柴田元幸のレビュー一覧

  • 翻訳夜話2 サリンジャー戦記

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     読んだばかりのJ.D.Salinger の「Catcher in the Rye」について、訳者である村上春樹と、それを教材に東大で講義をしている柴田元幸が徹底的に語り合っている。

     この小説は「社会に反抗する無垢な少年の物語」という評価が通り相場らしいが、村上も柴田もそれに関してはとても否定的である。以前は、若者はこの小説を読まないことには話が始まらないというところがあったそうだ。ところが二人の対談を読んでいると、とてもそんな単純な物語ではないことに気付かされた。

     二人は「トム・ソーヤー」や「ハックルベリー・フィン」を引用しながら、ヨーロッパにある成長物語はアメリカにはない。反成長物

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    2014年06月06日
  • 翻訳夜話2 サリンジャー戦記

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    この本を読んだあとに村上訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」も読みました。作者との契約で村上春樹訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」に翻訳者のあとがきを載せることができないために、こちらに掲載されたとのこと。学生時代に野崎訳で「ライ麦畑…」を読んで以来の再読なので、予習のつもりで、こちらを先に読みました。
    翻訳者のレベルの細かい話がたくさんあって、翻訳された日本語をぼーっと読むだけの読者の私としては、新鮮でなかなかおもしろかったです。

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    2013年10月01日
  • 翻訳夜話2 サリンジャー戦記

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    「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が大好きなので。
    すごく良かったです!
    改めてサリンジャーのこの作品が、どれだけ凄いか分かりました。
    そしてそれを見抜かれたお二人も。

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    2012年08月13日
  • プロット・アゲンスト・アメリカ

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    わりと困惑させられる「だーいどーーーんでーーーんがえしーーー!!!」みたいのがあって、おいおいそれでええんか?『夜と霧』みたいなシリアスさの偽史ものとして読んでいたのに。終盤で『アフリカンカンフーナチス』みたいになっちゃう(というのはさすがにいいすぎ、でもいいたかった)のはつっこまれるべきだろう。
    民族差別が、全面的な抑圧ではなくて分断と懐柔により達成される、というのは極めて今日的。フルコース食べてる時にワインのグラスを倒してシルクのクロスとメインディッシュがびちゃびちゃになるみたいなイヤァ〜な怖さでよかった。
    市井の人の意地や信念みたいなのを描くのが上手な人。登場人物の内心でなく言動を描写し

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    2026年03月19日
  • 舞踏会へ向かう三人の農夫 下

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    複数の視点が一つの写真に収束する感じ、アメリカとヨーロッパの現代史ををそこに束ねてゆく感じ、疾走感があって好き。
    ただし皮肉めいた軽口の頻出は上巻とかわらず鬱陶しい。
    私は知的だ!知的だ!ところで君は?といわれてるみたいでクソムカつく。

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    2026年03月18日
  • バウムガートナー

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    PAUL AUSTER 2024年に亡くなり、これが:最後の作品らしい。
     ニュ-ヨ-クで暮らしていた二人が、結婚に至った経緯、そして妻の海における事故死。10年後の私の生きざま。作家は実に物語をうまく作るのだ。なぜなら、PAULの奥様は健在だし、彼は肺がんでなくなっている。私は1年前妻を肺がんで亡くした。
     主人公と同じ状況で、おそらく小説の中の私と同年配。奥さんが私と同い年と思われる。10年後の自分がどう思っているか、小説に書けるものなら書いてみたい。
     世の中には夫又は妻と生き別れ、死に別れされた人も多いだろうが、皆さんどうされているやら、様々であろうがやはり残ったほうは、生きてゆかねば

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    2026年03月03日
  • トム・ソーヤーの冒険

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    僕が小学生の時代のことなんだけれど、今僕が死んだらみんなどう思うんやろう。町中僕の話で持ちきりになって、地元のヒーローになれるのでは?それをあわよくば俯瞰して反応を見てみたい!海外のリカクション動画を見る感覚で!って思ってた部分ある。でもそれは、小学生という小さなコミュニティ(この物語ではアメリカの1830年台で、日本の戦前のような感覚)で人々の輪が密接に結びついた共同体だから!確かに僕もあの頃は最新の電子機器が3DS!すれ違い通信でポケモンバトルするのが最新の遊び!だった頃から急にプレステの通信対戦になり、スマフォーで見知らぬ人と荒野行動もできるし荒野行動で結婚もする時代。人と人とのつながり

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    2026年03月03日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    ネタバレ


    感想書きにくい作品だよなあ。オースター作品は何年も前から読もう読もうと積読状態で、そもそも昔通ってた美容室のお兄さんが『ムーンパレス』を薦めてくれたのがきっかけだったのだ。それもまだ半分しか読めてないのだけど、これを機に読み進めたいと思う。

    ブラックを見張るブルー、そのブルーを見張る私たちという多重構造。ブラックは見張られることで自身の物語を形作り、そして終わらせようとしている。ブルーがブラックへ接触を図ろうとするところから一気に展開が出てくる。それまでは淡々と、色のない情景が続くように思える。派手なことは起きないけど、何か惹かれていく感じ。

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    2026年02月28日
  • バウムガートナー

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    バウムガートナーはなぜ喪失から立ち直れたのか。私は、奥様からの不思議な電話を通して、ポジティブな意味で忘れないで欲しいと言われたからだと思った。いつまでも過去の幻影を引きずるのではなく、新しい人、ことに接する中で、故人を再認識することなのかと、最後の若い研究生へのサポートを整えている様子から、そう思った。

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    2026年02月22日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    引力のように引き寄せられる不思議な縁。
    死を垣間見て生を実感、孤独と後悔、渇望の日々と心の充実が繰り返し描かれる内容は、描写がリアルでシーンが鮮明に思い浮かびます。なので、追い詰められる感覚のストレスに読者も苛まれます。

    フィクション小説ながら、20世紀後半のアメリカ(例えば書き出しが「それは人類が初めて月を歩いた夏だった」等)の当時のニュースが織り交ぜられ、創作と事実が上手く交差しているから、なんだか1人の実在する人物の話を聞いているようでした。
    情緒がありグッとくるとても美しい小説。

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    2026年02月21日
  • バウムガートナー

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    大きな出来事が起こるわけでもなく、妻を失った喪失感が漂い、大半は過去の回想で進んでいく。が、不思議と重くない。悲しみを抱えながらも、新たな人との出会いやかつて幸せだった記憶を支えにしながら、残された者は淡々と日常を過ごしていく。ポールオースターの遺作。

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    2026年02月11日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    舞台はリーマンショック後のアメリカ

    ブルックリンの廃屋に不法居住する若者三人を描いた群像劇。

    大不況の中で、もがき苦しみ懸命に生きる若者達のリアルな心理描写が心に沁みる。
    慣れない海外文学で苦労したが、この作品を読めて良かった。

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    2026年02月02日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    挫折と希望の繰り返し、偶然の連鎖
    主人公は寂しい人にも思えるけど、豊かな経験をしたんだと思う。ただ、大切なものを失いすぎた
    最後には希望を持っているところに救われる
    「見るということはなにか」というエフィングの言葉には考えさせられる
    ひとつの人生を語り終えたような壮大さを感じた

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    2026年01月29日
  • トム・ソーヤーの冒険

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    腕白少年トムと他の子供たちの勇気とスリリングさ、ドラマ性を持った、マーク・トウェインの代表作。冒険の中でも、リアリスティックを実現しているため、登場人物の心情に自分を重ねやすい。少年時代に戻りたいときに読むのがいいかもしれない。

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    2026年01月12日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    はじめて読んだポール・オースター。なんと言うか雰囲気がある作品ですね~。皆が読んで面白いと感じるかは疑問ですが僕は結構好きな感じかも(笑)登場人物たちがブルーやホワイト、ブラックなどの呼び名なので人間としてイメージできない感じだった(笑)もっと他の作品を読んでみよう(笑)

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    2026年01月07日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    「音楽的な文章ってなんだ」と思い、購入。
    本当に音楽的な文章だった。この言い表し方が最適だ。ラストは駆け抜けた、ともまた違うような感じがした。

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    2026年01月04日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    リーマンショック後のニューヨーク。
    空き家に不法居住する4人の若者の群像劇。

    不確かな未来の中、お互いなんとか寄り添って、
    歩きだそうとした彼らに突きつけられた現実は…。

    今だけのため、この瞬間、このつかのまの瞬間の
    ために生きるんだ。マイルズの言葉の重みをひしと
    感じながら、今日も夕日が沈んでいった。
    家族の優しさがいい。

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    2026年01月03日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    P・オースター作品の中では少々異色の現在進行形(既に15年前となる2010年に刊行されたことを踏まえても)の空気が流れる群像劇。登場人物はそれぞれ問題を抱えているしすっきりとした解決などはない。そんな先の見えない不穏で憂鬱ムードの中に時折現れるきらめくような人生の輝きに、この時代を生きてゆく希望を感じる。

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    2026年01月01日
  • ハックルベリー・フィンの冒けん

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    1800年代アメリカでの冒険の空気感再現が最も素晴らしいと感じた点。黒人奴隷の扱いをはじめとした多くの制度や社会が現代の日本と違っていていろいろ勉強になるけど、なんといってもあの開放感、自由な旅の雰囲気が心地よい。個人的にはハックが黒人奴隷制度の中では重罪になると知りながら、地獄に落ちる覚悟を口にしながらジムの逃亡を助ける決心をするシーンは、社会と個人の倫理観が食い違ったときにどうふるまうべきかということに対するトウェインの答えを示していると感じ、かなり感動した。

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    2026年01月01日
  • プロット・アゲンスト・アメリカ

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    ネタバレ

     1940年の大統領選挙にリンドバークが立候補しFDR相手に圧勝。ドイツと日本と相互不可侵冗句を締結し、日本・ドイツの侵略を許す。国内は徐々にファシズム化していき、ユダヤ人同化政策が進められる。微温的なユダヤ人迫害しか行わないリンドバークが暗殺され、ウィラー副大統領が独裁を進めようとするが、リンドバーク夫人が阻止を図り、1942年に大統領選が実施され、FDRの支持を受けたラガーディアNY市長が当選する。しかし、ポグロムは止まらない。
     別の世界戦ではあるが、ニューアークのユダヤ人街での少年(著者)の経験が濃密に描かれる。
     現実のリンドバークもAmericaFirstのアジテータとして反戦・親

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    2025年12月30日