小池真理子のレビュー一覧
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全体的に救いはたづさん(と美村さん)の周りだけ…
息苦しくなるような展開は多かった。
強く生きる人の一生の一例を見た感じ。
本人の魅力(内面も外面も)が良いようにも悪いようにも転ぶわことはあるけど、これはさすがに極端な例だとは思いたい…
ところどころの表現はとても素敵で、つい立ち止まり、メモしてしまった。
下にメモを2箇所分だけ載せる。
十一月の午後の光が世界を領していた。縦に横に斜めに乱反射する光は、枯れかけた無数のススキの穂先で弾け飛び、小さな球のようになって地面に転がっていった。空も大地も、木々も草も、すべてが鬱金色に輝いていた。
石川夫妻には、野を駆けめぐる動物のごとき強靭な生命力がある。喪失の哀しみは、それがどれほど深いものであっても、次の何かと引き換えにできることを彼らは知っている。やがて絶望は絶望ではなくなる。希望の光が射し込んでくる。生きていくための新たな地平が開かれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ10人の作家さんが描く怪異の短編アンソロジー。多種多様な怖い話。一体、どこからこんなアイデアが出てくるのかと驚きながら楽しみました。
恩田陸『曇天の店』
北陸の料理屋。開けてはいけない勝手口。フェーン現象がつれてくるカワケが人を狂わせる。ラストの夫婦の会話が不穏で、余韻たっぷりで終わる。
米澤穂信『わたしキャベンディッシュ』
バナナの種って貴重なんだなあ。シゲルはどんな味なのかしら。
村山由佳『ANNIVERSARY』
小2のときの儀式が35歳で効果を発揮?
夫と息子と幸せに暮らしていたのに、少し違う世界で小2からやりなおし。新しい世界で新しい家族と幸せになっても、新旧、どちらも裏切っている気持ちになるのはしんどいですね。何回も繰り返すのかな。おかしくなりそう。
窪美澄『真珠星スピカ』
いじめられてる女の子。死んだお母さんが自分だけには見えている。空気の読めない担任(隣のお兄ちゃん)、いいお姉さん感がすごい保健の先生、不器用なお父さん。中学生の女の子の一人称で書かれていて、思春期のヒリヒリやヒヤヒヤが感じられてよかったです。ラストのお父さんのセリフ、泣いちゃいました。
彩瀬まる『マイ、マイマイ』
鈴白くんと別れることになるだろう。好きなのに。鈴白くんの落とした白い石には、彼の“恥”が入っていた。マイマイを戻さない選択をした主人公が偉いなと。
阿部智里『李果を食む』
兄弟で同じ現象を体験してるはずなのに、見てるものがまっっったく違う。怖い。スモモ?リカ?どっち!? 読み返しました。
朱川湊人『フクライ駅から』
友人が精神病院に入院した。彼の妹曰く、彼が都市伝説の生みの親だという。それがきっかけでおかしくなったと。しかし、友人は主人公にだけあるメッセージを送ってきて。人の裏の顔。そして、ラストは自爆していくのかな。疑心暗鬼のおまじないをかけられたのだろうか。こうなったらもう、戻れない。怖い。
武川佑『細川相模守清氏討死ノ事』
時代もの。幕府から追放された細川清氏と、彼に仕える小姓、孫七郎。彼らと烏天狗の因縁。時代ものは分からないところもあるのですが、アクションあり、情ありでおもしろかったです。烏天狗になるのは嫌なことかもしれないけれど、なってしまったら、それすら嘲笑うようになるのかな。
乾ルカ『かぐわしきひと』
自殺した双子の兄の遺品整理中に見つけた写真。そこに写っている美女に魅入られて…。そっちか!と見事にだまされました。残酷で美しい話。
小池真理子『喪中の客』
鳴らないはずのブザーが鳴った。訪ねてきたのは、妹の不倫相手の妻。終始、不穏な空気が流れていて、ゾクゾクしました。ラストは怖いからあんまり想像しないようにします。笑 -
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ネタバレ久しぶり、そして2冊目になる小池さんの作品。語り手が女性のお話が7篇、男性が語り手のお話が一篇の短編集。
主人公はどれも30代から40代。恋も仕事も色々と経験し、その人の過去を垣間見ながらこの先どうなるのか…と思った所で終わってしまうので、続きを読みたくなる物もあった。
『風』は衝撃的。学生時代の同級生と不倫していた千晶。その相手である川原とした約束。まさか通夜にやってきて約束を果たすとは…。
そして『父の手、父の声』は二ヶ月に一度新幹線に乗って不倫相手に会いに行く香織。
どちらも夫と子供のいる普通の主婦なのに家族には見せない顔を持っている。しかし、誰しも本当の顔は自分しか知らないのかもしれない。 -
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ネタバレ角川ホラー文庫だったので、手に取りましたが、怖い要素は少な目でした。
短編集だからと目次から摘まんで読んでみたら、時系列でつながっているお話もあったので、順に読む方が分かりやすいです。
死者の想いと触れ合う物語たち。読んでいて、死者と生者の境界線の揺らぎを感じ取れました。読み終わった後は、古い友人と再会した時のような、嬉しさ、寂しさと懐かしさが綺麗に混ざったような気持になりました。これがノスタルジーでしょうか。
---13編の中から何個かあらすじと感想---
『死者と生者をつなぐ糸』
あらすじ:私は14年ほど前、いるはずのない場所で、母の形をした何かとすれ違う。
こういう奇妙な体験がいくつもある。昨年、母が死んだ。もう現世にはいないが、
「母」の見た目を保った何かとすれ違うかもしれない。(中身は多分母ではない)
感想:理解不能な領域に踏み込もうとしているなーって感じがした。14年前、すれ違った「母」は、本当に何だったんだろう、、。
『現実と異界』
あらすじ:母は、空想好きの可愛らしい人。母から日常的に怪異譚を聞かされて育った私。これは本当に怖い!という話を聞くと、母はあっさりした口調で、死者を恐れていない様子。母は、日常の一つとして死者と交流している。
私は、母の影響もあってか幽霊話などが好きだった。作家になった私は、ホラー小説を書いている。
感想:
(一部要約)母から聞かされた怪談話は、死者と生者が一体化し、妙に現実的。特に理由もなく、ふらっと現世に顔を出す死者というのは、美しい情景だ①。いくら震えあがるような怖い話であっても、読み手の美意識をくすぐるような情景が潜んでいなければならない②。
①「ふらっと現世に顔を出す死者というのは、美しい情景だ」個人的には美しさというより神秘的という感覚に近いものを感じた。
②「いくら震えあがるような怖い話であっても、読み手の美意識をくすぐるような情景が潜んでいなければならない。」他の話を何個か読んでから「現実と異界」を読んだので、確かにどのお話も一貫してその情景が感じられたなあと思った。
『恋慕』
あらすじ:私の叔父が死んだ。
叔父は亡くなる前、行き先を告げずに家を出て音信不通だったが、死ぬ前日、私に大好き、かわいいと電話をかけてきた。次の日、自殺で死んだ。
アメリカで映画俳優の夢破れ、実家に居候し始めた叔父。叔父は父よりはるかに美男子。叔父は酒におぼれてだらしない男だった。私と同様、母も叔父に惹かれているらしい。私は叔父を大人の男性として意識するが、叔父が好きなのは私の母。しかも母が父と結婚する前から。そんな三角関係で揺れる私。それなのに叔父は、私をお嫁さんにしたいと冗談を言ってくる。思わせぶりなのか本気なのかつかめない。
そして突然の死。何で死んでしまったんだろう。ある夜、叔父が化けて出て、慈しみの念を感じた。私を見たあと、母のところへ向かう、叔父。絡まった感情が伝わってくる。叔父は、名残惜し気に夏の空へ消えていった。
感想:いるよね、叔父さんみたいなどんな年代の女性も惹きつける人。
顔は整ってて、だらしないところが、母性本能くすぐりそう。
私(主人公)の叔父さんへの感情は恋でも愛でもない。ファンとか推しが近いのかな。叔父さんも思わせぶりな言動ばかりして、ホストと女の子みたい。