【感想・ネタバレ】死の島のレビュー

あらすじ

大手出版社を定年退職後、カルチャースクールで小説講座を持つ澤登志夫、69歳。
女性問題で妻子と別れて後も、仕事に私生活に精力的に生きてきた。
しかし、がんに侵されて余命いくばくもないことを知るとスクールを辞め、人生の終幕について準備を始める。
講座の教え子・26歳の宮島樹里は、自分の昏い記憶を認めてくれた澤を崇拝し、
傍にいることを望むが、澤はひとり冬の信州へ向かった。
澤は、最後まで自分らしく生きることができるのか。「ある方法」を決行することは可能なのか…。

プライド高く情熱的に生きてきた一人の男が、衝撃的な尊厳死を選び取るまでの内面が描きつくされ、
深い問いかけを読者に与える傑作長編。

解説・白石一文

※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

読んでいて決して愉快な気分になる本ではない。が、死を前にした、そこそこ社会的な地位を得ながらも身寄りのない、孤独な人の内面が突き詰められ、丁寧に描き出されており、引き込まれる。

周りの風景や人々のちょっとした動き、表情などが見逃さず描写されており、そこからまた想像が膨らみ、状況がリアルに迫ってくる。楽しい終わり方ではないが、何かにつながる事も予感させ、
「重い.暗い」だけではない、力強さも感じさせてくれる物語だった。

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2023年03月29日

Posted by ブクログ

定年退職後はそれまで勤めていた出版社の関係で、文芸アカデミーの講師を努めてした澤。
癌が見つかり、その職も退くことに。
妻と娘は、澤の愛人問題で離婚してから疎遠となっており、孤独な身である。
そこへ現れたのが、文芸アカデミーの生徒だった樹里だった。
澤が引退の日にやって来て、澤の病気を知って何かしたいと申し出る。
少しの間に二人の時間はあったが、澤は自分の最期を決めており、樹里を遠ざける。
孤独な者が自分の最期を感じた時、どのように幕を下ろすか…決して他人事ではないと感じる場面が多く、胸が締め付けられるような感覚が襲った。

2022.11.13

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2022年11月13日

Posted by ブクログ

中々重みのある作品だった。人の死というテーマに真っ向勝負する圧倒的な筆致の高さに舌を巻いた。そしてあまり知られていない尊厳死ということについても、考えるきっかけになった。人は死をどう選ぶか。死を選ぶことは権利なのか、それとも悪なのか。

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2022年10月24日

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