動かなければ指でゆけ
ゆびがだめなら歯で雪を噛みながらすすめ
歯もだめなら目で歩け
目でにらみつけながら歩け
目でもだめだったら、ほんとうにどうしようもなくなったら
思え ありったけの心で想え
これほ