真山仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コロナ禍後の世界。致死率が高く、感染力もある新たなウイルスが日本で発生。感染は拡大し、日本と世界がパンデミックに再び陥っていく。コロナで学んだ教訓を生かすことができるのか、が問われる作品内容。新型コロナウイルスが落ち着き、どこかで過去の出来事、と感染症や未知のウイルスについて意識が低下してきている「今」だからこそ「将来」に向けて読むべきだと、ページを捲る中でその思いを強くする。一般人である自分にとっては「結果的にそこまでする必要はなかったね」と言える方が、対処や処置、措置については良いのではないかと考えるのだけれど、それを実際に考え、実行する医療従事者や政治家にとっては「言うは易く行うは難し」という面も強いのだろうなと。だからこそ、作中に出来ていた涌田総理のような方がある意味輝いて見えたし、頼もしく思えた。現実にはどこまでこのような政治家が存在するのだろうかという純粋な疑問も湧くけれども。最愛の人との突然の別れは病気に関わらず起こりえる。けど、どこかでその日は「まだ先」「自分には関係ない」と心の奥底で思ってしまっているのも事実。きょう突然未知のウイルスに自分が、家族が、感染してしまったら・・・そう思うと日常の苛立ちなど些末なことだと思えてくる。来るべき未来への警鐘と捉え自分の来し方、考え方を見直しつつ、身近な人への感謝の想いを忘れずに、また陰で支えて下さっている方々がいつ何時もいることを忘れず、心の中で手を合わせ「今日も世界が平和で穏やかになりますように」と祈りつつ、ページを閉じる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ真山仁、初体験。
本来、緻密な取材や自らの実験検証を通して書く社会派小説家である著者が、本作は記事のスクラップと想像力だけで書き上げた短編集らしい。(浅川芳裕氏の解説)
私にとって初作品なので、その他作品との違いがよくわからないが、作者の鋭い着眼点と問題意識がいかんなく発揮された名作だと思う。(明らかに、事業仕分けの蓮舫議員や不二家や雪印乳業などの期限切れ原材料不正使用などがモデル)
では、短編集なので以下勝手にランク付してみる。寸評は評価A以上の作品のみ。
【S=傑作、A=秀作、B=並、C=駄作 】
♦「一俵の重み」A カロリーベース基準の食料自給率算出の問題提起と日本人の主食である米の増産と海外輸出への前途多難
♦「医は…」B+
♦「絹の道」A+ かつての国の基幹産業だった絹の復権を目指すシルクロード
♦「プライド」B+
♦「暴言大臣」B+
♦「ミツバチが消えた夏」S 原因はニコチノイド系農薬説が濃厚だが、農家に支えられる農水省の既得権益が少数の養蜂家の声を潰す
♦「歴史的瞬間」B
雑誌「農業経営者」副編集長の浅川芳裕氏の解説も素晴らしい。
作者の、農産物(特に米)は非効率な兼業農家への所得補償をやめ海外輸出を目指す先進農家への支援を行い、国家的輸出産業とすべきだという意見には大賛成。
現政権の様に、自然気候に左右される米の減反補償をして、不作が続けば米価がさらに上がり国民生活に大打撃を与えるのは危険すぎる。それより、増産推奨して国内米価を安定させ(必要なら所得補償してでも)、余剰分はバッファとして輸出米として活用すれば備蓄米も安定し、食糧安全保障上も理に適う。
解説の浅川芳裕氏は、作者の「米(輸出)は兵器と同じ位の国益だと思う」という講演での発言に対して「米が国益でなくなる、米に官僚や政治家の介入がなくなる日こそ、日本農業が健全化する」と解説で述べる。であれば、農協は今のままでいいのかという問いも期待したい。 -
Posted by ブクログ
沖縄で発生した2つの事件・事故を冨永検事が扱う。その2つは互いに無関係に思えるが、ストーリーの終盤に1つの点で接した時に、一方の事件の真相が解明される展開に興奮した。
前作の「標的」では首相候補が贈収賄に絡んだのか、絡んでいないのか、明確な答えを出さずに終わったので消化不良だった。今回も米国製戦闘機の不具合に関しては答えを出さずにモヤモヤしたまま終わるのかと思っていたが、技術的な疑問は残るにしても物語として答えを示してくれたのはスッキリして嬉しい。
雑誌の連載という性質上やむを得ないのかもしれないが、並行して進行する物語の切り替わりが早く読みづらいと感じた。 -
Posted by ブクログ
玉三郎と真山仁の…、共鳴。
で、ものすごく読みやすくて。
じわり、と、伝わってきます。
第一部
生い立ち。家族。
歌舞伎の世界に入る時、その後。
厳しさ、興味深い。
第二部
それぞれ漢字一文字の章。
ぐっときます。どこまでも、深く、潔い。
そして、魂に繋がる漢字たち。
『醜』から始まります。
〜自らが、醜いから、美しいと感じる〜
〜醜いも美しいも、見分けがつかない〜
『演』
〜自分からの逃避〜
『闇』
〜人は闇から生まれ、闇に死んでいく〜
『妖』『海』
〜自分自身の思考や感覚に海の存在〜
スキンダイビング⁉︎
『情』
〜人間同士が対峙しないと生まれない〜
『粋』
ー東の粋。西の雅。ー
ー粋が過ぎたら下品。雅が過ぎたら野暮。ー
〜粋を磨く〜
〜相手に恥をかかせない配慮〜
〜本質を探求する作業〜
『伝』
〜守破離〜
『花』
〜人を惹きつける存在〜
〜魂を揺さぶる力が色気〜
『風』
ー他者からの評価を風ふうと呼ぶー
世阿弥の風姿花伝ー風を得てー
『老』
ー死に向かって生きるー
ー老いてこそ花ー
『桜』
〜花びらの色〜
『夕』『食』
〜自然なまま〜
『美』
〜移ろっていくものにこそ、美しさが宿る〜
ー羊にまつわる語源 美、善、義ー
終章
司馬遼太郎
ー街道をゆくー
真新しい気づきに、出逢い。
優しい言葉での導きを感じます。