真山仁のレビュー一覧
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総理にIRについて指南し、信頼を得て、地元にIR誘致させようとした青森県の片田舎の町長がホームレスとなり、公園で野垂れ死にする。
総理が態度を翻し、お膝元の山口県に最初のIRを立ち上げたことが背景にあった。
IR推進法を巡っては、アベノミクスの成長戦略の一環として期待される一方、今もカジノに関するギャンブル依存症の懸念が拭いされていない
また、広告代理店、経営会社、政治家などの間で利権の奪い合いが生じる。地方創生の旗印のもと、中央が進めるプロジェクトに踊らされて、地方が利権争いに巻き込まれる危険性も秘めている。
この小説は、そんなIRやカジノがはらむ社会的な問題を関係者の絡み合いや駆け引きを通 -
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被災地の小学校へ、支援の一貫としてやってきた小野寺先生。
彼もまた、阪神淡路大震災で妻と娘を喪った経験を持つのだった。
まもなく大震災から12年。
もう12年なのか、まだ12年なのか。
フィクションだけど被災地での問題や課題がリアルで、読み進めるのが辛い人もいると思う。
あの日東京にいたに過ぎない私ですら胸にくる描写がいくつもあり、割りきってページを捲らないと頭の中が津波や火災や瓦礫、何もなくなった海外の映像でいっぱいになってしまった。
小野寺先生は学校の子供たちを励まし励まされ、自分の傷も癒えてないのに生きていこうとしている。
小野寺先生にとっての子供たちのような心の拠り所がないと、足 -
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アルツハイマー病で死滅した脳細胞を再生させる研究所の役員や研究者たち。
先端医療産業開発機構の役員。
総理大臣、秘書官や内閣参与など日本政府関係者。
さらに、宮城県警及び宮城中央署の刑事たち。
登場人物の多さに、名前を覚えきらない読み手(もの忘れな高齢者)には、便利な登場人物の一覧があり、大いに助けられた(笑)。
死滅した脳細胞を再生させる研究を行っている研究所の周りで、アルツハイマーの高齢者が次々と行方不明になる。不審を持った楠木警部補が捜査を始める。
ミステリアスな事件が連続する一方で、研究者たちが開発した人工万能細胞「フェニックス7」の是非を巡って日本政府内での主導権争い、さらにはアメリ -
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挫けたまま立ち上がれないでいる震災後の日本で、巧みな弁舌を駆使し国民の心を捉え、総理に登り詰めた登り詰めた宮藤隼人。
彼の政治信条に共感し、側近として支える白石望。
白石と同期で、政治の闇を追いかける新聞記者の神林裕太。
この3人を中心に、内閣官房長官、総理主席秘書官、事務秘書官、さらに敏腕記者等により、それぞれの思惑を秘めた虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
題名の「コラプティオ」とは、どういう意味か不明のまま読み続けたが、ラテン語で「汚職・腐敗」を意味すると巻末で明かされる。
原発産業による日本復興という大事業を計画する宮藤総理。日本フェニックス計画と銘打った政策は、震災で落ち込んだ日本 -
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福島原発事故の解明に設置された国会事故調の委員長を務めた黒川清氏の「規制の虜」、門田隆将氏の「死の淵を見た男」で福島原発に関する書籍を読んでいた事が予備知識となり、政府、官僚、政治家、東電そして鷲津率いるサムライキャピタル:投資ファンドのノンフィクションの要素も含んだハゲタカシリーズ、今回も読み出したら止まりませんでした。
今回は企業買収のストーリー以上に、原発を含む日本のエネルギー政策に係る社会的課題にも踏込み、また責任の所在を曖昧、うやむやにし、本質的な課題より体裁を重んじる日本社会の特性が随所に描かれており、非常に考えさせられる内容でした。
電気、ガス、水道、交通や通信といった生活基