【感想・ネタバレ】4 3 2 1のレビュー

あらすじ

1947年、ユダヤ系の家庭に生まれたアーチボルド・ファーガソンの、驚くべき仕掛けに満ちた成長物語。ドジャースLA移転、ケネディ暗殺、ベトナム反戦運動。50~70年代のアメリカを生きる若者の姿を、緻密で独創的な四重奏で描く。「この本を書くために一生待ち続けていたような気がする」というポール・オースターの、作家人生の総決算となる大長篇。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

めっちゃ良かった。ファーガソンの何度も様々な方向に違えて繰り返す人生を、様々に違った方向から読むことができる。同じような人生でも様々に違って見えるのかもなと思った。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

なんということか、ついにこの大作を読み終えてしまった!深夜2時半の読後とにかく感想を新鮮なうちにおさめたい!

まず、本屋さんで手に取ったその時の重みと期待は忘れられず、読み進めるほどに考えが深まるこの経験はとても貴重だった。今この時代に20代で、主に60年代波乱の時期を書いたこの作品を読めたこと、著者のポールオースターには感謝しかありません。なんたる贈り物。
10代後半から20代へと差し掛かる時期に、いつどこでだれがどのようなことをしたのか、自分自身の出来事、社会の出来事、全ての要素が織り込まれて人は成長していくのだなと、俯瞰的に人生を眺めるに至りました。今現在の私に深く深く突き刺さってきます。
特に出会いと別れ。どれも生きているその世界の環境が強く作用していて、深く愛した人もまた別の方向を見て去ってしまうことがある。はたまたどんなことが起きていつ誰がどうなるかなんてわからないという事実。当たり前だけど、忘れてしまうよな
それから文化。戦争、社会運動が生活を包んでいると同時に、文化は常にそこにあって人を導くのだと改めて痛感。文学をはじめ、音楽に映画など様々なそれが力強くあるんだと感じた。これもまたいつどんなものに触れるか、言葉を得て呼吸するかで、人生は変わっていくんだな。現にこの『4321』を読んだ私は、それ以前とは違う!
さらにこの構成。初めは、なんてことしてくれるんだ読みにくい〜と思っていたけれど、最後の終わり方よ、秀逸すぎる。もう一回読もかなとか思ってしまう。

時折、こういった物語に出会うと混乱してしまうのが必然と偶然の差異。違うようで同じなのではないかなんて思ってしまいます。どんな出来事も必然でありながら偶然のような。

ありがとうポールオースター!!!あなたについていきます

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

これぞ、オースターが遺した
オースター流の総合小説だ。

恋愛・哲学・音楽・文学・青春・政治が
これでもかと言わんばかりの力強さを持って
オースターの文学的音楽の波にサーフしている。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

1960年代を中心としたアメリカ、激動の時代のクロニクル。パワフルかつ繊細。変奏曲のように同じ主題が違う展開を生み出す。これまで自分が教科書やニュース、別の作品で見聞きした歴史的事件が現れて登場人物がどのように関わっていくのかを辿るのも一興。最後に一定の種明かしがあるのが優しみ。作品の長さは読書の楽しみの長さ。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

買ってから5ヶ月寝かせていたけれどもGWに意を決して読み始め、2週間かけて読み終わりました。

とにかくすごい作品としか言いようがない(語彙力)。
今になってポール・オースターで好きな作品ベスト3に入るものを読むことになるとは思わなかった。

解説や帯にも書かれているけれども文字どおりオースター文学の集大成でした。

オースターが生まれた1947年から1970年代にかけてのNYにおける野球チーム、バスケットボール、ベトナム戦争と反戦運動、公民権運動、文学や音楽、大学生と学生運動、アメリカ政治などオースターが何度も題材にしてきたテーマや、人にはコントロールできない偶然性(と死)についてオースター本人も言う「私の知る限り、この形式で小説を書いた人は誰もいない As far as I know, no one has ever written a novel with this form.」とおり大袈裟に言うと驚愕の作品でした。

ちょうどトランプがアイビーリーグの補助金を打ち切るというニュースがあったころに本作を読んだので、より作中のコロンビア大学やプリンストン大学でのエピソードによりリアリティを感じたりもしたし、戦後アメリカの光と陰を追体験したような気がしました。

790ページで7150円という大学の教科書か辞書かくらいのボリュームなので気軽には勧められないけれどもとても面白かったです。最後の章の終わりを読んで不覚にも涙が出ました。読み終えた方と語り合いたい。

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2025年05月15日

Posted by ブクログ

一ヶ月半をかけてようやく読み切りました!
ネタバレになってしまうため内容はあまり詳しく言えませんが、一章の途中から違和感を覚え、二章を読み始めると「これってまさか...」と慄き、さらに読み進めて、この本の構造そのものに気づいたとき「とんでもない本に手を出してしまった...」とかなり驚愕しました。
かしこの構造自体が今まで人生の可能性について、あり得たかもしれない出来事や人にはコントロールしようのない偶然を何度も題材にしてきたポール・オースターならではであると思いました。まさしく集大成の作品です。

一滴の水滴が水面に落ちて波紋がゆっくり広がっていくように、少年の頃のある人との出会いが考えの礎となり、その想いが成長するにつれて大きくなっていつの日かの決断に至る。逆に大切な人との別れが足枷となりその後の人生の幅を狭めてしまうことになる。あのときあの選択をしていなければどうなっていただろう。考えても仕方ないことなのだが、考えてしまうのはやはり人生が一度しかないから。今いる地点と僅かにズレただけで人生は大きく変わってしまう。無限の分岐点とかけがえのない一つの道。人生は不確かであるから日々は奇跡である。そんなことを思いました。

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2025年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やー、面白かったなー!!分厚くしかも二段組で、嬉しくこの世界に浸った。

注:何をどう書こうが読み進む面白さを削いでしまってはいけないので、未読の方はここから先を読まないでください。


最初の1.1、1.2で、むむむ?と思いながら読んでいたのが、1.3あたりから、もしかしてこれってそういうこと?!と急に霧が晴れてきて、すごい構成だなーとぐいぐい来た。どういうことかは読んで知るのが吉。ラストも素晴らしい。余談ですが、そういえばポール・オースターはコロンビア大学なんだね。まさに『いちご白書』の渦中の人だったんだ?

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

学ぶことがとても多い読書であった。
ページが進むにつれて、悲しい出来事が起きていき、読んでいるとこちらまで鬱っぽくなる時があった。けれども必ず章の最後の方に。人生において糧となり指標となってくれるような言葉が綴られていて。それを見つけるために頑張って読んでいた気がする。
神は果たしてどのような意図で肩をすくめたのか?
自らのちょっとした、あちゃーやってもた、ごめん!というべき策士的失敗にか。それとも、良きことを重ねていれば必ず神は報いてくれる、という人間の思い込みにか。そもそも神はいるのか?
でも
神はいないかもだが、生は必ずそこにある。死もまた確実にそこにあり、生と死は一体である。
自ら選んだ道があるのと同時に、選ばなかった道もまた同時期にそこにある。

そして、この本のカラクリが素晴らしい!
最初の方に分かるカラクリ、最後の最後で分かるカラクリ。本当にオースターの言う通り、これやった人いなかったよなぁ



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2025年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2段組みかつ余白はほぼなし、そして約800ページという超ボリュームのこちら。2024年に永眠したオースターの最期から2つめの作品である。ファガーソンの4つの物語。激動の50~70年代のアメリカが舞台。メインヒロインはエイミー。(.1.2.3.4でエイミーとの関係はいろいろかわる)愛と性と野球と学生生活、政治がメイン。
790ページくらいでからくりが判明。それまでパラレルワールド的な感じで読んでいたので、やられたと感じる。つまり.4の作家になったファガーソンが.1.2.3のファガーソンの人生を創作したということなんですよね。途中から白紙になって脱落していくファガーソンもあり。

2.2 落雷により.2ファガーソン絶命
6.3 交通事故により.3ファガーソン絶命
7.1 (7.4のファガーソンの記述により)隣人の失火により絶命

考察というか研究のしがいのある小説だと思う。
.1.2.3.4ごとに読んだ方がそれぞれのファガーソンの生きざまもわかると思うけど、再読の余裕はない!(返却期限ぎりぎり約10日ほどかけて読んだので)

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

訳者が後書きの最後で書いたように、この途方もない物語に耽溺、はした…
まぁ、大分的が外れてるかもなのだが、途中、まるでアメリカの大河ドラマのようだなと思った。
日本の大学紛争はニュースや小説等で触りだけの関わり方しかしていないものだから、あちらのそれの描写のシーンでは、ファーガソンに感情移入しているものだから、かなりの迫力と無惨さをもって伝わってきたように思う。
それにしても、そういうことをする年になってから以降は、女も男も相手にするセックスの話も多く、これはこれで興味はあるのだが、寧ろそういう時代を、もう、振り返るだけしかできないような年代になったファーガソンが、回想ではなく、そこからまた何をどうしていこうと考えるものなのかを読んでみたかったように思う。
に、しても買えば6,600円か。手元に置いてまた何年後かに読んだみたいとは思うのだけど…

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

遂に、読み終わった…
1947年生まれのポール・オースターによる自伝的小説

戦後史において恐らく最も激動だった60年代を若者として生きることは、自らの可能性が何通りにも分かれパラレルワールドの如く並行して存在するように感じるのかもしれない

面白かった!

自伝的小説というより、彼の世代の大河ドラマと言うべきか

青春の戸惑いと喜びを書かせたら彼の右に出る者はいない
身体と精神の変化、神との関わり、性愛、クィア、闘争、死…
辟易しないのは、この小説のスタイルと、彼の「小説と思弁的な散文のあいだの微妙な線を歩く術」のおかげだ

そして、
今の制度がダメだからと革命を起こそうとして失敗したのが60-70年代なのであり
現代は問題も多いが、革命的に根本から変えようとするのではなく、目の前のことにひとつひとつ取り組むしかないというエピソードが最後の方にあったのもよかった

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

面白い!790ページの物語に一週間どっぷり浸かって、まずはそう言い切れる。が、いやー疲れたってのも本音。
ひとたびファーガンソン君を好きになってしまえば、横溢する詩、書物、音楽、そして映画の固有名詞も、ファーガンソン君を形成していく重要なピースとして愉しく読める。
しかし、教養といってしまえばそれまでだが、誰の本に感銘を受け、どの映画が最高かを論じるのが友情を築く土台だとすると、僕などは全く資格に値しないのは残念なところ。ファーガンソン君は1960年代アメリカの空気を胸いっぱいに吸いこんで青春を駆け抜けていく。

 “これまでファーガンソンはいつも、人生は一冊の本に似ているとあらゆる人から言われてきた。(中略)しかし、時間は前と後ろの両方に動くのだ。本の中の物語は前にしか動かないから、人生は本という比喩は当たらない。(中略)
時間が双方向に動くのは、人は未来へ一歩踏み出すごとに過去の記憶も運んでいくからだ。まだ十五にもなっていないファーガンソンだが、自分の周りの世界は自分の中の世界によって絶えず形作られていると分かるくらいの記憶は既に蓄積していた。(中略)
人間はみな同じ空間を共有することで互いにつながっているけれど、時を経てゆく一人ひとりの旅はみな違う。それぞれがみんな少しずつ違った世界に生きているのだ。
そこで問うべきはーファーガンソンは、いまいかなる世界に棲んでいるのか、その世界は彼にとってどのように変わったのか?”

ちょっと長いが、この引用箇所に本書の面白さが詰まっている。

大きなストーリーやプロットというより、むしろファーガンソン君の経験した膨大なエピソードの集積によって本書は物語られてゆく。時代背景には忠実で、奇想天外や幻想的というよりも描写はリアリスティックに進んでいく(もちろんオースター的な仕掛けは施されている)。
しかし、リアリズム小説らしく書かれていても、ご都合主義的な展開は山盛りで、それと同じくらい悲劇が不意打ちに現れるのも、実にオースター的。
でもきっとオースターなら、リアルな人生ってのは、はそんな“偶然”に満ちているよなって言いそうだ。

大事なのは人生の岐路を選択することにあるのではなく、あらゆる可能性と矛盾に満ちた人生を生きてゆくこと。本書でもオースターは、そんなことを思わせてくれる。

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2025年01月04日

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