柴田元幸のレビュー一覧

  • バウムガートナー

    Posted by ブクログ

    笑えるのに笑えない。泣けるのに泣けない。
    枯淡の境地なんてどこ吹く風の、初老の男を巡る物語。

    思い通りにいかない老いた体への諧謔と、縦横無尽に展開される思考の渦と、あたふたとした日常の瑣末時のごった煮の中に、失った人生の伴侶への愛、若き日々の一コマ、奇跡のような喜びの瞬間が、突然一筋の光として差し込まれる。

    そして、オースターが最後の一行に込めた力強い宣言は、逃れがたい現実に満ちた人生を、煌めくジョークとスリリングな冒険へと変えてくれる。


     “生きるとは痛みを感じることであり、痛みを恐れて生きるのは生きるのを拒むことなのだ。”

     “ある出来事が真実として受け容れられるためには、それが

    0
    2026年05月03日
  • デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化

    Posted by ブクログ

    解かれた魔術と再びかけられるもの。

    個人としてではなく社会として、共有不能な神秘体験ではなく科学的手法の更新により、事実と価値とを再統合する。
    今の時代に、グレゴリー・ベイトソンを学ぶ。

    ・情感もまた理性と同様に厳密な演算規則(アルゴリズム)に基づいている

    ・違いを生む違い

    ・学習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ

    ・全体論はただし危ない論理に陥り易い

    0
    2026年05月24日
  • トム・ソーヤーの冒険

    Posted by ブクログ

    子ども時に読んだ記憶はありますが、ふと手に取り読みました。
    今の時代ではコンプラだらけの内容ですが、子供の頃この冒険を読んで胸が躍った記憶が蘇りました。
    大人の目線と子供の目線では捉え方が変わる本ですが、どの世代が読んでも楽しめる一冊だと思いました。

    0
    2026年04月24日
  • トム・ソーヤーの冒険

    Posted by ブクログ

    初めて読んだ。軽快でテンポがいい部分と、何この話!?という部分とが入り混じって不思議な読書体験。キャラクターを好きにもなれないし嫌いにもなれないし、距離感が絶妙な話でした

    0
    2026年04月22日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    私立探偵ブルーは、明らかに変装しているホワイトという男から、ブラックという男を見張るよう、依頼を受ける。
    最近ブラウンから探偵事務所を受け継いだばかりのブルーは、張り切って見張るのだが……。

    依頼人が用意した見張るための部屋は、ちょうどブラックの部屋が正面から見張れるような位置にあった。
    充分に報酬が支払われ、見張り部屋の家賃も支払うって、どれだけ重要なミッションなんだよ!
    ところがブラックときたら、毎日窓辺のデスクで何かを書き、本を読み、買い物に出、たまに映画を観たり、飲みに行ったり。

    こんな生活が1年以上続く。
    一体ブラックは何者で、何のために彼を見張らなければならないのか。

    登場人

    0
    2026年04月08日
  • ガラスの街(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    一本の間違い電話をキッカケに自分がポール・オースターという名の探偵となる作家ダニエル・クイン

    自分の気配を消し、探偵のふりをするうちに、自分という個の意識から自由になるかわりに自分を見失っていく話

    探偵となった主人公が何かを解決することもなく⋯うっすら根底に不穏な雰囲気を醸し出している

    「何者でもない自分」を演じ、そのように振る舞い、それが継続されていくと自己は自分を認識できずに混乱していくのか?、と思い至った

    ほの暗い色彩のないグレーな印象で少々気分が下がるけど
    なぜかこの著者の本を他にも読んでみたいと思った
    あと柴田元幸さんの翻訳がうまいと思う

    0
    2026年04月07日
  • トム・ソーヤーの冒険

    Posted by ブクログ

    積読状態にある「ジェイムズ」……。
    何となく「ハックルベリイ・フィンの冒険」を読んでから手に取ろうと思っていたが、どうせならトム・ソーヤーも読んでおこう、と。
    多分、子供の頃に児童書で触れたような気も……でも、内容はよく覚えていなかったので。

    改めて読むと、ポリー伯母さんの髪が真っ白になるのもよくわかる(笑)
    牧歌的な時代の、トム・ソーヤーの冒険譚、単なる童話というだけに収まらない。少年の自尊心や畏れ、悪に憧れはあるが、本当の悪には決して染まらず、いい意味でのスラップスティック的要素と、根底にあるキリスト教的信仰、それをも超越するハックの目線。
    事件も上手くハメ込まれ、こんな話だったっけ……

    0
    2026年03月30日
  • オズの魔法使い

    Posted by ブクログ

    ウィキッドを見たこともあり読んだ。
    作者が最初に述べているように、辛い場面がなくトントンと物語が進んでいく。
    特にメッセージや教訓を込めていないと言っているが、だからこそ不思議な魅力を感じる話であった。

    0
    2026年03月28日
  • プロット・アゲンスト・アメリカ

    Posted by ブクログ

    わりと困惑させられる「だーいどーーーんでーーーんがえしーーー!!!」みたいのがあって、おいおいそれでええんか?『夜と霧』みたいなシリアスさの偽史ものとして読んでいたのに。終盤で『アフリカンカンフーナチス』みたいになっちゃう(というのはさすがにいいすぎ、でもいいたかった)のはつっこまれるべきだろう。
    民族差別が、全面的な抑圧ではなくて分断と懐柔により達成される、というのは極めて今日的。フルコース食べてる時にワインのグラスを倒してシルクのクロスとメインディッシュがびちゃびちゃになるみたいなイヤァ〜な怖さでよかった。
    市井の人の意地や信念みたいなのを描くのが上手な人。登場人物の内心でなく言動を描写し

    0
    2026年03月19日
  • 舞踏会へ向かう三人の農夫 下

    Posted by ブクログ

    複数の視点が一つの写真に収束する感じ、アメリカとヨーロッパの現代史ををそこに束ねてゆく感じ、疾走感があって好き。
    ただし皮肉めいた軽口の頻出は上巻とかわらず鬱陶しい。
    私は知的だ!知的だ!ところで君は?といわれてるみたいでクソムカつく。

    0
    2026年03月18日
  • バウムガートナー

    Posted by ブクログ

    PAUL AUSTER 2024年に亡くなり、これが:最後の作品らしい。
     ニュ-ヨ-クで暮らしていた二人が、結婚に至った経緯、そして妻の海における事故死。10年後の私の生きざま。作家は実に物語をうまく作るのだ。なぜなら、PAULの奥様は健在だし、彼は肺がんでなくなっている。私は1年前妻を肺がんで亡くした。
     主人公と同じ状況で、おそらく小説の中の私と同年配。奥さんが私と同い年と思われる。10年後の自分がどう思っているか、小説に書けるものなら書いてみたい。
     世の中には夫又は妻と生き別れ、死に別れされた人も多いだろうが、皆さんどうされているやら、様々であろうがやはり残ったほうは、生きてゆかねば

    0
    2026年03月03日
  • トム・ソーヤーの冒険

    Posted by ブクログ

    僕が小学生の時代のことなんだけれど、今僕が死んだらみんなどう思うんやろう。町中僕の話で持ちきりになって、地元のヒーローになれるのでは?それをあわよくば俯瞰して反応を見てみたい!海外のリカクション動画を見る感覚で!って思ってた部分ある。でもそれは、小学生という小さなコミュニティ(この物語ではアメリカの1830年台で、日本の戦前のような感覚)で人々の輪が密接に結びついた共同体だから!確かに僕もあの頃は最新の電子機器が3DS!すれ違い通信でポケモンバトルするのが最新の遊び!だった頃から急にプレステの通信対戦になり、スマフォーで見知らぬ人と荒野行動もできるし荒野行動で結婚もする時代。人と人とのつながり

    0
    2026年03月03日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    感想書きにくい作品だよなあ。オースター作品は何年も前から読もう読もうと積読状態で、そもそも昔通ってた美容室のお兄さんが『ムーンパレス』を薦めてくれたのがきっかけだったのだ。それもまだ半分しか読めてないのだけど、これを機に読み進めたいと思う。

    ブラックを見張るブルー、そのブルーを見張る私たちという多重構造。ブラックは見張られることで自身の物語を形作り、そして終わらせようとしている。ブルーがブラックへ接触を図ろうとするところから一気に展開が出てくる。それまでは淡々と、色のない情景が続くように思える。派手なことは起きないけど、何か惹かれていく感じ。

    0
    2026年02月28日
  • バウムガートナー

    Posted by ブクログ

    バウムガートナーはなぜ喪失から立ち直れたのか。私は、奥様からの不思議な電話を通して、ポジティブな意味で忘れないで欲しいと言われたからだと思った。いつまでも過去の幻影を引きずるのではなく、新しい人、ことに接する中で、故人を再認識することなのかと、最後の若い研究生へのサポートを整えている様子から、そう思った。

    0
    2026年02月22日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    引力のように引き寄せられる不思議な縁。
    死を垣間見て生を実感、孤独と後悔、渇望の日々と心の充実が繰り返し描かれる内容は、描写がリアルでシーンが鮮明に思い浮かびます。なので、追い詰められる感覚のストレスに読者も苛まれます。

    フィクション小説ながら、20世紀後半のアメリカ(例えば書き出しが「それは人類が初めて月を歩いた夏だった」等)の当時のニュースが織り交ぜられ、創作と事実が上手く交差しているから、なんだか1人の実在する人物の話を聞いているようでした。
    情緒がありグッとくるとても美しい小説。

    0
    2026年02月21日
  • バウムガートナー

    Posted by ブクログ

    大きな出来事が起こるわけでもなく、妻を失った喪失感が漂い、大半は過去の回想で進んでいく。が、不思議と重くない。悲しみを抱えながらも、新たな人との出会いやかつて幸せだった記憶を支えにしながら、残された者は淡々と日常を過ごしていく。ポールオースターの遺作。

    0
    2026年02月11日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    舞台はリーマンショック後のアメリカ

    ブルックリンの廃屋に不法居住する若者三人を描いた群像劇。

    大不況の中で、もがき苦しみ懸命に生きる若者達のリアルな心理描写が心に沁みる。
    慣れない海外文学で苦労したが、この作品を読めて良かった。

    0
    2026年02月02日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    挫折と希望の繰り返し、偶然の連鎖
    主人公は寂しい人にも思えるけど、豊かな経験をしたんだと思う。ただ、大切なものを失いすぎた
    最後には希望を持っているところに救われる
    「見るということはなにか」というエフィングの言葉には考えさせられる
    ひとつの人生を語り終えたような壮大さを感じた

    0
    2026年01月29日
  • トム・ソーヤーの冒険

    Posted by ブクログ

    腕白少年トムと他の子供たちの勇気とスリリングさ、ドラマ性を持った、マーク・トウェインの代表作。冒険の中でも、リアリスティックを実現しているため、登場人物の心情に自分を重ねやすい。少年時代に戻りたいときに読むのがいいかもしれない。

    0
    2026年01月12日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    はじめて読んだポール・オースター。なんと言うか雰囲気がある作品ですね~。皆が読んで面白いと感じるかは疑問ですが僕は結構好きな感じかも(笑)登場人物たちがブルーやホワイト、ブラックなどの呼び名なので人間としてイメージできない感じだった(笑)もっと他の作品を読んでみよう(笑)

    0
    2026年01月07日