真山仁のレビュー一覧
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真山仁『当確師』光文社文庫。
当選確率99%を約束する選挙コンサルタントの聖達磨を主人公にしたリアリティーあふれる選挙小説。
当選と落選とでは天国と地獄。選挙の時ばかりは平身低頭で有権者に御願いするのだが、当選するや手のひらを返したようにふんぞり返り、利権を貪る議員ばかり。今も昔もそれは同じで、そんな選挙にまつわる政治の裏側を面白可笑しくドラマチックに描いてみせた真山仁の手腕には感心する。
『当確師』を名乗る聖達磨という選挙コンサルタントはなかなかの策士で、過去に当選が危ぶまれる候補者を大逆転の大差で当選させるなどの奇跡を起こしてきた。
そんな聖達磨の元に来年秋に行われる高天市の次期市 -
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ネタバレ2021年3月20日記述
黙示(もくし)
真山仁氏による著作。
2013年(平成25年)2月に新潮社より刊行された。
2015年(平成27年)8月1日発行(新潮文庫)
ハゲタカや当確師などの著作を持つ真山仁氏の作品。
1962年大阪府生まれ
1987年同志社大学法学部政治学科卒
同年4月中部読売新聞(のち読売新聞中部支社)入社
1989年11月同社退職
1991年フリーライターに
2004年『ハゲタカ』(ダイヤモンド社)でデビュー
政治、経済を舞台とした作品が多いのだなと思った。
著者は同志社大学法学部政治学科卒とあるのでその経歴から来る元来の志向と
いうものも影響しているのだろう。
当 -
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登場人物が一気に絡み合い、周囲の思惑や時代の流れや、澱のようにたまっていた思惑や欲望が一気に渦のように終盤に向かって加速していきます。
一人ひとりの人物像がとても鮮やかに描かれていて、引き込まれる音が聞こえるほどです。気が付くと原発の建屋の中にいるような感覚に陥るかもしれません。
警鐘や警告は、いくら鳴らしても、現実に起きるまでは杞憂として扱われます。オオカミ少年なのか真実の語り部なのかは、大きな出来事があって初めてわかるです。
今もテレビで、ネットで語られるさまざまな言説の中に登場人物のような人々も、生きているのかもしれません。
その先がどうなるのか、続編のないラストシーン -
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「オペレーションZ」 真山仁さん
1.購読動機
取材、参考書籍の量をもとに、リアリティに小説の世界を投影しつづける真山さん。
「小説だからこそ、ありえないだろ?!が描ける。」
その志向を好きな読者が、真山さんの小説を読みつづけるのでしょう。
私も、そんなひとりの読者です。
2.オペレーションZとは?
Z。アルファベットの最後も文字。そう、後ろがないということ。
プロジェクト名の由来は、ここにあります。
日本がデフォルト、企業でいえば倒産するまえに、財政の構造改革を目指すというもの。
具体的には、単年度で、日本全体の支出を半分にする、国の借金を減らす原資をつくるというもの。
3.本から -
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『虚像の砦』真山 仁氏
0.本書より
「報道とは、道に報いるとかく。」
「報道にひとが関わる以上、ある程度の主観が入る
は当然である。
ただし、大切なのは、様々な角度から事件が取り
あげられることが必要である。」
「報道とは、闇に光をあてること。
闇をそのまま捨ておかないこと。」
1.虚像の砦の舞台
舞台は、民放キー局です。
本年度は5年に一度の免許申請の時期です。
向こう5年間の財務の安全を総務省に開示、説明が必要となります。
主人公は、報道部門の中堅と、バラエティ部門の中堅の2名です。
報道の彼は、時同じく起きた、海外渡航禁止区域での邦人誘拐事件に当たります。
バラエ -
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『バラ色の未来』真山 仁著
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
1.内容
国内のIR初誘致。
低迷する地方か?それとも総理のお膝元か?
①外資カジノ運営会社②政府③メディア④広告代理店。
この4者が、IR誘致というプロジェクトに対して対峙しあう。
2.真山さんのメディアに対する想い
真山さんは、記者経験のある作家さんです。
真山さんのメディアに対する想いを拝見することができます。
「取材なんて人に教わるもんじゃない。
事件が記者を鍛えるんだ。」
「記事。
社会に伝えるべき事実だと思えば、
躊躇してはならない。」
3.⭐️5この理由
IRがよい、悪いではなく、そのプロジェクトを何の目的でとらえ -
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(上下巻合わせてのレビューです。)
真山さん最新の文庫本。
実は文庫化が待ちきれなくて、
映画まで見に行った作品(しかも一人で)。
予想通りというか期待通り、文句なしの★5つです。
日本の架空の自動車メーカー(アカマ自動車)をめぐる
主人公ゴールデンイーグルと中国ファンドの大買収合戦劇。
中国という国家の大きさや複雑さが物語に表現されていて、
今まで以上のスケールの物語になっています。
ハゲタカシリーズもこれで3作目。
もう続編はないのかなぁ。。
なかなかこれまで以上の作品を出すのは難しいですが、
真山さんには頑張ってもらいたいなぁ。。
(なんて、思っていたら、続編が次々に出ているようで -
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オペレーションZ
最近読んだ小説で一番面白い小説であった。昨年から密かに個人的な真山仁ブームが来ているが、ハゲタカシリーズよりもテーマとしては面白い。
日本政府が赤字国債を発行し続けている現状へのアンチテーゼ。前職の総理大臣が体調不良でダウンし、急遽バトンタッチした内閣総理大臣・江島が日本の国債の問題を解決に導く為に、歳出を半減させるという政策を行うもの。半減の根拠としては、歳入と均衡させるというもので、これ以上赤字国債を増やさないための対応策である。歳出半減の計画を実行するにあたり、主に財務省官僚が特別チームと作り、オペレーションZと名付けられたこの政策の実行に奔走するというお話。
歳出半 -
購入済み
北京五輪開催に合わせて世界最大級の原発を稼働させようとする中国が舞台。日本人エンジニア、
密命を帯びて赴任した中国の官僚、オリンピックの記録映画を撮ることになった気鋭の映画監督
の三人の視点で物語が展開する。日本の常識が通用しない中国では、きっと多くの日本人ビジネ
スマンが苦労したに違いない。それにしても中国の権力闘争はあまりにえげつない。腐った連中
が富と権力を独占し、肥え太っていく様には怒りを通り越して恐ろしさを感じる。「諦めからは
何も生まれない。希望とは自らが戦って奪いとるもの」という一節が心に残った。オリンピック
開催直後に発生した原発事故は、まるで福一の事故を予言してい