柴田元幸のレビュー一覧
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『ブルックリン・フォリーズ』を読んでポール・オースターにハマり、『ガラスの街』、『幽霊たち』、『鍵のかかった部屋』とニューヨーク三部作を読んで、一作飛ばしてオースター5作目となる本作を読んだ。
ニューヨーク三部作のようなメタ的な作品ではなく、程よくエンタメしていてどちらかといえば『ブルックリン・フォリーズ』に近いが、人間ドラマには全く収まっていない。登場人物が少ない分、主人公の内面がフォーカスされ、極限的な状況と強烈な人物の洪水によって現実離れした魔術的な魅力を持った作品となっている。
物語の前半は、全てを失った天涯孤独の青年が友人や恋人など周りの人たちの力も借りながら自分のアイデンティティ -
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ネタバレ児童書から哲学までの多ジャンル、古代から現代までの作者別書評。本の紹介のほか、次に読むべき本も紹介。
浩瀚すぎてカラー刷大型本で枕にするにも大きすぎ。翻訳された本のうち2割弱は既読だが、死ぬまでに読む本が見つかった。
・ベスト&ブライテスト→輝ける嘘
・異星の客→猫のゆりかご
・ブルックリン横丁
・精霊たちの家
・真空ダイヤグラム
・高慢と偏見、高慢と偏見、そして殺人
・バーブル・ナーマ ムガル帝国創設者の回想録
・2666年 R.ボラーニョ
・地中海 ブローデル
・抱擁 A.S.バイアット
・大いなる眠り チャンドラー
・彼らの最良の時 チャーチル
・ノヴァ S.R.ディレニ
・薔薇の名前 -
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Twitterで見かけて面白そうだったので書店で購入。
英米作家の短編&エッセイ22作品+芥川の翻訳と短編が2作品。シリアスとコメディが混ざり合いとても良い。
「張り合う幽霊」が一番好き!!
←本人に憑いている幽霊とお屋敷に憑いている幽霊がケンカしちゃうお話。オチも可愛くて大好き。著者ブランダー・マシューズの小説が邦訳されているのはこれが初めてらしい。世界には私が好きなタイプのお話がたくさんあるんだろうなぁ。
あとは機械の進化を描く「機械時代のダーウィン」や→
ウィチ通りの場所で議論になり殺人に発展してしまう「ウィチ通りはどこにあった」、ロマン・ノワールの先駆け的作品らしい「ささやかな忠義 -
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読み終わった!なんじゃこりゃ。世にも奇妙な物語。整理するために感想を書く。
ポール・オースター名義の一作目『ガラスの街』に続いて二作目。
私立探偵のブルーは、ホワイトからの依頼で向かいの部屋からブラックの監視をする。ブラックは毎日本を読み、何かを書くだけの変わらない日常を続けている。それでも報告書を毎週送り続けるブルーだったが、だんだんと変化を欲する衝動と空想が拡がっていく。
またしても探偵小説風の始まり方で、前作『ガラスの街』と似たところもあるが、本作はさらに内省的で透明度も増している。前作の偏執な妄想を更に推し進めたような(まさに幽霊のような)掴みどころのない小説だった。それこそが狙い -
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60歳を前に終の住処として生まれ故郷のブルックリンに帰ってきた男が偶然に行方知れずの甥に出会い、彼の人生は新たな展開を見せる。
ポール・オースターは初めて読んだが、思っていたより(良い意味で)馬鹿馬鹿しくて愉快。
しかし後半になってくると、これでもかと巻き起こる予期せぬ出来事に手が止まらず、一気に読み終えてしまった。小説はこんなこともできるのか。文章は軽快で読みやすくずっと楽しいし、重い話もありながらも温かい気持ちにさせてくれるので万人にお勧めできる名作。
群像劇でありながら終始主人公のネイサンの目線で語られるが、章で話がまとまっていて短編集のようで飽きさせない。何よりユーモアのセンスとリ -
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ニューヨークに住む若き探偵ブルーはとある人物の監視を依頼される。監視対象は毎日部屋で物を書いて過ごしている男で、いっこうに正体が判明しないのだが…という探偵小説風な始まり方をする観念的な物語。文章を書くということと書かれた文章を読むということ、あるいはシニフィアンとシニフィエ、書物・文章・作家・作品にまつわる抽象的な思索がそのままドライかつ叙情的な物語になっている。相変わらず腹が立つほど都会的でかっこいい。
ブルーがブラックを監視する様子は淡々としている一方で、合間合間にはさみこまれる思い出や、作家たちのエピソードがやたらと濃い。ホイットマンの脳みそとおまるの話やブルーと父親の思い出などがブ -
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割と忙しく、寝る前にちみちみと読んでいたら上下で1か月くらいかかった。
個性的で何を問うても自分の意見を言わず、歴史的な事実や格言のみを返す、そして謎の深刻な病気を患う父。
そしてその奇妙な父に振り回される家族。家族ゆえに放っておけない面倒さ、窮屈さ、心配、そして愛情。
様々な感情が浮沈しつつ明らかになっていく父の秘密。
ゲーム理論の一角をなす難題、囚人のジレンマを底に敷き、そのフレームで家族が人間関係が戦争が描かれる。
パワーズらしい博覧強記。
パワーズらしい隠喩の跋扈。
妄想的記述と圧倒的抽象度。
読みにくさ全開にもかかわらず最後は胸を刺す家族の愛の物語。
泣いてしまった。
パワーズの -
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1940年代前半のアメリカ史におけるifを描いた、歴史改変小説と言える作品。F.ローズヴェルトやリンドバーグといった実在の人物たちに、フィクションとして新たな役割が与えられ、彼らの行動が「あり得たかもしれない」歴史となるように巧みな計算のもと物語が作られている。(巻末には彼らの実際の年譜も収録されていて、物語との違いを見比べるのも興味深い。)
その中で何より引き込まれるのは、ユダヤ人迫害の中で翻弄されるロス一家の姿である。小説は少年ロスの視点で語られていて、平穏だった彼らの日常がいとも簡単に崩れ去る様が描かれる。政治的な対立が家族の間に亀裂を生み、やがて自分たちが差別や迫害の対象となっていくこ -
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米国現代文学を代表する作家、リチャード・パワーズが1988年に発表した作品。歴史教師である父の謎かけに翻弄される家族の姿が、第二次大戦から1970年代に至る米国史と絡めて語られる。会社近くの文教堂書店員さんに、「これ、とても面白いですよ」と手渡され読み進めた。
連番表記で第三者視点から語られる章、年代表記で歴史上の出来事(但し架空あり)から構成される章、抽象的語句の表記で家族視点から綴られる章が入り乱れる。加えて、西洋古典や宗教書、ポップカルチャー等をもじった言葉遊びやギャグ、アメリカンジョークも満載で、初読したときは極めて難解に思えた。
だが、再読してみるとタイトルの意味が分かってくる。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
ここではない、どこかから電話が鳴る。ポール・オースター最後の長篇小説。S・T・バウムガートナーは九年前に先立った妻アンナの不在を今も受け容れられずにいる。書斎で彼女のタイプ原稿を読み耽り、物忘れがひどいなか、ルーツの地ウクライナを旅したときの摩訶不思議な出来事を書き残す。そんな彼に恩寵が……来るべき日を意識していたとしか思えない、オースター作品のエッセンスが宿る名作
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ポール・オースターの遺作。
本当は「4321」を読んでから本書に取り掛かろうとしたのだけれど、「4321」の分厚さに慄いてしまい、半分以下の分量の本書に手を付けた次第。
主人公は、哲学者で大