真山仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読書備忘録609号(上下巻)。
★★★★。
下巻終わって・・・、まあいい感じで終わりました。
アルツハイマー病を治す奇跡の人口万能幹細胞(IUS)フェニックス7。IPS細胞の上級グレード細胞ですね。
主なプレイヤーは以下の通り。
①アルキメデス科学研究所:奇跡の新薬としてフェニックス7の開発を東大先端生命科学研究センターと連携して進めている。
②政府:国家の威信を掛けて日本の経済再生プロジェクトとして後押しする。
③アメリカ:フェニックス7に対し政治介入して奪うことを画策する。
④宮城県警:アルキメデス科研の所在地、宮城県で高齢者の行き倒れ死を捜査する。
ここからは完全なネタバレ。
アルキメデス科研の理事長氷川はアルツハイマー病家系であり、自分もその兆候が現れていることで焦り、フェニックス7の開発を加速させたい。
ただ、フェニックス7は処方後に脳細胞の増殖が止まらなくなり、脳を破壊することがあるという問題を抱えていた。
その解決の為には原因因子を特定するため人間を使った治験(人体実験)が必要。アルキメデス科研所長の篠塚は、徘徊老人を拉致しフェニックス7を処方することで闇の治験を進める。しかしやはり脳の膨張で死者が出てしまう。もともと徘徊老人であることから、死体をそれらしく遺棄する。
徘徊老人の行方不明事件から数か月後に、死体で発見されることに違和感を覚えた宮城県警は最終的にアルキメデス科研の闇に行きつく。
捜査の手が伸びてくるアルキメデス科研。人間での治験を米国に移すことを画策する氷川。フェニックス7は日の目を見るのか!それとも司法の手に掛かって消滅するのか!という感じです。
徘徊老人はフェニックス7の処方でボケる前の状態を凌駕するくらい回復する。どうせボケが進み死ぬ運命だった老人たちは無条件に感謝する。例え副作用で死ぬことになったとしても・・・。
これは人助けなのか?神の領域に踏み込んだ犯罪なのか?
最後の終わり方はなるほど!あるかも知れないなぁ、と思わせるものでした。 -
Posted by ブクログ
ハーディ ハゲタカ2.5
日光・金谷ホテルをモデルとしたミカドホテルの松平貴子を主人公とする、ミカドホテル奪還劇。前作で世界的リゾートホテルグループの傘下となったミカドホテルを奪還するまでの話。先日、日光・金谷ホテルを訪れたこともあり、描写がありありと想像できたことで非常に面白かったが、今回はどちらかと言えばビジネスというよりスパイ小説のようなイメージであった。ラストも、ハゲタカ1.5のスパイラルのような「この手があったか!」というような鮮やかな展開ではなく、かなりあっさりしていた印象。また、本作では全くと言うほど鷲津は現れない、完全に映画でいうマクガフィンとなっている。 -
Posted by ブクログ
中東で日本人3人が誘拐された実際の事件を背景にして、テレビという巨大メディアの実態を暴く情報小説。
過去にスクープ報道で汚点を残したが、時の政権に批判的な姿勢を貫くテレビ局が舞台。
主人公となるのは情報番組のディレクターとバラエティのプロデューサー。
再三語られるのは、
「情報とは、情に報いることだ。しかし、報道とは、道に報いて初めてそう呼ぶことができる。ジャーナリストは、真実を追い求めるだけでなく、人としてのあるべき道に報いることが出来なければ、その責任は全うできない」。
誘拐事件を自作自演あるいは自己責任に世論を誘導するためにテレビ局を利用する政治家。テレビ局に絶大な力を持つ大手広告会社。政治権力に阿り、テレビ局内での地位を固めんとする役員。免許更新というテレビ局の生殺与奪権を握る官僚。
二重三重の陰謀が繰り広げられるテレビ局。
そんな中にあって、
「俺たちの絵は、あんたらの嘘の道具じゃないんだ。テレビは映像さえあれば、それでいいんじゃない。映像が正しく使われるように、何で徹底的に取材しないんだ」と、真の報道を貫かんと、事件の真実を求めて現地に飛ぶディレクター。
一方で、視聴率に縛られ自分を見失ってゆくバラエティのプロデュサー。
一般に「公平中立条項」として、放送事業者は、「政治的に公平であることが義務付けられている放送法第3条の2①の2項がテーマともなり、『ハゲタカ』シリーズの著者ならではの、骨太で重厚な小説となっている。
一人のジャーナリストが語る言葉が、印象に残る。
「ジャーナリズムの使命とは、為政者が独裁者への道を歩み始めたと感じた時に、たとえ強引と言われても身を挺してでも阻止することだ」