真山仁のレビュー一覧
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ネタバレハゲタカ上
3.5
ハゲタカビジネス、企業再生ビジネスを描いた企業小説。経済の知識がつくのもあるが、小説としても面白い。ニューヨークの投資ファンドで名を上げ日本に戻った鷲津政彦、リン、芝野、飯島、貴子などのキャラや因縁など。実際の企業名が少し変えて書いてあり、事実になぞっている部分もあるよう。三葉銀行退職しえびす屋役員になった芝野、自分達大人は若い世代に胸を張って己の生き様を誇れるだろうか。闘うことも挑戦することもせずにただ自分達の都合の良い結果だけに満足して先に進むのを避けている。
スーバーえびす屋社長瀬戸山、自分の能力を過信し、部下の言葉を信じすぎ、社会の流れを見誤った。これは全て経営者 -
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認知症と肝細胞による治療。
今の最先端の問題に挑む。
確かに、選ぶ細胞によって、リスクの広がる可能性もある。
脳という領域は、人間のものでありながら、神の領域でもある。
つまり、脳は、まだ解明されていないことが多いのだ。
人間が、長生きすることで、今までになかったような病気
認知症という自分で自分をコントロールできなくなる。
最初の認知症の母親が糞を食べるシーンから始まるという
衝撃的な出だし。そこから、なんとか認知症の治療方法が見つかれば
という期待が高まる。
ベンチャー企業と投資家のやりとり
そして、旧態然たるお役所の対応。リスクを負わない。
副作用が起こるのは、わかる。
高血圧が、問題と -
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アルツハイマー病の治療薬フェニックス7を開発した医者を主人公に、日本における再生医療の最先端を紹介している小説。アルツハイマー病を治すための治験は倫理的に許されるのか、治験はアルツハイマー病根絶のために必要なプロセスとして割り切るかというジレンマで主人公は悩み続ける。
この話はフィクションだが、医療を巡る倫理観を考えるきっかけになる。例えば、治療薬の治験段階で重大な欠陥が見つかった場合、患者に治験して仮設検証を繰り返すことは人体実験と言えるだろうか。コロナウイルスの治療薬が薬事承認され、近日中に市場に流通する今だからこそ、医療と倫理観の関係を考え直す機会かもしれない。 -
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ネタバレ本の趣味が合う知人に紹介してもらった、私にとっては新領域の世界。
お仕事小説の中でも堅い方だし、公私の公の描写が9割。
最初は、三葉のバルクセール・ミカドホテルそれぞれの描写がダラダラ続いていて、そのうちココが繋がってくるだろうなという予感はあってもペースが上がらなかった。けれど、終盤に芝野が三葉を辞めてから物語が一気に動くのと同時に私自身も引き込まれた。
年代の設定が20世紀なのもあって、倒産法周りの整備が甘く、自分の知っている世界とはまた違うM&Aや企業再生の世界を見られた。ただ、法が整備されようとも、日本の多くの会社の体質は旧態依然でさして変化がなく、もはや経済大国ではないし、先 -
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久しぶりの真山さんの本。
近年、政治関係にも手を出し始めていることは何となく認識していたのですが、
初めて真山さんの政治モノを読む機会に恵まれました。
やはり安定感があるだけに、その先の展開がどんどん気になります。
途中作品の中で出てくる作家が真山さんを憑依しているのでは?と(勝手に)妄想してしまったり、
色々と楽しめること間違いなしの政治小説。
テーマは日本のデフォルト(倒産)。
我々日本人としては、臭いものに蓋をしてしまっているテーマでもあります。
未来に(そして、未来の若者たちに)負債を残さないためにも、
日本人としてちゃんと認識しておかなくてはいけないテーマを
小説とという取っつき -
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ネタバレ冒頭から、通産省の青年、宇宙センの研究者、法務省の検事と、互いに無関係な人物の会話から始まり、数十ページ読み進めると、そのどれでもない特捜部の検事と若い宇宙研究を進める大学生がダブル主人公であることが分かり、中盤になっても話の展開が読めない、、そんな展開にワクワクさせられる。
キープレーヤーである橘洋平が悪党なのかヒーローなのかが最後の最後まで分からない部分が本作のミソだと思う。冒頭のシーンをみると、完全な悪党ではないことが何となく分かるが果たしてどんな仕掛けがあるのかが見えない。早く知りたいという好奇心を掻き立てられ、あっという間に読んでしまった。
結末はあっさり淡々と終わっていった感じ -
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女性初の総理大臣を目指す越村みやび厚労相。
超高齢化社会に突入した日本の切実な問題、高齢者のための施設=サ高住の法制化を巡り、彼女に贈収賄の疑いがあると情報提供者が現れる。
その真偽を確かめんと、特捜検事富永が動く。
富永検事、越村みやび、酒蔵を経営する彼女の夫、新聞記者の神林、それぞれの視点で状況が目まぐるしく変わる。
果たして、越村みやびは逮捕されるのか。
彼女を後援する姿勢をみせる現総理の本当の狙いは。
そして、女性初の総理大臣が誕生するのか。
追う者と追われる者、それぞれの思惑が絡む虚々実々の駆け引きに、読む手が最後まで止まらない。 -
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ネタバレ政府与党の中での権力闘争を描いた作品。政治の表舞台からはみることの出来ないフラ側での暗闘とも言える凄まじい権力への執着、そのためには手段を選ばない金の絡んだ闘争が生々しく描かれているのがとても興味深い。
とはいえ、若干淡白な表現が多く、もしかしたらもっともっと深くしつこくねちっこくせめぎ合っているところがあるのではないかと思わずにはおられませんでした。
星1つ減じたのは、物語の週末の終わり方があっさりとしすぎていたからなのかな?と思ったりもします。僕が長編・シリーズ物を期待するせいか、このあと続編が期待できるような余韻のある終わり方だったらもう一つの星も付けられたかな、と勝手な理由で星4つ -
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買ってあったのに読むのが遅くなった。表題の「プライド」は2008年初出。フィクションだが日本の現実を踏まえた貴重な取材がデータになっている。だが現状は殆どが変化がなく続いていることに考えさせられた。
「プライド」は人を高めもするが崩壊もさせる。7編の主人公たちの前向きの矜持に励まされる部分が大いにあった。
自分は余り関わりのないと思っているところが、知らない、気づかないだけで大きな影響を受けていることを知る。
真山さんの本を読むのは、こういったまっすぐな、直球ど真ん中という作品に触れることが出来るから。長く読んでなかったその後の作品を辿ってみたい。
一俵の重み
現在の農政について。食