柴田元幸のレビュー一覧

  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    そろそろ事件が動く頃だろうと期待するたび肩透かしを食らいながら読み進めていって、最後数ページでようやく自分がこれまで読んできた物語の正体がわかった。アハ体験かよ。

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    2024年01月07日
  • トム・ソーヤーの冒険

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    ハックルベリーフィンの冒険を読んだ後、読まなければと思っていたこの本をやっと読むことができた。
    やはりとても面白かった。
    ミシシッピ川河畔の描写も多く、20年前に訪れた、マークトウェインの生家までセントルイスから車でドライブした時のことを思い出した。
    ミシシッピ川沿いをずっと北上してたどり着いた。
    道中所々で見えたミシシッピ川は水量が多く堂々としている印象だった。
    マークトウェインはもちろん知っていたが、まだ本は読んでいなかったので、ただ単に訪れたというだけで終わってしまったが、読んでから行けばよかったと今は後悔の気持ちでいっぱいだ。
    できれば再度訪れてみたい。

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    2023年09月18日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    村上春樹を彷彿とさせるような、
    非常に読みやすい文体。

    書き出しが本当に素晴らしい。
    この書き出しに、ノスタルジーもワクワク感も凝縮されている。

    再生と喪失を繰り返す人生
    登場人物もみんなチャーミング
    青春小説の傑作!

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    2023年09月11日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    良い本だ。
    M.S.フォッグの生き方に対しては、自分もそうなってしまうのではないかという不安と、羨ましさの感情が混ざる。

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    2023年07月18日
  • 雲

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    序盤、黒曜石雲の描写から始まり、終始どんよりした空気を感じながら読み進めた。
    度々差し込まれた奇怪なエピソードが鋭く心に残る。
    決して明るい物語ではないが、読書体験としては新鮮に感じた。

    主人公ハリーとその息子フランクとの関係性が独特(互いを尊敬しつつ、なんでも話せる関係、ではない感じ)で、こんな親子も良いなと思った。

    通して、ハリーの内面に迫っていく感じが面白い。

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    2023年06月04日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    衝撃。
    あらすじとしては単調なのに面白く読み進められる。奇妙な世界観。
    自己、考えること、書くこと、見ること、幽霊たち、たくさん考えさせられる。

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    2023年04月08日
  • ガリバー旅行記

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    『脚注14)したがって「普通」の人間とリリパット人との身長の比は、約十二対一ということになる。容積・体重で較べれば一七二八対一。ちなみに「ガリバー旅行記」刊行の一七二六年に書いたある手紙で、スウィフトはイングランドとアイルランドの富の格差を十二対一と見積もっている。イングランドによるアイルランド抑圧、というテーマは「ガリバー旅行記」全篇を通じて見隠れしており、ここにもその気配を見てもいいかもしれない』―『第1部・リリパット国渡航記』

    昔、岩波文庫版で読んだ記憶が微かに残っているけれど、子供向けに構成された物語に比べてひどく読み難い(日本語が、という意味ではないです)本だなと思った覚えがある。

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    2023年02月22日
  • ガリバー旅行記

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    子供の頃に絵本で読んだ一部分から、浅はかな想像をしていたが、良い意味で裏切ってくれた小説だった。
    ファンタジーではあるが、著者スウィフトの政治や人に関する思想が色濃く反映されている。注釈・解説を見ればそれがより顕著。

    人間とは姿形や思想の異なる様々な生き物が支配する摩訶不思議な国に流れ着くガリバー。そういった、実在しない、奇想天外の国への旅行記と見せつつ、当時の英国に関するさまざまなリアルが散りばめられている。

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    2023年01月27日
  • ガリバー旅行記

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    何より面白かった
    訳者のセンスある注釈で説明される皮肉とか暗喩が楽しくて楽しくて
    人にフォーカスしてその感情描写を精緻にするみたいな文学感をいい意味で感じなかったので勢いで読めた

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    2023年01月20日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    「闇の中の男」作中作と現実世界が交互に進み、どうなるんだろうと思ってどんどん読んだ

    ミステリーではないから伏線があって分かりやすく繋がっているというものではないが、通して読んで本当に良かったと思えた海外文学作品
    特に孫娘に語るソーニャとの日々のところが良かった
    読後感も良い

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    2023年01月05日
  • 翻訳夜話2 サリンジャー戦記

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    おもしろかった!
    ハルキストではないので、おもしろかったことが悔しい(笑)

    柴田先生との対談。ホントに楽しそうで、また、本の紹介本でもある…

    柴田先生のコール・ミー・ホールデンが良かったです。

    ライ麦畑でつかまえて、読みたくなりました。

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    2022年10月12日
  • 舞踏会へ向かう三人の農夫 下

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    作者が書きたい放題書いたというだけあって、とびぬけている。本国の出版が1985年という古さがどこにも感じられない。もっと早く読めば良かった。

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    2022年10月03日
  • オズの魔法使い

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    オズのライオンに言ったか『あなたに足りないのは自信です。』と言うセリフは自分に向けられたメッセージのように感じました。

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    2022年07月12日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    作者の意図は、小説を書くことを見ること。その人間離れした奇妙さを言語化すること。しかし、見ることは、書くことと独立はしていない。クールに見ることは出来ないのだ。見るものは読んでしまう、そこに自分自身を。関与しすぎるものに、自己を見失わせる。

    これはメタ小説だ。

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    2022年06月16日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    人生そのものの価値を改めて感じさせる物語。
    ストーリーも愉しいけれどどこを読んでも面白い語り口が気持ちいい。

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    2022年02月18日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『アメリカの多様性にもがく人達の再生物語』

    離婚・癌・退職と人生を終える場所としてブルックリンに戻ってきたネイサン。甥のトムとの再会をきっかけに、ニューヨークに暮す多様な人達との悲喜劇を描く。オースターにしては明るめなハッピーエンド物語だが、随所に挟み込まれたウィットはさすがオースター!

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    2022年02月13日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    軽易な物語ではない。
    張り込みをする探偵が相手を知る度に自分とその居場所に迷い込む。
    語りの主観と客観が行き来する進行に読者も迷い込む。
    私とは誰なのか。彼は私なのか。
    個の存在に社会が付き纏う...
    その旨を暗に示唆する解釈を孕んでいるのか。

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    2021年11月01日
  • デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化

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    自我を全体の一部としてとらえていた近世以前の世界

    産業革命を経てデカルト的な化学というイデオロギーによって自我は世界と切り離され、自然と人間のつながりが薄れ、今や多方面で限界がきているように見える

    今こそベイトソン的な全体論的世界の関わりかたを模索すべき
    という内容。非常に学び深い本であった。

    いままさにこの現代、筆者の描く全体論的な世界へのパラダイム推移を自分自身が体験しているのではないかと感じた。

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    2021年09月22日
  • 雲

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    出張で訪れたメキシコの古書店で、偶然手にした一冊の本「黒曜石雲」。そこにかつて暮らした街の名を見つけた事をきっかけに、物語が主人公の過去へと展開していく。スラムで生まれ、恋に破れ逃げるように世界を転々とし、各地で様々な人と出会い別れ、流されるように生きたハリー。時々「黒曜石雲」の調査の進展が挟み込まれ、アクセントとなる。数奇な彼の人生は、多くの偶然(必然?)に弄ばれ、幸福と過去の恋愛へのパラノイアの間で揺れ動く。物語の語り手であるハリーの、雲のように流れる人生を追体験でき、良い読書体験ができた。

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    2021年08月02日
  • インヴィジブル

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    『真実を求めれば求めるほど、目に見えない物語』

    1967年コロンビア大学での二人の出会いから物語は始まる。複数の語り手が語る物語は、一体何が事実で何が作り話なのか、その境界が『不可視』である。最後まで、物語の全体像は『不可視』である。でも、それが心地良く感じるのが、ポール・オースター。さすがです。

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    2021年07月21日