真山仁のレビュー一覧
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ハゲタカシリーズのファンです。
こちらは最新シリーズ。
前作がアメリカ大統領の影がちらつくような、
壮大な話だった一方、本作は日本の電力会社の買収話。物足りないのではと感じていました。
読み進める中、目次の日付に気づいて鳥肌が立ちました。2011年3月11日、東日本大震災。
未曾有の震災で原発と闘う現地のリーダー達、
日本政府の動揺、諸外国の対応…
実際に震災を体験していない私が言うのは大変おこがましいが、史実に近いリアルなストーリーに、
鷲津やリン、私の大好きな飯島さん、サム等いつものメンバーが謀略を巡らせていきます。
分厚い上下巻ですが、一気読みしてしまいます! -
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ネタバレ脳細胞を再生させる新薬。残念ながら、完治するわけではない。一時的に発症前の状態に脳を戻せる。有効期限は数年、その後は死を迎える。この薬は、日本で承認されるだろうか?
恐らく日本では承認されない。治験も消極的。半面、海外(USAなど)では、承認、実用化される、きっと。
この違いは何だろうと、悩む。誰のための新薬か、と。苦しんでいる患者ともっと苦しんでいる家族のためには誰も動かない?のか。「99%成功していても、最後の1%で、多くの開拓者が壁に立ちはだかられ破滅していく」のとおり、日本は壁だらけなのかもしれない。
「未承認の薬があったら、使用するか」と、主人公が父に問うが、一蹴される。少なくとも、自分の母親の痴呆を死を受け止めているハズなのに。やはり、医者の立場としては、勧められないのかもしれない。けど、自分で使うなら…。
きっと、私は使用を躊躇わない。人間としての尊厳は死守したい。外国で合法なら、渡航してでも、と。
短くても、人間らしい最期を、と考えるのは罪悪ですか。現実を直面していない戯言でしょうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「こんなわたしはいやだ」と、物語は、衝撃的な場面から始まる。
認知症の発症による、自殺者数は多くないという。特に、初期および軽度の状態で、将来の不安で鬱になって自殺する場合がほとんどらしい。重度になれば、自殺する判断にも支障があり実行に到らないという。
もし、尊厳を守るとしたら、初期の自覚のあるうちに実行しなければ、自殺(自死による尊厳死)すらままならないかもしれない。
脳細胞を再生させる新薬。一時的に発症前の状態に脳を戻せる。有効期限は数年、その後は死を迎える。この新薬が開発されたら、藁に縋らない患者がいるでしょうか? たとえ、実験台としても、たとえ僅かな延命に過ぎないとしても。
ただし、選択の自由は、患者自身しかない(まだ判断できるほど早期)。親の、パートナーの、若年性の患者に家族が薬を投与する選択肢はない。きっと、耐えられないに違いない。機会があるとしたら、介護が限界に到った時だけかもしれない。一瞬の回復と安楽死をセットに。いずれにしても、残酷な薬(選択)です。
脳細胞の再生は、神の領域を犯すかもしれないと、説く。しかし、医療を考えたとき、神の領域はどこにあるのか難しいと言わざるを得ない。ワクチンはOKか、輸血はOKか、義手義足はOKか、臓器移植はOKか、人工臓器はOKか、再生医療はOKか。
手段はあっていいのではないでしょうか。利用する個人が是非を判断すれば。 -
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東日本大地震、並びに福島第一原発事故後の停滞感漂う日本に現れたカリスマ的総理大臣である宮藤隼人、その総理を官邸スタッフとして支える白石、総理の闇に迫る記者神林、それぞれの視点から物語が展開していきます
宮藤総理は、あえて原発を日本経済復興のシンボルとして掲げ邁進し、巧みな演説で国民の心を掴んでいきます。しかし、成果を出したい焦りから、独裁色を濃くしていきながら、よろしくない方向に…
官邸スタッフの助言も聞かなくたり、まさにプーチンが頭に浮かびました
日本でも独裁者が現れないとは限らないですよ、と思わせるような内容で考えさせられました
官邸内部や外交、官僚との攻防はなかなかイメージありませんでしたが、リアルで面白かったです
新聞記者のネタ取り、裏取りの過酷さ、ジャーナリズムの大切さ、重要さも身に染みました。
現状のウクライナ侵攻において、プーチンが必死にロシア国内の報道規制を張る行動も頷けました。 -
Posted by ブクログ
2011年3月11日
日本人の意識が変わった日
津波、原発事故、危機管理、絆、ボランティア...
東日本大震災で被災した小学校に応援教師として赴任してきた小野寺
小野寺自身も阪神淡路大震災で妻子をなくしています。
そんな小野寺と傷を負った子供たちや父兄、地域の方々と、被災地の問題への取り組みが語られている短編連作の物語。
■わがんね新聞
赴任した小野寺が一番最初にやったこと。
子供たちの不満や怒りを吐き出させるために作り始めた壁新聞
変わり始める大人たち、元気になっていく子供たち
■”ゲンパツ”が来た
福島第一原発から避難してきた子供の案件から、原発問題に
偏見、それぞれの本当の想い
■さくら
これは辛い
津波避難時に目を離した隙に生徒の女の子が行方不明に
結果、女の子、そして校長先生が犠牲に
その事件の真相は...
ミステリチックな展開ですが、とても重い話でした。
鼻の奥がツーンと来ます
■小さな親切、大きな...
ボランティアの問題
ボランティアと地元住民の間の関係に踏み込んでいます。
■忘れないで
阪神淡路大震災の慰霊祭のため帰省した小野寺
自身の経験も思い出しながらも、震災を忘れたほうがいいのか、どうなのか自問、そして恩師の言葉
「人は本当に大切なことは決して忘れない。けどな、過去に縛られたらあかん。大切なのは今日であり、未来やろ」
慰霊祭に集まる人の理由.
「明日も生きる勇気をもらいに来ているんや。一生懸命がんばるから、天国から応援してなって」
目頭が熱くなります。
■てんでんこ
流された二宮金次郎像が発見。
これを卒業記念に修復することにした子供たち。あらたな金次郎像のデザインは..
続編もあるそうなので、ぜひ、そちらも読みたいと思います。
とってもお勧め -
Posted by ブクログ
真山仁は、日本の様々な分野において問題提起をする。この黙示は、農業がこれでいいのか?ということを説く。根底には、日本の農業の再生をどう進めるのかにある。ここで、取り上げられるのは、農薬と遺伝子組み換えが主人公だ。
小説では、農薬散布中のラジコンヘリが小学生の集団に墜落する事故が発生。この本が書かれた時にはラジコンヘリであったが、今ではドローンで散布する。また、病害虫のあるところに向けて集中的に農薬を散布することもできるようになってきている。少し技術は進歩しているが、テーマは変わらない。カーソンの「沈黙の春」の警鐘から、農業に携わる人々が農薬をどう捉えるのか?ということは、大きな問題でもある。農薬と化学肥料によって、農業の生産量は飛躍的に高まった。増殖しつづけるニンゲンの〈食〉をどう支えるのか?問題意識は、深いものがある。
日本の農林省は、脱炭素社会をめざし、2050年までに農地の25%、100万ヘクタールを農薬と化学肥料を使わない農業へ拡大して行くという。現在の有機農業の面積は1万6000haであり、農業全体の栽培面積の0.4%だから、飛躍的な変化である。有機農業がなぜ広がらないのかという本質的な問題が明らかにされていない。相変わらず、農林水産省は勝手なこというご都合主義でもあるが、そうしなければならない環境を直視する農業を作る必要もある。
ラジコンヘリの暴走と墜落。農薬が直接子供達に降りかかる。子供の中には農薬開発者の息子がいた。その子供は意識不明となる。自分のつくった物で、自分の子供が被害に遭う。それでも、農薬は必要と考える平井。
戦場カメラマン代田がミツバチを育てる。代田は、農薬は 第2の放射能だという。
現在ミツバチは急速に死滅している。害虫を殺すものが、ミツバチをも殺すのだ。アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジンなどのネオニコチオイド系農薬がミツバチを殺す。
農薬開発者と平井とミツバチを育てる代田の対談がじつに興味深い。
世界的な天候不順(地球温暖化)による干ばつによって、農業は影響を受け生産量が減少するとされる。その干ばつに対応する遺伝子組み換えトウモロコシが広がって行く。農業技術は、問題があればそれに立ち向かおうとする。農水省で農産物輸出のビジネス戦略を命じられる女性キャリアの秋田。「弱い」と言われる農業を何とか強くすべく、若手官僚として農業に対する方向性を探す。植物工場、アグリトピア、フードバレー、原村、淡路島とひろがる。平井、代田、秋田という三人の主人公が、日本の農業と食の安全について、それぞれの立場から悩み解決しようとする。
中国が100万トンから400万トンの米を欲しがるという設定から、減反にたいする中国の提案。
これが、実におもしろい。日本の人口が高齢化と減少の中で、農業の生産量が過剰になって行く。一方で世界は相変わらず人口増加していることで食料不足は想定できるので、日本の農産物を輸出するということも視野におく。この本の提起されていることに、日本人は立ち向かうべきでもある。
ここでは、日本の肥料の過剰投入によって、環境を破壊し、地球温暖化を進める亜硝酸ガスの発生や農産物の硝酸態窒素の過剰について触れられていないのが、残念。日本の農産物の硝酸態過剰は、健康被害を起こし、病害虫を増やし、日持ちを悪くしてロスを増やしている。ヨーロッパの硝酸態窒素の基準をはるかに超えているので、オリンピック村の野菜は海外から輸入するということが起こっている。 -
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2020年オリンピック開催時の日本を舞台に、日米韓さらに北朝鮮の工作員までもが入り乱れる謀略小説。
巻頭の「主な登場人物」だけでも、警視庁捜査一課の刑事や警備部、内閣総理大臣に官房長官、国家安全保障局、最高検総務部長、韓国では大統領やソウル中央検察庁の検事、韓国国家情報院の幹部、米国の国家情報長官に在日米大使館員、さらに北朝鮮の工作員や彼らを束ねる在日の工作官に、「眠りネズミ」と呼ばれる潜伏工作員。
そして、主人公ともなるのが元内調室長で調査事務所を営む合気道の師範と彼の部下。
登場人物の多いうえに、彼らの関係が複雑に入り組み、さらに語り手が次々と変わるめまぐるしい展開に、迷宮に放り込まれたかのよう。
物語は、オリンピックの馬術競技の最中に韓国選手への狙撃で幕が開ける。彼女はソウル中央検の検事で韓国大統領の姪。彼女は何のために、誰に襲われたのか。
その前には、北朝鮮工作員の連続殺戮事件も。
一連の犯行の目的は、その裏にあるのは何なのか。
「眠りネズミ」とは、誰なのか。
複雑に絡み合う各人の思惑と、各国の謀略めいた展開に目が離せない。 -
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ネタバレ軍事政権下の東南アジアの国・メコンの大統領選挙を巡ってのお話。〝民主主義は人を幸せにするか″というテーマらしい。
大統領選に出馬する直前に暗殺されてしまったジミー・オハラ。夫の代わりに大統領選に出馬しようとする母のグレイスと、それに違和感を覚えるピーター。また、彼を支えようとする日本の大学生・渉や、イギリス大使館員のカートライト。ジミーの親友のメコン軍人のシルバ。悪徳大統領ドミノ、、、等々、登場人物がたくさんいて、立ち位置を把握に、ちょっと苦労したけど、面白かった。
重いテーマを題材にしているのだけど、ちゃんとエンターテイメントしていて良かった。誰が味方なのか?大国の思惑とか、登場人物それぞれの願いとか、世界はやっぱり複雑だな、と思ってしまう。全ての人が納得して幸せになる選択肢などないのかもな。
だから、結局、多数決になっちゃうのよね、きっと。 -
Posted by ブクログ
「標的」 真山仁
1.小説より
「過去の経験値といまの状況の比較検証。
その結果、神業なるものが生まれる。
勘ではない。」
「身の丈にあった生活。その価値観を身につけて、初めてそれぞれがそれぞれの豊かさを知る。」
2.内容
与党女性議員。地盤なし、金なし。ただし世論受けは良い。
いよいよ現首相から「次の総理をやらないか?」の打診あり。
現首相の狙いは院政でのコントロール。
一方、彼女はそれを知って党内派閥の票の買い占めに走る。
買い占めの事実、資金源を検察が割り出し、いよいよ逮捕へ。。。
3.読みおえて
政治。
民からしたら、向こう側の世界。
報道で知るのは一部であり全体ではない。
記者出身の真山氏だから描ける世界。
「小説だからこそ、ありえない世界にチャレンジしたい。」
この【標的】の世界でもそのチャレンジを感じることができる。
真山仁さんファンは、一読されてみてはいかがだろうか?