真山仁のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
工事人の質の問題や地元の権力者の横やりなどで遅々として進まぬ上巻に対し、下巻は北京五輪開会式に合わせた原発の稼働というクライマックスに向けて一気に盛り上がり、頁を繰る手が止まらなくなる。
が、最終の終わり方に消化不良の思いも少々。
紅陽核電の技術顧問田嶋、核電運転開始責任者鄧学耕、それに映画監督楊麗清のそれぞれの視点で話が進む。
記録映画のメインにしようと楊の企画により、この3人が一堂に会する場面がある。
そこで楊は二人を繋いだ絆は?と問うと、田嶋は「希望」と答える。
「紅陽核電から始まるエネルギー新時代への希望であり、中国人民が心を一つにしたいと願う希望」と。
中国での原発建設を描いたこの小 -
Posted by ブクログ
『当確師』
選挙戦の裏側を抉る真山仁の傑作
1.真山仁さんの小説
社会の仕組みや人間ドラマを鋭く描き出してくれます。
参院選が迫るこの時期に『当確師』を読んだことは、非常にタイムリーで、その魅力に強く惹きつけられました。
この小説は、単なる政治ドラマに留まらず、私たちの固定観念を打ち破る「逆転劇」の舞台裏を鮮やかに描いています。
2.下馬評を覆す選挙戦の醍醐味
『当確師』の最大の魅力は、まさに「下馬評を逆転させる」という点にあります。誰もが当選不可能だと思っていた候補者が、当確師の手腕によって勝利を収める過程は、読んでいて胸がすくようなカタルシスを感じさせます。
世間の注目やメディア -
Posted by ブクログ
【一万円選書】
すごく丁寧に書かれた本、という印象。
東日本大震災のとき、ちょうど一番上の子を出産してすぐで、抱っこしてあやしていた時間だったことを覚えている。
めまいのようなゆらゆらがし、それでも天井のペンダントライトが揺れているのをみて、あ、これめまいじゃないんだ、と思い直し、テレビをつけたら津波の映像で・・そこから先はもうテレビが全部津波映像の繰り返しとあのACのCMでさ。
自分の周りでもボランティアに行く人がいたっけな。でも、私は子どもがまだ小さかったから、とても預けてまでいけないなと諦めた。あのとき、もっと身軽な身だったら、現場を見ることができたのだろうか。
行った人の話も聞いたし -
Posted by ブクログ
沖縄での自衛隊航空機の墜落事故、DV殺傷事件等を起点に、いまだに実質的な占領下にある沖縄の隠された権力遷移、闇を暴き出していく。沖縄は日本の延長線のようで本土とは離れた文化的基盤に身を置き、経済状況や生活環境、実質的な米国の支配的影響は、本土の目線からは中々見えてこないものが多い。沖縄の人が本土のビジネス界で頭角を表し活躍するケースも現在はとても多いが、地元の状況に対してどんな感情を抱いているかは興味深い。小説形式で書き出している本書だが、個人的にはやはり完全なノンフィクションとして読めるスタイルが好きだと思ったので、次は実用書を手に取ってみる。
-
Posted by ブクログ
何ものをも恐れず権威権力をものともせず立ち向かう鷲津政彦、企業買収を絡め、宿敵とも思える人物との戦いが引き続き展開される。
「俺は悪党じゃないさ。正義の味方だ。ただ、世間の正義とおれの正義が違うだけだ」と語り、さらに「悪いか?カネには色も国も、そして民族もない。ただの金だ。それをどう使うかは、使う人間が決める。・・・世界中の金を使って、この愚かな国に思い知らせてやるのさ。本当の再生とは何かをな」と、嘯く。
深謀遠慮と権謀術数を駆使し、企業買収を繰り広げる彼を駆り立てる源泉は何なのか、その回答が最終章で明らかにされる。
上巻のプロローグでの出来事が、ここで繋がる。
ある人物に接近し執拗に追求める -
Posted by ブクログ
ネタバレ大きく三部構成で、ノンフィクションか?というくらい、実際の事件・企業を(ちょっとだけ名前を変えて)登場させつつ、その裏側を掘り下げつつ作り上げるような内容になっています。
第一部 バルクセール
三和銀行の不良債権処理に関して
第二部 プレパッケージ
東ハトの民事再生に関して
第三部 バイアウト
足利銀行/金谷ホテルの破綻/再建に関して
ハゲタカのえげつなさ、日本の大銀行のだらしなさ、いいように利用される政府の無力さ、などなどに感じるイライラを楽しむ小説ですが、そんな中で考えさせられるポイントも多数あって、勉強にもなります。
例えば、足利銀行は預金保険法102条第3号と言う処理で、いった -
Posted by ブクログ
面白かった。
総裁選挙に絡み22年前に報道されなかった疑獄事件が、再び総裁選の中で密かに頭をもたげてくる。
そんな状況の中で当確率99%の選挙コンサルタント聖達磨は外務大臣の本多さやかの参謀に就いたが、聖の真の目的をカモフラージュしながらギリギリの票読を続けていた。
一筋縄では済まない政界の裏の動きや、総裁選挙に絡む力関係と政治力学の様や、アメリカや中国をも関係してくる難題を、聖達磨の行動と共に老練な新聞記者北原たちの取材活動を同時に描いている複雑な話を見事に纏め上げていた。
政治家、政治記者、検察官、政治家秘書、これらの魑魅魍魎的な人物たちの
伏魔殿の話を、興味深く面白くリアルに描き読み応 -
Posted by ブクログ
非常に共感できる内容だった。論の立て方とか本自体の良さというより共感度で星5つです笑
私が最初に著者の真山さんと同様の考えに至ったのは先の戦争の体験談からでした。子どもの頃から、あの戦争は間違いだった、負けると分かっていた、戦争には反対だったという話をたくさん読んできました。子どもの頃は、そのまま受け取り戦争は良くないっ!と思っていましたが、大人になってふと「こんなにみんなが反対していたのになぜ戦争は起きたのか」と疑問に思うようになりました。みんなが反対なのに起きたのなら、今だっていつ起きるかわからないということになります。戦争をしたにはした理由があると思ったのです。本書でも、そのことに触 -
Posted by ブクログ
下巻はいよいよ、鷲津と主都電会長・経団連会長の濱尾との全面対決が展開される。
濱尾は、鷲津の首都電への介入を何とか防ごうと策略を図る一方で、原発事故の責任を政府に押しつけようと画策する。政府内あるいは官僚の間でも、今後の原発の是非について様々な立場が入り乱れる。
その情報を巡って、暁光新聞の北村が、鷲津を挑発する日本通信の八島が。
株取引を行う鷲津を、証券取引等監視委員会が逮捕するとの情報も。
手に汗握る展開に、目が離せない。
そんな抗争劇の中で、ホッとする清涼剤的存在が、電力の鬼・松永安左エ門の言葉を信奉する首都電広報室の郷原秀樹と、首都電サッカーチームのエースストライカー萩本あかね。
鷲津