【感想・ネタバレ】ベイジン(上)のレビュー

あらすじ

中国の威信を賭けた北京五輪の開幕直前。開会式に中継される“運転開始”を控えた世界最大規模の原子力発電所では、日本人技術顧問の田嶋が、若き中国共産党幹部・ドンに拘束されていた。このままでは未曾有の大惨事に繋がりかねない。最大の危機に田嶋はどう立ち向かうのか――。時代の激流と人間の生き様を描く著者の真髄が結実した大傑作。

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Posted by ブクログ

2008年の北京が舞台。

もう忘れてしまった感じがありますが、オリンピックの前で高揚する中国の雰囲気を思い出しながら、そのあと日本で現実になる出来事と合わせてタイムマシンに乗ったかのような感覚が味わえます。

小説にここまで描かれていたことが、なぜ、簡単に起こってしまったのか。

喉元を過ぎ、原発に頼っていく「この道しかない」雰囲気になった今、もう一度あのときのことを思い出すのにいい時期なのかもしれません。

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2021年10月18日

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北京オリンピックに合わせ運転開始が計画される世界一の規模である原子力発電所建設計画。そこに技術顧問として赴任する田嶋は現地工員と力を合わせ運転準備を進める。
政治的妨害や権力争い、杜撰な中国人文化を乗り越え無事運転開始を迎えることができるのか。

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2020年02月01日

Posted by ブクログ

政治のことも、エネルギーのことも
このタイミングで読むにはあまりにもリアルな内容。
丁寧に取材して書かれたこと、
そしてかなりのボリュームで真実も含まれているであろうことを考えると
隣国が舞台となったフィクションとは思えません。

人物の描写もいきいきとしていて、
ぐいぐいと話に引き込まれます。
大なテーマのドキュメンタリーのようです。

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2019年09月26日

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「原発は我々に素晴らしい恩恵を与えてくれる。だが、人間の心に隙が生まれた瞬間、神の火は劫火に変わる」原発事故と五輪開催を通して中国という国の姿を描く本書。福島原発とほとんど同じ事故が描かれているため、中国のことだけでなく、今回の事故の本質、そして原発のあり方について深く考えさせられた価値あるサスペンス小説。

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2018年10月10日

Posted by ブクログ

さすがだよ、真山さん...
北京での原発の話ですが、福島にそっくり置き換えられる。
これが東日本大震災前の小説とは...

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2016年06月26日

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下巻に期待!と感じるくらい、スピーディーによめた。原発や中国の政治闘争の内幕とかが詳細に描かれており面白かった。

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2016年01月16日

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中国での原子力発電所を建設する話。上巻では映画監督や中国の政治の話が多く、全体から考えると導入部分が多い。中国での常識や政治腐敗がわかりやすく描かれている

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2015年03月10日

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大作。そして傑作。

上巻は読み進めることがつらくなるくらい苦しい。
理解できない文化の違い、と一言で表していいのか躊躇うほど、
中国という国へ対しての不信感、嫌悪感が掻き立てられていく。
ほとんどの登場人物を嫌いになるのではないかと思うほど。

それがだんだんと、
すでに出来ている文化の在り方や、そこで育まれた人々の性質を
自分の価値観に照らし合わせてただ厭わしく思うということは、
知らないものをただ闇雲に恐れているということなのかもしれない、
という感覚にも似たあいまいな考えが、自然と自分の意識に染み込んでいった。
この国についてもっと知りたい、好きになりたいとも思った。

なだれこむようなラスト。
この先にあったのは、絶望なのか希望なのか。
できれば後者であって欲しいとひたすら願う力を与えてくれる作品。

読み終えたあとの興奮は、今までの作品では出会わなかったもの。
誰かに薦めたくなる作品。

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2014年08月12日

Posted by ブクログ

まるで、福島第一原発事故を予測していたかのような内容。

真山さんの社会問題を取り上げて読者に突き付ける書き口は、やっぱり見事だしすごい。

いろんなことを思うけど、確かなのは、原発の問題はものすごい政治的で、簡単に決められるものではないということ。
原発大国フランスでも、日本でも、中国でも、同様なのだと思う。

原発って一国だけの問題じゃないってことを、多くの人が見落としてる。
途上国はエネルギー不足で原発を建設したい。でも技術がない。そうなれば、原発大国のフランスや日本、そしてアメリカなんかの力を借りることになる。
原発は巨大な利権施設でもあるわけだから、技術を持ってる国は原発建設したい国と契約を結びたいわけで。
そこから巨大な利益が生まれるし、国家同士の結びつきになるから、どうしても政治的な話になってくる。
石油同様、国際的な関係が絡む複雑で繊細な問題だと、個人的には思ってる。

慎重に議論をして、迅速に決定を下していかなければならないと感じます。

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2014年02月28日

Posted by ブクログ

中国の実像をとらえるには むつかしいとおもう。
二人の主人公 日本人の技術顧問としての田嶋。
特命副書記 鄧学耕。
『切れすぎる刃物は、切れない刃物より使いにくい。』
というが、二人は 切れすぎながら 切れないような見事なキャラクター。
田嶋は 先頭に立って 行動する現場主義者。
中国人と融合して,中国人の面子も守りながら,根回しする。
鄧学耕は 情報収集能力があり、分析力や局面判断が巧みだ。
そして,クールでもある。規律もしっかり守る。
このような 中国人がいること自体が おそれおおい。

2008年に オリンピックがあり、
それに会わせて,世界最大級の原子力発電所をつくると言う。
ズサンで,手抜き工事が多く,品質を問題としない
同時に 安全という概念がない中国での日本の技術者の悪戦苦闘。
上から目線や中国人への蔑視がある日本人は,叩きのめされる。
それを 『希望』 という言葉で,深く結びつこうとする 鄧学耕。

遼寧省の書記 朱克明 は 李克強。共青団
大連市市長 趙凱陽 は 薄煕来。解放軍に力があるオトコ。
がモデルになっているのかな。
李寧寧という 紅陽市の女帝が どんな風になるのか?
それにしても 鄧学耕は、信念のオトコであり,
妻に罵倒されようと ただひたすらガマンする。
中国人的ではないような気もするが。
物語の幅を ひろげている。

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2013年12月30日

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2008年に発刊されたこの小説は二つの大事件を予想してしまっている。
北京オリンピックの開幕に合わせ大連の原発を稼働させる。そのトラブルに立ち向かう日本人技術顧問と中国人責任者。

この小説が取り上げたのは原発の全電源喪失と言う有り得ない事態。もはやフィクションではなくなってしまったのだが。

もう一つの事件は中国政府の権力闘争。明らかに李克強と薄熙来がモデルとわかる人物が出ている。

原発建設現場の無茶苦茶っぷりは笑えない。実際に建設中の橋が落ちたりが頻発しているが、それが原発だったらと考えるとしゃれにならない。

モデルになった大連の紅沿河原発は今年の2月に稼働を始めている。

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2013年08月04日

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官僚主義が蔓延り、汚職と権力抗争に明け暮れる中国の実相を、原発建設に絡めて描いた経済情報小説。
主人公は、紅陽核電の技術顧問となった日本人田嶋伸悟。
国家の威信を懸けた北京五輪の開会式に合わせ、世界最大の原子力発電を稼働させるべく、日本人技師の田嶋が技術顧問に起用される。
その開発責任者にと特命を受けたのが大連市党副書記の鄧学耕。
一方、映画監督の楊麗清が北京五輪記録映画の総監督に指名される。
この3人を中心に物語が展開する。
運転開始に向けて邁進しようとする田嶋の前に、鄧学耕が立ち塞がる。
中国内部の権力闘争と賄賂・汚職に翻弄されながら、様々な曲折を経て、田嶋と鄧学耕はお互いを認め合う間柄になる。
しかし、ナノテクレベルの技術と精度が求められる原発建設に次々と難問が・・・

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2025年07月03日

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2005-2007年頃、北京オリンピックの前の中国、建設中の世界最大規模の原発を舞台にして、日本人技師、中国の政治家の魑魅魍魎の世界と嫌の予感しかしない設定。勿論フィクションだけど、綿密な調査されたんだろうなあと思われる臨場感と、当時は予想だにしていなかったその後の現実に起こった東日本大震災とかも思いだされ、スラスラ読み進みました。下巻が楽しみ。

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2025年03月17日

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ネタバレ

感想
中国の急速な成長、国内格差、都市と地方の差別など様々学べる。

また、安全絶対の原発にも汚職が蔓延して、実績のない企業を使ったり、本当に中国の原発大丈夫?と心配になる。腐敗と金儲け。安全や人命は二の次。怖気がする。

あらすじ
日本の民間の原発技術者である田嶋は、日本でのプロジェクトが暗礁に乗り上げ、北京五輪に合わせて大きな原発を稼働させる技術責任者として赴任する。

一方、共産党でのし上がろうとする若手の鄧は、共産党員の不正を次々と暴いて地位を上げていた。鄧は突然、紅陽市の副書記として核電の完成と、裏の仕事として紅陽市に蔓延る不正を暴くミッションを与えられる。

田嶋は赴任後、セメントや鉄筋の質の悪さ、核電の大事な熱交換器が粗悪な材質作られていることを問題視していた。鄧に協力してもらい、金儲けしか頭にない副首相夫人の李をなんとか説得する。

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2024年04月07日

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この作品は2008年が舞台なので今から約15年前の設定だが、中国という国の官僚主義、拝金主義、原発の難易度の高さなどはほとんど変わっていないのではないか。変わったのは15年前よりも中国の国際的なステータスが上がった事だろう。
そういう意味ではこれから先は中国との付き合い方はもっと難しく重要になる。
この作品はそれらを題材にしながらも、根底には国家を超えた人間同士の信頼関係や絆を築き得るというメッセージが込められている。
蛇足になるが最後の終わり方は賛否両論あるだろう。私個人はもう少し最後まで書いてほしかった。

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2023年04月21日

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東日本大震災以前の作品と思うとゾクッとする。
原発に関しての思いを深くした。

諦めや絶望からは何も生まれない、希望は努力して奪い取るもの。

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2016年11月17日

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北京オリンピック迄に世界最大の原子力発電所竣工させる指令を受けた田嶋は紅陽核電の技術顧問として中国に赴任した。そこで田嶋を待ち受けていたものは中国という巨大な闇と欲望だった。。。技術顧問として絶対の安全を追求する田嶋と国家の威信をかけて無理やりにでも原子力発電所を稼働させようとする中国政府。田嶋はこの危機をどう切り抜けるのか!?

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2016年05月29日

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ネタバレ

自分の中での、中国人の認識がまだまだ甘い事を強く認識させらた、アジアという一括りでもやはり中国人は思想そのものが違う、日本にだってしがらみ、利権争いはある、が中国はそれを上回る得体の知れなさがある、そして原発、ゴフマンモデルは余り良く分からないがこれだけは言える「最悪を想定しない」嫌、想定した上で無視する、どんな国であれ国家権力程嫌悪するものはない。

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2014年11月27日

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中国に世界最大の原発を作るお話。中国の杜撰な業者や賄賂など、政治的な要素が強い所がよく出ている。日本の管理者が行くが、話や施工が中々進まない。下巻でどうなるのか楽しみです

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2014年06月27日

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ネタバレ

ハゲタカなどの金融業界と違って、原子力関連の片隅に所属する私にとっては言葉がわかりやすい。
想定上の会社も変換できるので、読みやすい。

それにしても、なぜだか中国絡みの本ばかり読んでいるような気がするなぁ。

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2014年02月09日

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ネタバレ

○真山仁氏の著作。
○中国における原子力発電所建設を主テーマに、原発の安全性、共産党の権力闘争、中国人の貧富の格差、中国人の仕事の姿勢など、現在のエネルギー施策や対中政策の課題等を明らかにした作品。
○具体的な場面における人間関係の描写が細かく、いつもならがに、著者の丁寧な取材の成果が現れていると感じた。

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2014年02月06日

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プロジェクト運用が非常に難しい中国でのプラント事業と原子力発電所の運用、今一番旬な話題を満載の小説。なりより書かれてのが、原発事故の前であるのが、著者の先見の明があるところですね。中国人の役人との駆け引きは、結構うなずけるところばかりです。

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2014年01月25日

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舞台は2008年中国。建設中である世界最大級の原子力発電炉は、北京五輪開幕に重ねる形での運開を計画していた。技術顧問として日本から派遣された田嶋は、日本とかけ離れた文化・体質に苦悩しながらも、原子力発電炉の安全運開に向けて奮闘するが…

福島第一原子力発電所事故を髣髴とさせることから、物語の後半に発生するシビアアクシデントに目を奪われがちですが、あくまで描くのは、中国社会の光と影です。
光が、物語で頻出する「希望」であるとすれば、影は中国が抱える「現実」といえるでしょうか。この光と影を北京五輪と原子力発電炉を題材に畏れることなく、描ききった著者に賛辞を贈りたいです。

北京五輪と原子力発電炉を題材にするのは巧妙ですね。
北京五輪が中国社会を発展に導く希望であるとすれば、世界最大級の原子力発電炉は、現在でこそ福島事故により世論の後退が激しいですが、当時は世界のエネルギー問題を解決する希望であったでしょう。そんな光の強い両者だからこそ、影の部分がより鮮明に写ります。
そして、この中国社会の影を知ることがとても面白かったです。
たとえば、「いつ使うか分からないものは、いま必要な者が使う。それが、中国なんだよ、田嶋さん」 これは、度重なる所内の窃盗に対する原子炉運転開始責任者・鄧の見解ですが、なんともリアルな表現ですね。
また、光と影のそれぞれに二面性を感じます。
北京五輪も希望といいつつ、結局は中国共産党の面子を保つだけの虚飾であったり、一方の影の部分では、汚職文化に飲み込まれず信念を貫く者がいる。こういった単なる光と影ではなく、それらに深みを持たせる描き方が、より中国を知れるきっかけとなりました。

さて、賛否両論のラスト。
物語としては尻切れに終わってますが、あえて描く必要がなかったのでしょう。「希望を勝ち取ってよ」という麗清の言葉を借りるならば、彼らが希望を勝ち得たのか、それは個々人が現実の中国をみて判断せねばなりません。

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2013年09月08日

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 北京五輪の開幕に合わせて、超巨大原発を稼働させて、中国の威信を世界に示そうと言う計画のもとに、日本人技術者、中国人技術者、政治家、官僚などの利害が絡み合いながらストーリーが展開していきます。
 
 ハゲタカほど面白くはありませんが、それなりに面白いです。

 日本でさえあんな原発事故が起きたのに、中国が原発をつくったらどれだけ危険なんだと怖いくなる本です。
 
 たぶん中国人が読んだら怒りだすか、もっともだと納得するかのどちらかです。

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2017年08月15日

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不肖もコロナ禍前までは、短期出張ながら幾度も大陸に足を運んで、中国を体感して来ました。首都には足を踏み入れたことはありませんが、河南省や大連には何度も行き、現地の人達との仕事に携わり、円卓での交流も深めて貴重な経験をしてきました。この小説とは全く非なる仕事ではありますが、空気感や人間関係など、非常に共感できる部分も感じながらページを捲りました。

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2025年06月22日

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中国の北京五輪開催日に合わせて
世界最大の原子力発電所の建設が行われている
そこに最高技術顧問として主人公が赴任する

原発事故は一度起きてしまうと放射能汚染により取り返しのつかないことになる。手抜き工事はもちろんのこと、一つのミスも許されない。中国で安全に建設、運用が出来るのか?

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

北京オリンピック前の中国を舞台に原発稼働に向けて奮闘する日本人技師、中国人政治家、中国人女性映画監督の話。
真山さんの作品には原発をテーマにしたものが多く、本作もフィクションではありますが原発についての学びがあります。

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

重苦しい内容だが、驚くほど読みやすい。
登場人物の人なりもよく書かれていて、
キャラたちがわかりやすく、あれよあれよと言う間に
読み終えた。

ただ中身が面白いかと言われると、
ものすごく面白いわけでもなく、
ホントに普通ーーなかんじ。

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2018年05月31日

Posted by ブクログ

中国の原発建設にまつわるフィクション
日本での事故後読むと原発の恐ろしさと中国の恐ろしさが解るが本当にありそうな物語。

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2016年05月09日

Posted by ブクログ

中国が北京オリンピック開催と同時に世界最大級の原子力発電所を稼働させるというプロジェクトが立ち上がり、日本人の原子力発電所の技師が技術顧問として赴任。中国の地方汚職や対日感情などさまざまな問題を抱えつつ、進んでいくお話し。

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2013年05月25日

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