真山仁のレビュー一覧
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ネタバレ・日本では「話せばわかる」はずだから、コミュニケーションが重要と考える。外国では「話しても分からない」からこそ、互いの妥協点を見つけるためにしっかりと話し合うことが必要と考える。つまり根本的にコミュニケーションの捉え方が違う(p.6)。
・島国という地理的条件、長く続いた鎖国。日本では国民が均質で同一の価値観を有する社会になった。つまり、「多様性」から最も遠い文化の中で生きてきた。(p.12)
・自分の信じている神こそが世界最高だ。多くの「迷える子羊」に最高の神様を教えてあげたい。異教徒の目を覚ましてあげることこそが、信徒の使命=正しいこと、だと考える。
・日本人と中国人は明らかに価値観が違う。人生の優先順位も違う。似ているのは容姿くらい。(略)ある街で白っぽいキクラゲを黒く塗って「黒いクラゲ」として売って大儲けした男が詐欺で捕まった。薬効があるといわれている黒いクラゲは昔から高級品。このニュースを知った多くの中国人は「そんな簡単なことで高く売った奴はすごいな」と。詐欺を働いた悪人じゃないかというと「だまされる奴が悪いんだよ。そのアイディアを考えた奴はすごい」と感心する。(p.78)
・中国人は家族や仲間を大切にするが、そうでない人に対してはかなりドライ。また、政治の話をすると、圧倒的な自己正当性を主張する。世界で一番強く正しいのは中国だと(世界の中心は中国と=中華思想)、ごく普通の人が当たり前に主張する(p.80)
・中国人はアメリカ人に似ている。他国にはあまり興味がなく、常に自分たちは絶対に正しく良い国だと胸を張っていう。
・世界は今、「ポスト真実」(世論の形成に、真実ではなく個々の感情が優先される時代)が到来した(p.120)。SNSを通して世論が暴走する。
・人の数だけ「正しさ」がある。自分の価値観をもとに「正しい」と考えるのは自由ですが、それを他人に押しつけてはいけません。お互いが多様性を認めていれば、価値観が異なる人とも仲良くできるはずです。自分と違う「正しい」を訴える人は魅力的に見えます。視野を広げてくれるからです。ひとつの物事に複数の「正しい」があるとするならば、皆が認め合いながら「落としどころ」を探す大切さが見えてくるはずです。(pp.164-165) -
Posted by ブクログ
挫けたまま立ち上がれないでいる震災後の日本で、巧みな弁舌を駆使し国民の心を捉え、総理に登り詰めた登り詰めた宮藤隼人。
彼の政治信条に共感し、側近として支える白石望。
白石と同期で、政治の闇を追いかける新聞記者の神林裕太。
この3人を中心に、内閣官房長官、総理主席秘書官、事務秘書官、さらに敏腕記者等により、それぞれの思惑を秘めた虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
題名の「コラプティオ」とは、どういう意味か不明のまま読み続けたが、ラテン語で「汚職・腐敗」を意味すると巻末で明かされる。
原発産業による日本復興という大事業を計画する宮藤総理。日本フェニックス計画と銘打った政策は、震災で落ち込んだ日本人に希望を持たせる。
しかし、ウラン鉱脈が見つかった国の軍事クーデターへの関与が疑われたあたりから、カリスマ総理の暴走が始まる。独裁者として変容していく総理の暴走を、誰が止めることが出来るのか。
権謀術数が渦巻く政治の世界を、スリリングに描き出した政治小説エンターテイメントの手に汗握る展開は、頁を繰るのももどかしく、読みふけるばかり。
「多くの場合、権力を行使する者は、その目的が正しいと思い込んでいる。さらに、正しい目的のためなら、多少プロセスに問題があっても許されると考えてしまう。しかし世界の歴史を振り返ると明らかなように、ほとんどの不幸は、それが正しいと思い込んだ人びとによって引き起こされている。権力者が権力を行使する快感に溺れ、正しいことを行っているという満足感に溺れ、人びとは不幸に巻き込まれていく」
著者が綴るこの言葉は、現在のロシアによるウクライナ侵略に、見事当てはまるではないか。 -
Posted by ブクログ
福島原発事故の解明に設置された国会事故調の委員長を務めた黒川清氏の「規制の虜」、門田隆将氏の「死の淵を見た男」で福島原発に関する書籍を読んでいた事が予備知識となり、政府、官僚、政治家、東電そして鷲津率いるサムライキャピタル:投資ファンドのノンフィクションの要素も含んだハゲタカシリーズ、今回も読み出したら止まりませんでした。
今回は企業買収のストーリー以上に、原発を含む日本のエネルギー政策に係る社会的課題にも踏込み、また責任の所在を曖昧、うやむやにし、本質的な課題より体裁を重んじる日本社会の特性が随所に描かれており、非常に考えさせられる内容でした。
電気、ガス、水道、交通や通信といった生活基盤を支えるインフラは、日本は津々浦々整備されているし、安定的に共有されて私達は当たり前のようにサービスを享受している。
一方でこのような生活基本盤を支えるインフラ産業が特殊な企業として政府、官僚、政治家との関係を保ちつつ企業価値を維持しているのであれば、株式市場に上場していることに違和感を感じる。
福島原発から10年が過ぎ、あの衝撃と生々しい記憶が薄れていく中で、こうした社会経済書籍で描かれることで、読み手に多くの気づきを与えてくれる。単に読み物として面白い以上の価値があると思う。
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選挙の当選確率99%を誇る選挙コンサルタント聖達磨が主人公の第2弾。
発端は、12歳の少年誉が現職の総理へ「里山を守ってほしい」との発言から。
その後の失言で、総理は窮地に追い込まれる。その総理を次の選挙で落としてほしいとの依頼を、聖はある議員から受ける。
対立候補として申し分ないのが、12歳の誉だが、彼には被選挙権が無い。
「政治が良くならなければ、この国は変わらない」との思いの聖は、誰を候補者に立てるのか?
さらに、NASAとの共同開発施設での核開発疑惑も絡み、選挙戦は複雑化する。
聖は、現職総理に勝てるのか、サスペンスな展開に終盤ではミステリーに転化する。
選挙の当落には、天国と地獄に例えられるほどのドラマがある。それゆえ、選挙小説は投票日というクライマックスへ向かって、主人公たちとともに読者をも巻き込むエンタメ小説の極みといっていい。
もちろんこの小説も、その最もたる1冊と言える。