真山仁のレビュー一覧
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ネタバレ経済小説ですが、日本経済の入門書だと強く感じました。同時に政治小説としても読めますし、エンターメントとしても抜群に面白い作品でした。文庫本で650ページにわたる大作ですが、一気に読んでしまいました。
日本の経済問題や財政問題にはとても疎く、漠然と借金が莫大であるという知識しかない私にとって、とても衝撃的な内容でした。フィクションでありながらとてもリアリティーを感じさせてくれたのは、巻末に示された圧倒的な量の参考文献です。
テーマは多岐に渡ります。財政赤字が1,000兆円の件、国会破綻(デフォルト)、IMFや海外の国家破綻の事例、アベノミクスの功罪、地方財政の破綻ー夕張市(作中は北海道の架空 -
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コミニュケーション論は初めから半分見落としているのがわかる。
SNSが普及した社会では、簡単に関係が切れる。安心を手軽に得られると同時に、社会から脅迫されている。関係性が意気投合のみだったら流動性を失って世界が閉じる。「それでいいんだよ」は危険な言葉だ。
「相手がなにを考えているのかを知ることからコミニュケーションが始まるのなら、文学がそれだと思う」と、読書中のメモに書いたがそのあとに著者もそのように書いていた。自分の考えをはっきり捉えるために、他者の考えに反応することが大事というところがよかった。
島国村社会だけでいられなくなった日本人に必要なのが文学小説だった。他者を疑うのではなく言 -
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ベイジン 真山仁
2008年の北京オリンピックに合わせて、中国が世界最大の原子力発電所の運開を目指す。そんな中で、日本の技術者と党本部規律検査委員会の役人が、それぞれの役割を全うしながら、想いを胸に同一のミッションに進んでいく。原子力発電所の光と闇に、3.11の前にこれだけ切り込んでいる真山仁の慧眼にさすがに舌を巻く。同時に、本書は他の真山仁の作品と比べても主人公が青臭く、セリフが熱い。何度も名シーンと呼ばれる部分があり、その度に感涙するほどの良いシーンがたくさんある。
また、本書とは関係が薄いが、真山仁は「関西人のおっちゃん」が好きなのだろうなと最近思う。ハゲタカシリーズの飯島、コラプテ -
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『黙示』真山仁著
テーマ ★★★★★
問題提起 ★★★★★
現代社会とのつながり ★★★★★
(直近の輸入食品中心とする、為替も理由として食糧高騰。)
【A;購読動機】
ハゲタカの真山さん。好きな理由は、新聞記者出身でいらっしゃるため、参考文献が豊富なうえでの展開であることです。
過去、カジノ、地熱エネルギー、原発事故など社会性が高いテーマで展開されていました。
今回のテーマは「食糧問題」です。
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【B;テーマと登場人物】
テーマは食糧問題です。増え続ける世界人口と不足しはじめている食糧を彫り上げます。
日本は、自給率が低いです。
どのように国内外から食糧を調達していくの -
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批判的思考力を身につけることや、氾濫する情報の中から「正確」なものを選び抜く能力、情報を受け取ったときの他人の反応を正しく予測し、「報道されない事実」に目を向けることで情報発信者の意図を想像すること、これらの力を身につけることが情報化社会を生きてゆくためには不可欠だと言われています。
国家間の戦争から、SNSで炎上する個人間の意見対立まで、その根本には「自分の主張が正しい」という信念や、「間違っている相手を正そう」とする(間違った)正義感があります。
世間にまん延する(自分にとって居心地の良い)「正しさ」を疑うためには、歴史的な背景を含めた正確な知識が必要だと言われますし、そのための「教養」 -
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真山仁『それでも、陽は昇る』祥伝社文庫。
東日本大震災と阪神・淡路大震災の二つの被災地が抱える葛藤を描いた三部作の完結編。
早くも阪神・淡路大震災から28年、東日本大震災から12年の歳月が過ぎた。28年前の阪神・淡路大震災ではテレビに映し出された倒壊した阪神高速道路に衝撃を受けた。12年前の東日本大震災では建物の中で激しい揺れに掻き回されながら死を覚悟し、ワンセグで観た大津波と福島第一原発が爆発する光景に絶望を味わった。
未だに東日本大震災の津波による被災地は復興の途上にある。震災から数年後、当時の首相は『原発はアンダーコントロールだ』と大嘘を吐き、東京五輪の誘致に成功した。燃料デブリの -
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そして、星の輝く夜がくる 真山仁
1.小説より
「人は大切なことは、決して忘れない。
けどな、過去に縛られたらあかん。
大切なのは、今日であり、未来やろ。」
多くの事件、事故がニュースで流れます。
そして、また、新しい報道で上書きされていく日常です。
それらに対して、私自身が何を感じ、何を考えているのか?
時間をつくることにより、少しだけ遠い未来を想うことにつながっています。
そんなことに気づかせてくれた作品です
2.購読動機
久しぶりの小説を読むにあたり、取材から掘り下げて執筆する真山さんをチョイスです。
ドラマ「ハゲタカ」のあと、バラ色の未来/カジノ誘致、虚像の砦/放送認可