柴田元幸のレビュー一覧
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癌を患い離婚しブルックリンで余生を過ごす50代後半のネイサン・グラス、ネイサンの亡妹ジューン、その息子で将来を嘱望されながら大学で挫折しタクシー運転手になったトム・ウッドと妹のオーロラ。オーロラの夫で新興宗教に洗脳されたディヴィッド、二人の娘でネイサンの家を訪れながら頑なに口を閉ざす9才のルーシー。ネイサンの前妻イーディスと娘のレイチェル。トムが働く古書店の店主でセクシュアル・マイノリティーのハリー・ブライトマンとジャマイカ人でドラァグクイーンの店員ルーファス。トムが慕うアクセサリー工房の美しく完璧な母親 (BPM)ナンシー・マズッケリ。多彩なキャラクターたちの夢、挫折、ロマンス、LGBT、出
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ネタバレ読むまでなぜか少年が筏で漂流する話だと思っていた。たぶん十五少年漂流記と混じってる。なんで混じっちゃったんだろ?
だから読み始めるうちはいつ漂流するんだ?と思ってたけど、中盤に差し掛かってどうやら違うらしいということに気づいた。
想像してた話とは違ったけど、赤毛のアンシリーズのような子どもが生き生きと自由に遊び回る姿を描いた海外児童文学が大好きなので、読んでよかったなあという感じ。
児童文学といっても、大人や子どもの人間性や心情について一歩引いた視点で書いているので、それが滑稽さを際立たせているところもあれば、今にも通ずる感性もあったりした。この的確な視点や本人も楽しんで書いたのだろうな、と -
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Posted by ブクログ
愚行 というが、思うようにいかない、ままならない
どこかゆったりのんびりとした穏やかな空気をまといながら
不意に降りかかる不幸や思いがけない幸運や転機の訪れ
上手くいくこともいかないことも、そりゃあるさと
それは、ありふれた、どこにでもある、誰にでも起こる普通の
しかしその人にとっては唯一の特別な人生の人々の物語
もしかすると最後の最後に触れられるあの事件は
それ以前・それ以後と、その空気を一変させてしまう転換点なのだろうか
詐欺・犯罪ですら受け入れ取り込もうとする楽観的楽天的で
多少冷笑的でもあり諦念も備えた寛容さをもちあわせた物語が
オーロラの配偶者に対する場面で厳しさをあらわしていた -
Posted by ブクログ
柴田元幸さんによる新訳版。
ハックとジムのやり取りをはじめとする会話シーンが印象的。
持っている知識を使って自分なりに物事を理解しようとする様が、会話の中から見えてくるのが面白かったです。勘違いや言い間違いも含めて。
ハックの一人称の語りを通して、子どもたちが世界をどう捉えているのか、宗教や政治や歴史をどう捉えているのか、とても生き生きと感じられました。
特に、黒人奴隷のジムに対するハックの葛藤に引き込まれました。
ジムのことは愛しく思ってるけど、元々誰かの所有物だったため、そこから逃げ出す手助けをしてしまったという「盗みの罪悪感」を常に抱いています。しかし一方で、ジムが家族と離れ離れにな -
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正月に読もうと思って古本屋で買っててやっと読んだ。
ものすごく薄い本だからいつでも読めると思ってたのに大間違い。
私立探偵ブルーが変装した男ホワイトからブラックを見張るように依頼されるが、彼の日常には何の変化も起こらない。
ブルーは次第に不安と焦燥に駆られる…
読み始めたらなんだかどんどんはまっていく、不思議な話。
自分なりにいろいろ考えながら読むけど
とにかくブルーの不安感がものすごく伝染する。
なんだか落ち着かない、イライラしてくる。
ちょっとしたブラックの動きがブルーだけでなく読んでいるあたしまでうれしくなる。
読後はまた、少し考えてしまう。
この話って、「ニューヨーク3部作」の2