柴田元幸のレビュー一覧

  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    翻訳小説とは思えない文章の良さ!
    表現が全部良くて、刺さりまくって大変でした。
    面白い比喩表現が多くて、言葉遣いがとっても好き。
    著者も訳者もほんとに素晴らしいです。柴田元幸さん訳の本もっと読みたくなっちゃった。

    内容は非常に壮大で先が読めなくて面白かった。
    時系列がごっちゃになってて、頭の中の回想を追ってるような感覚。
    楽しかったし、展開が全く予想つかなくて驚かされてばかりだった。
    大変面白かったです!

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    2025年04月07日
  • 4 3 2 1

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    訳者が後書きの最後で書いたように、この途方もない物語に耽溺、はした…
    まぁ、大分的が外れてるかもなのだが、途中、まるでアメリカの大河ドラマのようだなと思った。
    日本の大学紛争はニュースや小説等で触りだけの関わり方しかしていないものだから、あちらのそれの描写のシーンでは、ファーガソンに感情移入しているものだから、かなりの迫力と無惨さをもって伝わってきたように思う。
    それにしても、そういうことをする年になってから以降は、女も男も相手にするセックスの話も多く、これはこれで興味はあるのだが、寧ろそういう時代を、もう、振り返るだけしかできないような年代になったファーガソンが、回想ではなく、そこからまた何

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    2025年03月23日
  • 鑑識レコード倶楽部

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     とにかく一人称の語りで物語が淡々と進む。過去の回想シーンなど一切なく、1〜3章のような仕切りもない。比喩的な表現もなく、余計なものを削ぎ落とした文体がなぜか心地いい。
     その文体だからか、何度も同じ箇所を読み返すようなこともなく、1日で読み終えた。
     「登場人物を回想しないから感情移入がしづらい」、「比喩表現がないから物語に広がりがない」、のにめちゃくちゃ面白い。オフビート映画に出逢ったときのような静かな余韻を感じる。

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    2025年03月16日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    シンプルに読みやすい。
    相手を見張るだけ、という単調な設定だからこそ、自己との対話を通して疑心暗鬼に陥っていく展開がとても良い

    ミステリーの展開がワクワクするので読み終わりのスッキリ感がありつつも、他者を通して自己の存在を確認するというテーマが最後に残されて、行為と行為による影響が人間を人間たらしめていると改めて考えさせられた

    あと海外小説、映画あるあるで名前覚えにくくて発生するノイズがなかったのが地味に助かった

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    2025年03月15日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    1人の老年男性が主人公の中編2編からなる本作。
    いずれも静かな語り口で、著者独特の画中画のような構造は共通しているものの、物語の雰囲気は少し違います。
    とはいえ、いずれもどこか“不安”や“不穏”が付きまといつつ、どっぷりとその世界に浸って読書時間を堪能しました。
    ポール◦オースター的世界に浸れる良作だと思いますが、もう新作を読めないのかと思うと非常に残念でなりません。

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    2025年02月13日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    狂った若者とイカれた老人とのキテレツな関係も、読み進めるうちに頼もしいコンビのように思えてくる。
    主人公と関わる登場人物の多くは、割り切れない葛藤と独りよがりでもそれを打破する工夫や拘りが散りばめられている。狂っていてもイカれていても同じ人なんだと思えた。

    タイトルにある「ムーン」という言葉が、全編に渡って多くの描写に使われているのも読み終えて納得。
    これは読んで良かった。
    自分の人生の終盤にもう一度読むといいかもしれない。

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    2025年01月18日
  • 英日バイリンガル 現代ゴシック小説の書き方

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    なかなか興味深いエッセイだった。子供の頃に難解な本を読んで、分からない言葉があったり理解出来なくても、得るものは時にすごく大きかったりすること。これは本当にそう思う。今でも難解な読書体験をすることがあるけど、これがいつ深い理解や気づきに繋がるか分からない。英語も口語的で分かりやすいので、英語の勉強にもオススメ。

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    2025年01月16日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    最後の1章が良かった。
    最後の章の為に、それまでの複雑に絡み合ったストーリーを読んできた甲斐があったと思えた。

    最初から最後まで主人公には共感できず、途中で語られる砂漠での物語は正直つまらなかったが、この小説を貫く哀しい諦観のような空気感は楽しめた。その哀しさを最も感じられたのが最後の章であり、最後、主人公が到達した浜辺で見上げた月は、この物語中に一貫して存在する哀しさの象徴に思えた。

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    2025年01月15日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    ブルックリンって書いてあったからリサイクル本を購入。
    読み終わった後にポールオースターって見て納得。
    そして驚き。笑
    結構好きな作家だし作者見ずに読んでても無意識に好きなの選んでる…!

    割とリアルなニューヨーク(ブルックリン)の人たちって所が良かった。
    全然キラキラしてないの。
    みんな人生こんなもんじゃないかな。
    ハリーだけがある意味キラキラかな。

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    2025年01月13日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    ブルーに課せられたのは、ただ机に向かって書き物をするだけのブラックを見張ること。
    そのうち、自我が融解してブラックと融合したかのような奇妙な感覚に陥る。
    ブラックはブルーの合わせ鏡でもある。
    ブルーの視点を通して、わたしたちもブラックを知り、ブルーを知る。
    ブラックにとってもブルーの存在は同じようなもので、だからこそブラックはブルーを殺せなかったのだろうし、そこで怒りに任せてブラックを殺してしまうブルーには狂気すら感じる。
    その後、ブルーが正常に戻れることはあるのだろうか。ブラックを失って。

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    2025年01月06日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    2024年に亡くなったアメリカの作家、
    ポール・オースターが描く、私立探偵の物語。

    登場人物は、(実在の人物等を除いて)全てが色の名前で、奇妙な展開や駆け引きに夢中になりました。

    ページ数も130ページ程度と非常に短いので、1日で一気読みでき、2024年の年納め小説とさせていただきました。

    実は、ニューヨーク3部作の第2作目とのことで、
    話は繋がってないらしいものの、1作目のガラスの街から読むのもアリだったかもと思いました。

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    2025年01月06日
  • 4 3 2 1

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    遂に、読み終わった…
    1947年生まれのポール・オースターによる自伝的小説

    戦後史において恐らく最も激動だった60年代を若者として生きることは、自らの可能性が何通りにも分かれパラレルワールドの如く並行して存在するように感じるのかもしれない

    面白かった!

    自伝的小説というより、彼の世代の大河ドラマと言うべきか

    青春の戸惑いと喜びを書かせたら彼の右に出る者はいない
    身体と精神の変化、神との関わり、性愛、クィア、闘争、死…
    辟易しないのは、この小説のスタイルと、彼の「小説と思弁的な散文のあいだの微妙な線を歩く術」のおかげだ

    そして、
    今の制度がダメだからと革命を起こそうとして失敗したのが6

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    2025年01月04日
  • 4 3 2 1

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    面白い!790ページの物語に一週間どっぷり浸かって、まずはそう言い切れる。が、いやー疲れたってのも本音。
    ひとたびファーガンソン君を好きになってしまえば、横溢する詩、書物、音楽、そして映画の固有名詞も、ファーガンソン君を形成していく重要なピースとして愉しく読める。
    しかし、教養といってしまえばそれまでだが、誰の本に感銘を受け、どの映画が最高かを論じるのが友情を築く土台だとすると、僕などは全く資格に値しないのは残念なところ。ファーガンソン君は1960年代アメリカの空気を胸いっぱいに吸いこんで青春を駆け抜けていく。

     “これまでファーガンソンはいつも、人生は一冊の本に似ているとあらゆる人から言わ

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    2025年01月04日
  • 英日バイリンガル 現代ゴシック小説の書き方

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    作品紹介・あらすじ

    エッセイで指南し、
    小説で実践してみせる。
    当代一の書き手によるゴシック入門。

    エドガー・アラン・ポー、ウィリアム・フォークナーから始まり、内田百閒、伊藤潤二、柴崎友香、『鬼滅の刃』までのゴシック、ホラーの作品世界を、現代アメリカの最重要ゴシック作家のひとりブライアン・エヴンソンが語り尽くす。書き下ろしを含むゴシック小説4編(うち3編は本邦初公開)と、柴田元幸との対談も収録。完全英日バイリンガル本。

    *****

    ブライアン・エヴンソンは大好きな作家の一人。今のところ翻訳されている彼の作品は「遁走状態」と「ウインドアイ」の二冊だけだけれど、僕は二冊ともに五つ星にしてい

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    2024年11月20日
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)

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    オースターの訃報に悲しみながらじっくりと。
    主語?を「君」にして幼い頃からを振り返るのと、もっと混乱に満ちた青春の日々を語る2篇の自伝。瑞々しく、ロマンチックで、かえすがえすももうほぼ新作が読めないのが寂しい。

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    2024年11月09日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    前回読んだ『幽霊たち』も、主人公が「自分が何者かわからない」状態から本当の自分に戻っていく話だったけどこういう作風なのか。
    オチが興奮するタイプのものじゃなくて静かに取り残されて終わっていくのだが、私は結構好み。

    まだ著者の作品は3作しか読んでいないが、主人公が自身の内面と対話している様子を俯瞰したり時には自分とリンクさせたりしながら本と精神的に繋がっているような感覚になる。

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    2024年10月01日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    オースター初期、ニューヨーク3部作のうち「孤独の発明」と「幽霊たち」は読んだ記憶があるのだが本作は未読。追悼特集で平積みになっていたところでついに手に取った。
    探偵小説のような体裁で書かれているが、探偵小説のような謎解きも、事態の進展もない。
    馴染みがありそうな例えをするならば、村上春樹的な不思議空間に迷い込み、探偵のようなことをさせられた男の物語といったところだろうか。

    いささか実験的小説のような印象も受け、いろんな手法とテーマが混ざり合っているのだが、敢えて軸となるテーマを探し出すとするのであれば「言葉」と「狂気」と「認識」だろうか。
    虐待を受けて育ったクライアントが用いる違和感のある言

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    2024年09月22日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    「それは人類が初めて月を歩いた夏だった」
    主人公マーゴの物語が始まる。

    敬愛するビクター伯父さんを亡くしてから、隙間から見える「ムーン・パレス」のネオンサインを、ただ眺め、思い浮かべるだけの生活を彷徨う……やがて、友とキティという女性に助けられて、無為の果てから生還する。

    そののちに出会ったエフィングという人物が、主人公に生き様を見せる。
    「……どこでもない場所のど真ん中の、何もない荒野に、独りぼっちで何か月も……わしはどこへもいく必要なんかないんだ。ちょっとでも考えれば、とたんにもうそこに戻っているんだから。このごろじゃ一日の大半はそこにいるのさ……」

    物語は次に主人公マーコとエフィン

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    2024年09月16日
  • プロット・アゲンスト・アメリカ

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    直前に読んだアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』が、”リンドバーグ誘拐殺人事件”を下地にして書かれていましたが、本作でも言及されていました。読書していると、不思議な繋がりって結構あるものですよね。

    小さな単葉機を操縦し、人類初のニューヨーク=パリ間の大西洋単独無着陸飛行を達成したリンドバーグ。アメリカ国民に絶大な人気のあった彼は、親ナチス的で反ユダヤ人主義の考えを持つという別の面も持っていました。本作は、そんな彼が世界大戦の嵐吹き荒れる1940年に、もしローズベルトの代わりに大統領になったら……という歴史改変小説。

    アメリカ国内に限れば、戦争に参戦せず、強制収容所もない平和な国を

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    2024年09月05日
  • デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化

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    世界観と社会構造 こてまで哲学とは個人の生き方を追求していく思想と考えていたが、この本を読んで、哲学の世界観が科学の発達を含めて我々人間社会に多大な影響を与えていることを考えさせられた。
    筆者は、これまでの伝統的な西洋の世界観はいわゆるデカルト的思考体系であり、そこではものを知るには最小の単位にわけること(原子論)、世界は物体と運動の二者ですべて形作られている(宇宙像)とされてきた。ガリレオやニュートンの発見もこれらの世界観に基づいたものである。ただ、この考え方は「参加しない」意識が前提にあり、その為に最近ではいろいろなところで行き詰りが感じられつつある。これに対してペイトソンは自然を我々との

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    2025年12月16日