真山仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(上下巻合わせてのレビューです。)
真山さん最新の文庫本。
実は文庫化が待ちきれなくて、
映画まで見に行った作品(しかも一人で)。
予想通りというか期待通り、文句なしの★5つです。
日本の架空の自動車メーカー(アカマ自動車)をめぐる
主人公ゴールデンイーグルと中国ファンドの大買収合戦劇。
中国という国家の大きさや複雑さが物語に表現されていて、
今まで以上のスケールの物語になっています。
ハゲタカシリーズもこれで3作目。
もう続編はないのかなぁ。。
なかなかこれまで以上の作品を出すのは難しいですが、
真山さんには頑張ってもらいたいなぁ。。
(なんて、思っていたら、続編が次々に出ているようです。楽しみ!) -
Posted by ブクログ
久々にビジネス系の小説で面白いなぁと思った。
半沢シリーズ以来かも。
日本は火山大国なのに地熱発電が進んでいない理由が、すでに神の火を手に入れてしまったからとは、、、
ちなみに私は地熱はつまり火山活動なので山の近くに平べったい広い施設を作れないから進んでないと認識してました。
この本では政治的理由からなかなか進まないとかなんとかです。
「僕は技術者なんだと思います。論文を書くより、苦心惨憺して創り上げたものを実用化させたい。個人よりチームで目標を成し遂げたい。それが僕の喜びなんです。」
この本で地熱開発に取り組んでいる玉田さんの言葉。
、、、胸に刺さった。 -
Posted by ブクログ
オペレーションZ
最近読んだ小説で一番面白い小説であった。昨年から密かに個人的な真山仁ブームが来ているが、ハゲタカシリーズよりもテーマとしては面白い。
日本政府が赤字国債を発行し続けている現状へのアンチテーゼ。前職の総理大臣が体調不良でダウンし、急遽バトンタッチした内閣総理大臣・江島が日本の国債の問題を解決に導く為に、歳出を半減させるという政策を行うもの。半減の根拠としては、歳入と均衡させるというもので、これ以上赤字国債を増やさないための対応策である。歳出半減の計画を実行するにあたり、主に財務省官僚が特別チームと作り、オペレーションZと名付けられたこの政策の実行に奔走するというお話。
歳出半減の場合、社会保障費と地方交付税交付金をほぼ0円にすることでオペレーションZチームは実現を探るが、もちろん、厚生労働省や各方面からの非難に合う。財務省内部からもオペレーションZを快く思わないメンバーがメディアに情報を流すなど、妨害行為を企てる。
この物語の特徴的なところは、小説の章ごとに、作中に現れる作家・桃地実の『デフォルトピア』という小説の一部が挿入されている点である。『デフォルトピア』は日本がデフォルトし、福祉サービス等がすべてストップしてしまった日本で起こる悲劇的な状況を描写したものであり、完全なるディストピアが描かれている。まさしくオペレーションZはこのようなディストピアを防ぐために行われるのであるが、各章の最後にデフォルトピアが挿入されることで、最悪の未来をパラレルに描いており、これが物語に緊張感をもたらしている。
そして、もう一つの面白い点が、これは完全にネタバレになるのだが、この小説は完全なるバッドエンドで終わる。オペレーションZを断行する江島は最終的に与党内からも造反組が発生し、内閣不信任決議を提出される。与党内も造反している為、不信任案が可決される気配を察知し、解散総選挙を行うのだが、この選挙で江島を中心とする党は過半数が得られない状況となり、最終的には政権交代となり、オペレーションZは未完に終わる。将来的に爆発する爆弾を抱えながらも、人々はやはり今の自分の生活を守るという選択肢を取るのである。勿論、民主主義である限り、選挙の結果が一つの答えであり、国会議員は選挙に選ばれなければなれないし、政策も実行できない。しかしながら、ディストピアを避ける為に今身を切る政策を行う政権に対して、やはり国民は選挙でNOを突き付けてしまうというこの難しさをあえて描いているのは、この小説を単なるデフォルトピアへの警鐘に留めず、人間のある種の利己心や凡庸な醜さを炙り出す意味合いもあり、小説としての面白さが滲み出ている。
オペレーションZでは結局実現しなかったプランとして、相互扶助のネットワークを立ち上げることにより、医療費や介護費用なしで、これまでのサービスレベルを最低限維持するというものである。これまで、資本主義は消費単位を最小化することを心がけてきた。そして、その過程で自分らしさの追求という幻想と人々に植え付け、これまで現物でやりとりされていたサービスなどを商品化してきた。保険に携わって思うのは、保険商品は確かに人々に良い影響を与えることは十分理解しているのだが、同時に保険商品が不要な社会づくりもまた必要でないのかということである。無論、がんや医療費に関しては、専門家のサービスが必要であるが、例えば介護等に関しては、一定はコミュニティ内の現物ネットワークで補える部分もある。例えば、就業不能に関しても、面倒を見てくれる人や助けてくれる人が周りにいれば、何とか生き延びることもできるはずだ。これは、卵が先か鶏が先かという議論でもあるが、保険商品が確かに今の世の中にマッチしたものが多くあるが、やはり保険会社が需要を創り出している側面もあるだろう。私は、保険商品を販売しつつも、保険商品がなくても生き延びられるようなレジリエンスの高いコミュニティを復権を模索していきたい気持ちも強い。 -
購入済み
北京五輪開催に合わせて世界最大級の原発を稼働させようとする中国が舞台。日本人エンジニア、
密命を帯びて赴任した中国の官僚、オリンピックの記録映画を撮ることになった気鋭の映画監督
の三人の視点で物語が展開する。日本の常識が通用しない中国では、きっと多くの日本人ビジネ
スマンが苦労したに違いない。それにしても中国の権力闘争はあまりにえげつない。腐った連中
が富と権力を独占し、肥え太っていく様には怒りを通り越して恐ろしさを感じる。「諦めからは
何も生まれない。希望とは自らが戦って奪いとるもの」という一節が心に残った。オリンピック
開催直後に発生した原発事故は、まるで福一の事故を予言しているかのようだ。ちょっとした気
のゆるみや慢心が重大事故を招くというのはどこでも同じ。原発稼働に全力投入し、事故収束に
命がけで臨む原発マンの田嶋は立派だが、危機管理体制が全くダメで、かつ地震や火山が多い日
本にはやはり原発はいらないと思う。終わり方が唐突なのが残念だが、テーマの大きさを考える
とこれもやむ無しかと。