真山仁のレビュー一覧
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再生可能エネルギーの一つとしての地熱発電について学ぶために八丈原地熱発電所に見学に行った際に、この本を知りました。この作品が書かれたのは2006年。2023年の現在は、原発の全停止を経て、電力自由化、再生可能エネルギーへのシフトが進む一方で、脱炭素と資源高への切札として政府と電力会社が原発再稼働を進めている。そして地熱発電の発電能力は2006年当時と変わっていない‥。地熱発電や原発のあるべき位置付けはどこなのか……。いろいろ考えました。
物語的には、ラストに向けて展開を少し急ぎ過ぎた感じが。
電力業界の10数年の環境変化を踏まえて、続編が出ないかな。
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アルツハイマー病で死滅した脳細胞を再生させる研究所の役員や研究者たち。
先端医療産業開発機構の役員。
総理大臣、秘書官や内閣参与など日本政府関係者。
さらに、宮城県警及び宮城中央署の刑事たち。
登場人物の多さに、名前を覚えきらない読み手(もの忘れな高齢者)には、便利な登場人物の一覧があり、大いに助けられた(笑)。
死滅した脳細胞を再生させる研究を行っている研究所の周りで、アルツハイマーの高齢者が次々と行方不明になる。不審を持った楠木警部補が捜査を始める。
ミステリアスな事件が連続する一方で、研究者たちが開発した人工万能細胞「フェニックス7」の是非を巡って日本政府内での主導権争い、さらにはアメリ -
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ネタバレ・日本では「話せばわかる」はずだから、コミュニケーションが重要と考える。外国では「話しても分からない」からこそ、互いの妥協点を見つけるためにしっかりと話し合うことが必要と考える。つまり根本的にコミュニケーションの捉え方が違う(p.6)。
・島国という地理的条件、長く続いた鎖国。日本では国民が均質で同一の価値観を有する社会になった。つまり、「多様性」から最も遠い文化の中で生きてきた。(p.12)
・自分の信じている神こそが世界最高だ。多くの「迷える子羊」に最高の神様を教えてあげたい。異教徒の目を覚ましてあげることこそが、信徒の使命=正しいこと、だと考える。
・日本人と中国人は明らかに価値観が違う -
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挫けたまま立ち上がれないでいる震災後の日本で、巧みな弁舌を駆使し国民の心を捉え、総理に登り詰めた登り詰めた宮藤隼人。
彼の政治信条に共感し、側近として支える白石望。
白石と同期で、政治の闇を追いかける新聞記者の神林裕太。
この3人を中心に、内閣官房長官、総理主席秘書官、事務秘書官、さらに敏腕記者等により、それぞれの思惑を秘めた虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
題名の「コラプティオ」とは、どういう意味か不明のまま読み続けたが、ラテン語で「汚職・腐敗」を意味すると巻末で明かされる。
原発産業による日本復興という大事業を計画する宮藤総理。日本フェニックス計画と銘打った政策は、震災で落ち込んだ日本 -
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福島原発事故の解明に設置された国会事故調の委員長を務めた黒川清氏の「規制の虜」、門田隆将氏の「死の淵を見た男」で福島原発に関する書籍を読んでいた事が予備知識となり、政府、官僚、政治家、東電そして鷲津率いるサムライキャピタル:投資ファンドのノンフィクションの要素も含んだハゲタカシリーズ、今回も読み出したら止まりませんでした。
今回は企業買収のストーリー以上に、原発を含む日本のエネルギー政策に係る社会的課題にも踏込み、また責任の所在を曖昧、うやむやにし、本質的な課題より体裁を重んじる日本社会の特性が随所に描かれており、非常に考えさせられる内容でした。
電気、ガス、水道、交通や通信といった生活基