あらすじ
人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。
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Posted by ブクログ
大大大好き
荒唐無稽なフィクションに人が心を惹かれるのは私たちの想像力と感情を拡張してくれるからである。どんな小説かと言われると「自分探し」の物語だし、ありもしないあの夏の記憶である。
臆病と傲慢のグロテスクな化合物
長い不器用な沈黙と度しがたい騒々しさを交互に繰り返していた
沈思黙考 千思万考
ジュリアンバーバーがいかに優れた芸術家だったとしても、
その作品が、トマスエフィングがすでに僕に与えてくれた作品に匹敵することはありえない。
それはエフィングの言葉から僕が夢見た作品であり、それゆえに完璧にして無限、現実を現実以上に正しく表象しているのだ。
目を閉じている限り、僕はそれをいつまでも想像し続けていられるのだ。
死ぬだけの勇気がないのなら、せめて自由な人間として生きることにしよう、そう思った。
それだけははっきり決心した。
これ以上自分自身から空しく逃避するのはよそう。自分が何者なのか、他人に決めさせたりするのもよそう。
すべては結びつきの欠如と、タイミングの悪さと、無知ゆえの妄動の結果だったのだ。
失われたチャンスの連鎖。断片ははじめからそこにあった。
でもそれをどう組み合わせたらいいのか、誰にもわからなかったのだ。
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全ては偶然の連続だけれども人生はやり直しがきかないから必然なのだろう。
後になって考えるとその選択は間違いだったのではと思えるものでも、その選択の瞬間では正解でしかなかったということを強く意識しないと頭がおかしくなってしまいそうになる。
どうして人は罪の意識を抱き、罰を受けたくなるのかな。
疑いなく自分が正しいと思い込める方が生きやすそうなのに。
1つの小説というより登場人物が重なるいくつかの短編小説を読み終えた気分。
翻訳された小説はあまり読み慣れていないけれど、これはとても読みやすかった。
Posted by ブクログ
主人公が愛する伯父を失って泣き腫らし、泥酔・嘔吐し、行きずりの娼婦にホテルに連れ込まれた挙句、脚を開く彼女に子守唄を歌ってあげた一幕は感に堪えなかった
頁を急く衝動と、ずっと終わらなければいいのに、という一抹の寂しさを胸に同居させられた傑作
Posted by ブクログ
ジーンと心に染み入るような感動のある小説でした。
悲劇に振り回されながら生きる登場人物たちはとても人間味があり、僕はなぜか読んでいて救われる気持ちになりました。
登場する3人の男たちは、ある意味悲劇でつながっている深い関係だと思いました。
不思議と読後感がとてもよい小説でした。
また、このような小説を読みたいです
Posted by ブクログ
書き出しの「人類がはじめて月を歩いた夏だった」はあまりにも名文だと思う。
愛や喪失をテーマに紡がれる物語で文章も相まってとても美しく儚い。
以下、好きな文章。
・「彼女に恋をしないこと なんて不可能だった。ただ単に彼女がそこにいるという事実に酔い知れないこと なんて不可能だった」
・「僕は崖から飛び降りた。そして、最後の最後の瞬間に、何かの手がすっと伸びて、僕を空中でつかまえてくれた。その何かを、僕はいま、愛と定義する」
人生のオールタイムベストに挙げる人が多いのも頷ける。
Posted by ブクログ
喪失から始まり喪失で終わった。人生は喪失の連続だ。同じ場所に留まり続けることはできないし、自分の意思とは関係なく街の風景は変わっていく。歳をとるにつれてどんどん話のできる人は死んでいく。このような喪失とどのように向き合って生きていけばいいのだろうか。自分だったらどうなってしまうのだろうと考えながら読んでいた。
Posted by ブクログ
柴田元幸さんを知ってから
ポール.オースターを知りました
そしてやっとこの有名な作品を読むことができました
なんともせつない青春小説
月が常にそばにいて
絶望と、偶然と、運命と、に振り回される
「太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である」ムーンパレスで出会ったこの言葉が
自らの家系を知り、未来を暗示していく
Posted by ブクログ
10年ぶりくらいに再読。フォッグがユタ州の荒野をもっとずっと彷徨ってるイメージだったけど、実際には数ページだった。
世界との繋がりが完全に絶たれたと思っても、意外なところに繋がりは残っている。世界は偶然が支配している。終わったと思ったところから始まる。どんな絶望的な状況でも、世界は自分と関係なしに回り続ける。
「僕はただ歩きつづければよいのだ。歩きつづけることによって、僕自身をあとに残してきたことを知り、もはや自分がかつての自分でないことを知るのだ。」
キティが魅力的すぎる。
Posted by ブクログ
引力のように引き寄せられる不思議な縁。
死を垣間見て生を実感、孤独と後悔、渇望の日々と心の充実が繰り返し描かれる内容は、描写がリアルでシーンが鮮明に思い浮かびます。なので、追い詰められる感覚のストレスに読者も苛まれます。
フィクション小説ながら、20世紀後半のアメリカ(例えば書き出しが「それは人類が初めて月を歩いた夏だった」等)の当時のニュースが織り交ぜられ、創作と事実が上手く交差しているから、なんだか1人の実在する人物の話を聞いているようでした。
情緒がありグッとくるとても美しい小説。
Posted by ブクログ
挫折と希望の繰り返し、偶然の連鎖
主人公は寂しい人にも思えるけど、豊かな経験をしたんだと思う。ただ、大切なものを失いすぎた
最後には希望を持っているところに救われる
「見るということはなにか」というエフィングの言葉には考えさせられる
ひとつの人生を語り終えたような壮大さを感じた
Posted by ブクログ
偶然の出会いと別れによる人生の激しい浮き沈みが描かれることで、ストーリーに惹きつけられ、読書中は現実の悩みを一時忘れさせてくれます。必ずしも時系列ではない語りがあり、匠の技を感じました。
Posted by ブクログ
どこかでグッと掴まれるとか、起承転結がバッチリあるとか、あんまりそういう感じじゃないんだけど(ずっとちょっと変で悲しい話)、なーんか飽きずに楽しく読めて不思議。
MSフォッグ(と彼女のキティ)、フォッグとエフィング(目の見えない偏屈なじいさん)、エフィングの過去、フォッグとバーバー、バーバーの本の内容、みたいにそれぞれまあまあちゃんとした(どちらかというと重くて悲しい)話がたくさん出てきた。
でもなんからみんな好き。
特に最初のフォッグの、お金無いのにその中で謎にやりくりしようと頑張るところがなんか好き。叔父さんの残した本を読みまくって、売って、何もなくなったら公園で生きて…私も助けに行く親友とキティに加わりたかったな笑
人生の偶然性には本当にびっくりするよな!!
Posted by ブクログ
一度落ちるところまで落ちた生活から老人と出会い真実かわからない昔話と繰り返される出会いと別れの中で運命の数奇さが散りばめられている。最後はなんだか唐突せ切なくてとても良かった。
Posted by ブクログ
不格好で、不器用にもがく滑稽な姿。
主人公の青年期が見事に描かれています。
「ムーン・パレス」 ポール・オースター著
若い頃、何冊も同じ著者の本を読んだのですが強く印象に残ったのはこちらの一冊でした。
今年に入ってニュースで著者の訃報を受けました。その夜から3日間でこの小説を再読しました。
物語の前半は、主人公がとにかく極限状態に落ちていく様子、
後半はそこから回復して、自分のルーツを探すという設定です。
後半からの話はちょっと奇想天外で、ここが面白い!という方々が多々ですね。
私は、主人公マーコがどんどん落ちて彷徨うところが、この作品の一番の魅力だと思っています。
この主人公の精神状態がそのまま、つたないのに心を打つ、青春時代に重なるように思えて。
前半の主人公は、とにかく不様に、貧困状態に落ちていきます。
ただただ流されて落ちていくマーコに
何をしてるの!とハラハラしながら突っ込みをいれるんですけど、けれどその心理描写が、著者の語り口があまりにも素晴らしくて、ああ、わかると共感さえしてしまうほど。
「青春」って、青い春って表記するんですね。
長い冬を終え、草木が芽生える希望に満ちた季節でありながら、夜は暗く、寒い。
若さの持つ、無茶ぶり、ひたむきさ、希望に幻想、混沌、いろんなことが胸を打ちます。
ニューヨークのどこか都会的な軽さと洒落た雰囲気の感じられる文体もよいですよ。
Posted by ブクログ
それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。という美しすぎる書き出しがいい。音楽的とも評される文章は比喩表現含めてとても綺麗かつ、自嘲と自虐の目立つ語り口ながらニューヨーカーらしい軽快さもあるアメリカ現代文学らしいオシャレさがあった。
内容としては自伝的な青春小説でありながら、これは家族小説でもある。特に第二部の余命いくばくもない富豪の老人と、第三部の息子がそれぞれ主人公の父であり祖父だったという「偶然」と、それが連なって物語となる「必然」は非常に面白く、いずれも互いが関係性を自覚して双方向になったのは束の間で、死による離別となるのはたまらなく切ない。結局ひとりぼっちとなるラストも含めてかなり薄暗い小説ではあるものの、主人公は間違いなく出会った人間のほぼ全員に愛されており、悲しい物語でありながらそこの部分で奇妙にバランスが取れているなと思った。
Posted by ブクログ
随分と滑稽で、幾分と自虐的な貧乏学生マーコの視点から描かれる随筆チックな青春小説。
どうしたらこんな比喩が思いつくのか?の連続。純文学にも似た美しい翻訳が、思春期ならではの独りよがりの悲壮感、世の中を穿つことでしか得られない優越感と上手く融和していた。
起承転結というよりは、主人公の回想の中で偶発する出来事の連続にゆらゆらと身を任せながら楽しむ物語。
Posted by ブクログ
翻訳小説とは思えない文章の良さ!
表現が全部良くて、刺さりまくって大変でした。
面白い比喩表現が多くて、言葉遣いがとっても好き。
著者も訳者もほんとに素晴らしいです。柴田元幸さん訳の本もっと読みたくなっちゃった。
内容は非常に壮大で先が読めなくて面白かった。
時系列がごっちゃになってて、頭の中の回想を追ってるような感覚。
楽しかったし、展開が全く予想つかなくて驚かされてばかりだった。
大変面白かったです!
Posted by ブクログ
狂った若者とイカれた老人とのキテレツな関係も、読み進めるうちに頼もしいコンビのように思えてくる。
主人公と関わる登場人物の多くは、割り切れない葛藤と独りよがりでもそれを打破する工夫や拘りが散りばめられている。狂っていてもイカれていても同じ人なんだと思えた。
タイトルにある「ムーン」という言葉が、全編に渡って多くの描写に使われているのも読み終えて納得。
これは読んで良かった。
自分の人生の終盤にもう一度読むといいかもしれない。
Posted by ブクログ
最後の1章が良かった。
最後の章の為に、それまでの複雑に絡み合ったストーリーを読んできた甲斐があったと思えた。
最初から最後まで主人公には共感できず、途中で語られる砂漠での物語は正直つまらなかったが、この小説を貫く哀しい諦観のような空気感は楽しめた。その哀しさを最も感じられたのが最後の章であり、最後、主人公が到達した浜辺で見上げた月は、この物語中に一貫して存在する哀しさの象徴に思えた。
Posted by ブクログ
少し長く、読み進めるのに疲れてしまう場面も
でも不思議と、再び本を手にして続きを読んでしまった
さまざまな人との出会い、すれ違いが印象的だった
Posted by ブクログ
どこか滑稽で台詞や地の文が長ったらしく、翻訳されたものということも相まって読みづらさを感じた。他方、逆説的に読者に迎合することなく書きたいものを純粋に書き上げたような作者の思いも感じる。一般的にはお勧めしないが、作者の熱量はとても好きだ。
やっと読み終えた…
最初、内容の紹介文を読んだ時は面白そうだと期待した。しかし、実際に読んでみると、あまり面白いとは思わなかった。
表現がまどろっこしく、時々( )や
棒線で別の表現や背景的な説明が入る時があり、読みにくく、そこに対する違和感が最後まで拭えなかった。
高評価のレビューも多いようだが、自分にはちょっと合わなかった。
アメリカ史等の知識が少し得られたという点と、面白いと思えない本でもあえて読破するという経験ができたという点は良かったと思う。
Posted by ブクログ
数奇な人生
巡り巡って自分と血の繋がった人達と会う
助け合い、時には憎しみあい、愛する人と出会い別れ、
よくもこの500ページの中にここまで物語を紡げるなぁと感心する本
Posted by ブクログ
何とも言えない余韻を残してくれる青春小説。
人類が初めて月を歩いた夏。
父を知らず、母とも死別したマーコは、
唯一の血縁だった伯父のビクターを失う。
彼はマーコと世界を結ぶ絆だった。
マーコは絶望のあまり、人生を放棄し始める。
やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。
体力が回復すると、彼は奇妙な仕事を見つける。
車椅子で生活する盲目の老人、トマス・エフィングの世話である。
エフィングの依頼を遂行するうちに、
偶然にも彼は自らの家系の謎にたどり着く。
人生に偶然は付き物である。
だが大抵は結びつきの欠如と、タイミングの悪さと、
無知ゆえの盲動の結果に終わる。
そんな人生においての出会いを考えさられた。
一気読みするのはお薦めできない作品。
時間を掛けて、ゆっくりと味わわないと
きっと理解できずに途中で投げ出してしまうだろう。
一応、退屈な描写が続き飽きが来ると次の展開が動きを見せてくれる。
その辺、計算してのことではないだろうが、
時間経過も今なのか過去なのか、行ったり来たりするので
集中して読んでいないと、すぐに混乱してしまう。
なかなかの強敵ではあるが、読み終えた後の余韻は保証できる。
こういった物語も、人生には必要なのだと強く思った。
Posted by ブクログ
重い本だった。
ずっと波乱万丈な人生で、読むのが苦痛ではなかったけれど、逆にめちゃいいところもそんなに…
ムーンパレス好きなやつに悪いやつはいないらしいけど、入れなかったかも。
キティいいやつすぎるほんと
Posted by ブクログ
ありえない偶然が起こるが、それを必然と思わせるだけの魅力がこの本にはある。アメリカ小説特有の登場人物の多さはない。その分、キャラクターの心の動きに焦点を合わせることができ、青春ストーリーを楽しむめる。しかし、まだまだ私には、この話を深く理解する力はないようだ。