真山仁のレビュー一覧
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何ものをも恐れず権威権力をものともせず立ち向かう鷲津政彦、企業買収を絡め、宿敵とも思える人物との戦いが引き続き展開される。
「俺は悪党じゃないさ。正義の味方だ。ただ、世間の正義とおれの正義が違うだけだ」と語り、さらに「悪いか?カネには色も国も、そして民族もない。ただの金だ。それをどう使うかは、使う人間が決める。・・・世界中の金を使って、この愚かな国に思い知らせてやるのさ。本当の再生とは何かをな」と、嘯く。
深謀遠慮と権謀術数を駆使し、企業買収を繰り広げる彼を駆り立てる源泉は何なのか、その回答が最終章で明らかにされる。
上巻のプロローグでの出来事が、ここで繋がる。
ある人物に接近し執拗に追求める訳と、鷲津政彦の行動の源泉がここにあったとは。
宿敵とも位置づけられる人物に対し、「売国奴、望むところです。私の願いですよ。この国をぶっ潰すためなら、命なんて惜しくないですよ。正義のためなら死ねますから・・・」と、極めつけの言葉を言い放つ。
ハードボイルド的なストーリーと、緻密に構成されたこのシリーズ、続けて読まずにいられない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大きく三部構成で、ノンフィクションか?というくらい、実際の事件・企業を(ちょっとだけ名前を変えて)登場させつつ、その裏側を掘り下げつつ作り上げるような内容になっています。
第一部 バルクセール
三和銀行の不良債権処理に関して
第二部 プレパッケージ
東ハトの民事再生に関して
第三部 バイアウト
足利銀行/金谷ホテルの破綻/再建に関して
ハゲタカのえげつなさ、日本の大銀行のだらしなさ、いいように利用される政府の無力さ、などなどに感じるイライラを楽しむ小説ですが、そんな中で考えさせられるポイントも多数あって、勉強にもなります。
例えば、足利銀行は預金保険法102条第3号と言う処理で、いったん破綻させるので、株式が無価値になってしまう。小泉/竹中ラインの強硬路線の良い面もあるかもしれないけど、地元の企業は融資を受けるために地銀の株式を持たざるを得ない状況で、そんなことをされたら一気に経営危機に陥ってしまう訳です。
(これは2008年時点の感想です)
ふと思い出したのが、「亡国のイージス」他、福井晴敏の一連の小説。
クールな主人公と、憂国感みたいなところが、ちょっと似てるのではないでしょうか。 -
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面白かった。
総裁選挙に絡み22年前に報道されなかった疑獄事件が、再び総裁選の中で密かに頭をもたげてくる。
そんな状況の中で当確率99%の選挙コンサルタント聖達磨は外務大臣の本多さやかの参謀に就いたが、聖の真の目的をカモフラージュしながらギリギリの票読を続けていた。
一筋縄では済まない政界の裏の動きや、総裁選挙に絡む力関係と政治力学の様や、アメリカや中国をも関係してくる難題を、聖達磨の行動と共に老練な新聞記者北原たちの取材活動を同時に描いている複雑な話を見事に纏め上げていた。
政治家、政治記者、検察官、政治家秘書、これらの魑魅魍魎的な人物たちの
伏魔殿の話を、興味深く面白くリアルに描き読み応えある小説だった。 -
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非常に共感できる内容だった。論の立て方とか本自体の良さというより共感度で星5つです笑
私が最初に著者の真山さんと同様の考えに至ったのは先の戦争の体験談からでした。子どもの頃から、あの戦争は間違いだった、負けると分かっていた、戦争には反対だったという話をたくさん読んできました。子どもの頃は、そのまま受け取り戦争は良くないっ!と思っていましたが、大人になってふと「こんなにみんなが反対していたのになぜ戦争は起きたのか」と疑問に思うようになりました。みんなが反対なのに起きたのなら、今だっていつ起きるかわからないということになります。戦争をしたにはした理由があると思ったのです。本書でも、そのことに触れています。
コロナのことについても同様の考えを持っていました。専門家がマスクや手洗い、うがい、消毒をした方が良いというのは、コロナの実態がまだわからないから、しないよりはした方が良いという意味で言っているんだろうなと思っていました。したら、かからないとか、しなければかかるということではないだろうと。学校閉鎖も、安倍さんはオリンピック招致のためにパフォーマンスをしたかったんじゃないかなと。学校ならいう事を聞かせやすいしね。3月だったから影響も少ないと見込んだのに、想定外に収まらなかったので引くに引けなくなって長引いてしまったのかなあと。
クリスティも好きで全巻読んだので、この本にはもう共感しかありません!笑 -
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下巻はいよいよ、鷲津と主都電会長・経団連会長の濱尾との全面対決が展開される。
濱尾は、鷲津の首都電への介入を何とか防ごうと策略を図る一方で、原発事故の責任を政府に押しつけようと画策する。政府内あるいは官僚の間でも、今後の原発の是非について様々な立場が入り乱れる。
その情報を巡って、暁光新聞の北村が、鷲津を挑発する日本通信の八島が。
株取引を行う鷲津を、証券取引等監視委員会が逮捕するとの情報も。
手に汗握る展開に、目が離せない。
そんな抗争劇の中で、ホッとする清涼剤的存在が、電力の鬼・松永安左エ門の言葉を信奉する首都電広報室の郷原秀樹と、首都電サッカーチームのエースストライカー萩本あかね。
鷲津が、「君たち二人は、首都電の希望だ」と、称える。
遅まきながら、ダークヒロー?鷲津の活躍を描く「ハゲタカ」シリーズ、未読分を読むとするか。 -
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戦後日本を象徴する総理の1人である田中角栄が外為取扱違反と5億円に登る収賄罪により有罪判決を受け、日本中に衝撃を与えたロッキード事件の真実に迫る良書。アメリカの虎の尾を踏んだことが真因とも噂される事件であるが、その裏には政界の裏のボスである児玉誉士夫や、佐藤栄作の影も潜んでいる可能性が高い。贈賄をしたロッキード社には刑事免責が適用されるという異例の事態であり、角栄1人を悪として囃し立てた世論も含めて、戦後の日本の雰囲気をよく表している事件だと言えるだろう。本書を読むことで、戦後の沖縄返還までの道のり、対等でない安保関係、日米繊維交渉からウォーターゲート事件まで、当時の社会の動きを知ることができる。
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Posted by ブクログ
在任期間が短いにも関わらず,良くも悪くも絶大な影響力を今だに発揮している政治家の関連した事件として,当時リアルタイムに体験していなくともその概要くらいは知っている位の大疑獄事件.
でも…なんだかよく分からない.田中角栄は,一体どんな犯罪を犯したのか?ネット上に散らばる情報を集めてもモヤモヤが増すばかり…
真山仁の手にかかると,極上のミステリさながらの緊迫感で真実に値する一つの仮説が鮮明に浮かび上がる!
いつもながらの徹底した取材と資料の読み込みで緻密に組み上げられたノンフィクションは,普段の小説をも上回る最高のエンタメ文学としても成立してる!