柴田元幸のレビュー一覧

  • ガラスの街(新潮文庫)

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    クインという作家が残した赤いノートをもとにオースターの友人である「私」という人がこの物語を書いた体になっている。けど、そもそもクインの体験したことが本当かどうかも分からないし、仕事をクインに依頼したピーターたちの存在、尾行対象だったスティルマン自体が本当に追っていた人物かどうかも、なにもかもがあやふやで消え入りそうなお話だった。それはまるで冒頭のニューヨークという街の特性を表すかのように。
    (途中色んな古典作品の話(ドン・キホーテなど)がでてくるのだけれど、それも知っていたらもっと面白く読めたのかもしれない)

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    2025年02月13日
  • ハックルベリー・フィンの冒けん

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    『トム・ソーヤの冒険』に出てくるトムの悪友のハックが主人公。トムよりもハックが好きという人も多いというが、なんとなくその理由もわかった。

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    2025年02月03日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    以前から気になっていた作家の一人、P・オースター。お亡くなりになったタイミングで手に取ることになったことを激しく後悔した。これは20代から30代のうちに出会いたかった作品で、作家だった。ニューヨークの街の迷路へ入り込んでいく。こんなにもみずみずしくニューヨークの街が描かれている作品があるだろうか。とらえどころのない物語。ちょっとした狂気を感じられるのけれど、それがホラーやサスペンス調ではない。だからこそ、凄みを感じた。アメリカ文学を深掘りしたくなったし、それとは別にドンキホーテをちゃんと読みたくなった。

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    2025年01月19日
  • トム・ソーヤーの冒険

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    トムソーヤといういたずら好きな少年の物語。1830年代のアメリカの田舎ってこんな感じなのかなと思わせるような描写が多くて面白かった。トムがハックやジョーと一緒に家出をして海賊ごっこをする時やトムとベッキーが洞窟で迷う時に村総出で探索したりするところは田舎の一体感みたいなのを感じれた。前半のトムが仲間たちと物を交換する時にビー玉とかブリキとかに価値を見出しているのが少年だなって思うしなんか懐かしく感じた。

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    2024年11月08日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    結末はあっけなく、とても不明瞭なものだった。
    なのになぜこんなに満ち足りた読後感なのだろうか。

    結末に至るまでの空想にふける時間がとても濃密で、思考するブルーを観測することを楽しんでいたからだ。
    そしてブルーと同じくブラックとホワイトについて推理をする。文章から得られる情報を整理し余白に想い馳せることを繰り返す状態はブルーと同じ感覚だったし、ブルーが様々な変装でブラックに近づく場面でブラックが発した「幽霊たち」の状態そのものだろう。
    ブルーと意識が近くなるにつれて、ブラックに少しでも動きがあると嬉しくなったりしていた。

    ホワイト(ブラック)が書いた物語がブルーのことだとすれば、その正体はオースターだと仮定することもできる。そしてブルーは誰にもわからない場所へと向かう。ブルーもまた、我々自身と仮定することができるだろう。行き先は、誰にもわからない。

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    2026年09月30日
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)

    KOU

    購入済み

    ポール・オースター

    2024年4月に逝去されたポール・オースター氏の自伝的な作品。
    ハッとさせられる表現がオースター氏らしいが、やはり他人の日記なので退屈。
    オースターファンなら出版されている作品のアクセントとして知っておいて損はないと思うが、、、
    やっと冬の日誌を終えて、内面の報告書にたどり着いたが、さらに難解というか、意味不明な部分が多くてつらい。

    #タメになる

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    2024年08月25日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    どこか生きづらさをを抱えた人達が次々と出てくる話。
    彼らを描く筆致がどこか優しく、途中若干退屈さも感じましたが、終盤にかけてのまとめ方は流石としか言いようがありません。
    読後に感じる温かさが心地よかったです。

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    2024年07月13日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    癌を患い離婚しブルックリンで余生を過ごす50代後半のネイサン・グラス、ネイサンの亡妹ジューン、その息子で将来を嘱望されながら大学で挫折しタクシー運転手になったトム・ウッドと妹のオーロラ。オーロラの夫で新興宗教に洗脳されたディヴィッド、二人の娘でネイサンの家を訪れながら頑なに口を閉ざす9才のルーシー。ネイサンの前妻イーディスと娘のレイチェル。トムが働く古書店の店主でセクシュアル・マイノリティーのハリー・ブライトマンとジャマイカ人でドラァグクイーンの店員ルーファス。トムが慕うアクセサリー工房の美しく完璧な母親 (BPM)ナンシー・マズッケリ。多彩なキャラクターたちの夢、挫折、ロマンス、LGBT、出産、死などのエピソードが詰め込まれた物語のバラエティパックのような一冊。

    物語のなかで生きる幸運、架空の世界で生きる幸運に恵まれた人にとって、この世界の苦しみは消滅します。物語が続くかぎり、現実はもはや存在しないんです。When a person is lucky enough to live inside a story, to live inside an imaginary world, the pains of this world disappear. For as long as the story goes on, reality no longer exists.

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    2024年05月05日
  • ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―

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    「トム・ソーヤーの冒険」「ハックル・ベリーの冒険」で有名な著者のエッセイ、コラム等の短編集。短編小説もあるが、もっぱら、著者がどういう人だったかを知ることができる作品だろう。ユーモアと言っても「それがどうした。」と思えるようなのもあり、時代と環境の違いか、読みごたえがあるとは言えない感じ。2024.3.24

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    2024年03月24日
  • トム・ソーヤーの冒険

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    ネタバレ

    読むまでなぜか少年が筏で漂流する話だと思っていた。たぶん十五少年漂流記と混じってる。なんで混じっちゃったんだろ?
    だから読み始めるうちはいつ漂流するんだ?と思ってたけど、中盤に差し掛かってどうやら違うらしいということに気づいた。

    想像してた話とは違ったけど、赤毛のアンシリーズのような子どもが生き生きと自由に遊び回る姿を描いた海外児童文学が大好きなので、読んでよかったなあという感じ。
    児童文学といっても、大人や子どもの人間性や心情について一歩引いた視点で書いているので、それが滑稽さを際立たせているところもあれば、今にも通ずる感性もあったりした。この的確な視点や本人も楽しんで書いたのだろうな、という文章が、作者が描こうとしていることへの信頼感にもつながった。
    やっぱり名作は面白いなー

    わたしが読んだのは旧訳版だったけど、翻訳も内容も読みやすく、全く古さを感じなかった。

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    2024年03月04日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    次々と展開するお話に引き込まれました。
    そして最後のページの衝撃。
    翻訳のものはしっくりこないものが多くてちょっと苦手だったりしたのですが、楽しく読めました。

    人生はいつまでもいろいろあるよね。

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    2024年02月29日
  • オズの魔法使い

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    子供の頃に、ビデオで映像化されたものを見てた記憶があって懐かしい。ストーリーはほぼ忘れていたけど、作者の「ただ子どもたちが楽しめる作品を」という思いの通りの楽しい物語でした。オズの魔法使いの正体にちょっとした驚きもあってよかった。

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    2023年12月22日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    愚行 というが、思うようにいかない、ままならない
    どこかゆったりのんびりとした穏やかな空気をまといながら
    不意に降りかかる不幸や思いがけない幸運や転機の訪れ
    上手くいくこともいかないことも、そりゃあるさと
    それは、ありふれた、どこにでもある、誰にでも起こる普通の
    しかしその人にとっては唯一の特別な人生の人々の物語

    もしかすると最後の最後に触れられるあの事件は
    それ以前・それ以後と、その空気を一変させてしまう転換点なのだろうか

    詐欺・犯罪ですら受け入れ取り込もうとする楽観的楽天的で
    多少冷笑的でもあり諦念も備えた寛容さをもちあわせた物語が
    オーロラの配偶者に対する場面で厳しさをあらわしていたように

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    2023年05月17日
  • ハックルベリー・フィンの冒けん

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    柴田元幸さんによる新訳版。
    ハックとジムのやり取りをはじめとする会話シーンが印象的。
    持っている知識を使って自分なりに物事を理解しようとする様が、会話の中から見えてくるのが面白かったです。勘違いや言い間違いも含めて。

    ハックの一人称の語りを通して、子どもたちが世界をどう捉えているのか、宗教や政治や歴史をどう捉えているのか、とても生き生きと感じられました。

    特に、黒人奴隷のジムに対するハックの葛藤に引き込まれました。
    ジムのことは愛しく思ってるけど、元々誰かの所有物だったため、そこから逃げ出す手助けをしてしまったという「盗みの罪悪感」を常に抱いています。しかし一方で、ジムが家族と離れ離れになったり、逃亡ニガーとして捕まってしまうことが理不尽なことだという意識もあります。

    ハックの中では、ジムを捕まえることが善で、ジムを逃すことは悪。
    今とは違う価値観ですが、ハックの語りを通して、彼自身の中にその価値観が埋め込まれてしまっているのがよく分かります。そして、「そういう価値観を信じ込むというのはどういうことか」を読者が体感できるようになっています。

    だからこそ、その価値観に自らあらがって、「よしわかった、なら俺は地獄に行こう」と覚悟を決めるシーンが際立つのです。あそこのシーンはシビれました。

    そして改めて、変な奴とされながらも常識をきちんと疑うハックと比べて、トムソーヤーはなんでも型にはめて物事を行おうとするつまんない奴だなと思いました。ハックをバカにするときも人格を否定するような言葉を使うし。子どもだからまだいいかもしれないけど、これがこのまま大人になったらかなりキツいなと。
    マーク・トウェインがどのような意図をもってトムソーヤーをこういうキャラクターにしたのかが気になりました。

    後半トムソーヤーが再登場してから話が無意味に停滞し、まったく展開しなくなったのもきつかった。最後のクライマックス前にめちゃくちゃ盛り下がりました。

    とはいえ全体としては、語る内容にもましてその語り口に面白みがある物語として、改めて楽しむことができました。そして、ここまで書いてきた感想ひとつひとつに応えてくれるような、柴田さんの解説もとても面白かったです。

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    2022年06月16日
  • インヴィジブル

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    invisible。目にみえない。姿がみえない。などを表すタイトルの通り語り手や場所を変えながら、とある人物の真実に迫る。

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    2022年05月25日
  • 翻訳夜話

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    村上春樹さんと柴田元幸さんの3回に渡る聴取からの質問に対する対談をまとめた本作。
    お二人の考え方の違いが面白い

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    2021年10月31日
  • ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―

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    ばかばかしい話というのは、古今東西底堅い需要があるんだなあ。

    『物語の語り方』のラスト(怪談が、「お前だー」で終わるやつ)は、日本の怪談の伝統芸能かと思っていたら、19世紀の大昔からあるとは。。マークトウェインが元祖かはよく分からないけど。

    『本当の話』は、唯一異色なシリアスもの。黒人奴隷の人生への愛情を感じる。ここから公民権運動まで100年近くかかるなんて意外と言えば意外。

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    2021年06月19日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

    購入済み

    おーん

    この手の作品が好きで何度か読むがいかんさん訳がわかりづらい。そのへんスルーできたらなぁ。原著で読めってことなのか

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    2021年06月06日
  • ハックルベリー・フィンの冒けん

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    トムソーヤがおままごと好きならば、ハックは本物の冒険者。危険から逃げていかだに戻りたくてたまらないのに、なぜかいつも冒険に巻き込まれてしまう。少年の機知に富んだ対応や、スパイスのように効いた人種差別の背景が冒険を加速させている。

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    2021年04月30日
  • インヴィジブル

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    "同情なんて最低の、役立たずの感情だよ。"(p.111)


    "人が望むことと得られることはめったに同じにならないのよね。"(p.243)

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    2021年01月26日