真山仁のレビュー一覧
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この小説が、3.11原発事故よりも前に書かれていたことに、著者の先見性の確かさを見る。
『ハゲタカ』シリーズの著者が、火山大国である日本で地熱発電がなぜ発達してこなかったのかを明かし、原発という禁断の火を手に入れてしまった我々は後戻りできないのだろうか、そんな問いかけを迫る経済情報小説。
ファンド会社の上司から地熱発電会社の再生を指示された主人公野上妙子。
彼女が、地熱発電研究の第一人者者や日本地熱開発社長とともに、再建を果たすまでを描く。
小説内で、地熱発電の問題点として3つあげられている。一つは、コスト的ハンディが大きく、事業として魅力がないこと。二つ目は、政府の温暖化対策である助成措置の -
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被災地の小学校へ、支援の一貫としてやってきた小野寺先生。
彼もまた、阪神淡路大震災で妻と娘を喪った経験を持つのだった。
まもなく大震災から12年。
もう12年なのか、まだ12年なのか。
フィクションだけど被災地での問題や課題がリアルで、読み進めるのが辛い人もいると思う。
あの日東京にいたに過ぎない私ですら胸にくる描写がいくつもあり、割りきってページを捲らないと頭の中が津波や火災や瓦礫、何もなくなった海外の映像でいっぱいになってしまった。
小野寺先生は学校の子供たちを励まし励まされ、自分の傷も癒えてないのに生きていこうとしている。
小野寺先生にとっての子供たちのような心の拠り所がないと、足 -
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再生可能エネルギーの一つとしての地熱発電について学ぶために八丈原地熱発電所に見学に行った際に、この本を知りました。この作品が書かれたのは2006年。2023年の現在は、原発の全停止を経て、電力自由化、再生可能エネルギーへのシフトが進む一方で、脱炭素と資源高への切札として政府と電力会社が原発再稼働を進めている。そして地熱発電の発電能力は2006年当時と変わっていない‥。地熱発電や原発のあるべき位置付けはどこなのか……。いろいろ考えました。
物語的には、ラストに向けて展開を少し急ぎ過ぎた感じが。
電力業界の10数年の環境変化を踏まえて、続編が出ないかな。
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アルツハイマー病で死滅した脳細胞を再生させる研究所の役員や研究者たち。
先端医療産業開発機構の役員。
総理大臣、秘書官や内閣参与など日本政府関係者。
さらに、宮城県警及び宮城中央署の刑事たち。
登場人物の多さに、名前を覚えきらない読み手(もの忘れな高齢者)には、便利な登場人物の一覧があり、大いに助けられた(笑)。
死滅した脳細胞を再生させる研究を行っている研究所の周りで、アルツハイマーの高齢者が次々と行方不明になる。不審を持った楠木警部補が捜査を始める。
ミステリアスな事件が連続する一方で、研究者たちが開発した人工万能細胞「フェニックス7」の是非を巡って日本政府内での主導権争い、さらにはアメリ -
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ネタバレ・日本では「話せばわかる」はずだから、コミュニケーションが重要と考える。外国では「話しても分からない」からこそ、互いの妥協点を見つけるためにしっかりと話し合うことが必要と考える。つまり根本的にコミュニケーションの捉え方が違う(p.6)。
・島国という地理的条件、長く続いた鎖国。日本では国民が均質で同一の価値観を有する社会になった。つまり、「多様性」から最も遠い文化の中で生きてきた。(p.12)
・自分の信じている神こそが世界最高だ。多くの「迷える子羊」に最高の神様を教えてあげたい。異教徒の目を覚ましてあげることこそが、信徒の使命=正しいこと、だと考える。
・日本人と中国人は明らかに価値観が違う -
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挫けたまま立ち上がれないでいる震災後の日本で、巧みな弁舌を駆使し国民の心を捉え、総理に登り詰めた登り詰めた宮藤隼人。
彼の政治信条に共感し、側近として支える白石望。
白石と同期で、政治の闇を追いかける新聞記者の神林裕太。
この3人を中心に、内閣官房長官、総理主席秘書官、事務秘書官、さらに敏腕記者等により、それぞれの思惑を秘めた虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
題名の「コラプティオ」とは、どういう意味か不明のまま読み続けたが、ラテン語で「汚職・腐敗」を意味すると巻末で明かされる。
原発産業による日本復興という大事業を計画する宮藤総理。日本フェニックス計画と銘打った政策は、震災で落ち込んだ日本