小池真理子のレビュー一覧

  • 水の翼

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    東吾の匂い
     木版の匂い
     インクの匂い
     本の匂い
     煙草の匂い
    匂いの中で何故これほど惹かれ自尊心すら見失って
    やみくもに身を投げ出してしまいそうになるのか。
    底に渦巻くのは生と死、愛と芸術がとりまく。
    小池小説の最高峰といってもいいかもしれない。

    《文中より》
    ふと、紗江は自分今の自分が柚木の側ではない、明らか
    に東吾の側に東吾の世界にいると感じた。
    紗江は柚木に「いとおしかった。いとおしくてならず、
    立ち止まった石段の途中で紗江は胸の熱さに抗しきれな
    くなって、思わず涙ぐんでしまうことすらあった。」
    紗江は柚木と死以外の形で別れることはなかっただろう
    断じてそれ以外の別れ方は考えられ

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    2013年06月14日
  • ストロベリー・フィールズ

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    《本文より》
    「おそるおそるというのではない。
     ほしい獲物を悠然とくわえ、飛び去ろうとする、たかのように旬は自分の唇  で夏子の唇を慈しむように聞かせ、やわらかく湿った舌先をすべらせてきた。
     その感触に酔いしれ、思わず夏子が緊張をといた途端、二人の唇はたちま ち温かく溶け合った。
     口の中が蜜と化した。」

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    2013年06月14日
  • 水無月の墓

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    描写は綺麗だが、各短編の結末が物足りなく、もうひとひねり欲しいところ。実は死んでました、が多い気が…

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    2013年06月12日
  • Kiss

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    ネタバレ

    Kissにまつわる短編集。
    小池真理子は短編も上手いのよね。

    Kissと言っても時と場合によってさまざま。Happyばかりじゃない。

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    2013年06月10日
  • 水底(みなそこ)の光

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    ネタバレ

    書店でたまたま見て購入。
    「不倫の恋」をテーマにした短編集。著者があとがきで、どの作品も「光」「イルミネーション」を重要なファクターにしたと書いている。どの作品も、障害がたくさんあるからこそ燃えるみたいな話では無く、重たい。
    「冬の観覧車」が一番良かった。家族の象徴として登場する観覧車で撮影した写真は、不倫相手とその娘、不倫相手と自分のツーショットで、三人一組では撮らない。家族じゃないんだな、ということが重篤な病魔に侵されている不倫相手という設定とあいまって、痛切に胸に迫る。

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    2013年05月18日
  • 青山娼館

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    幼い娘とたった一人の親友を相次いで亡くし、高級娼婦になった奈月。

    奈月の悲しみ、憎しみ、怒りや孤独が胸に迫る。

    白檀の香りが本当に匂ってくる小説。

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    2013年04月08日
  • 天の刻(とき)

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    実らない恋に身を寄せる女の短編集。
    って、書いちゃうと安っぽく聞こえるけど、内容はずっしり重い。。。

    私は40超えてますが。。。。うーーん。こういう心境になったことないので、いまいち理解出来ないとこが多かった。
    「ふーん、そういうものなのかな~?」って感じで読み進めた。

    最初の4編は、
    夢も希望も生きがいもない人生に飽きて「なんとなく死にたい」と思い「死」を選択してしまう心情がわからなかった。
    でも、この大きい世の中に数え切れない人がいて、その中でこういう生き方や考え方をしてる人はいるんだよね。
    私としては、「もう死んじゃってもいいや」と思って「死」を選ぶのって卑怯な気もするけど。。。。

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    2013年03月17日
  • 妻の女友達

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    ネタバレ

    久々の自前積読本、BOOKOFFで105円で色々狩って来た本の一部。男が悲劇の主人公となる6編の短編集。朝起きた、朝読で読み終えた。書かれた1995年当時の悪女?で、女性が怖くなる「女性不信」に陥るの帯が付いてるが、現在では古くなってしまったなぁ・・・

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    2013年02月24日
  • 瑠璃の海

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    文全体は美しく読んでいてとても楽しかった。
    設定も面白いし流れるような文脈もステキだし。

    でも終わりがイマイチ納得できず…

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    2013年02月20日
  • 欲望

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    旅先で泊まった宿にあったから、という理由で手に取った。そういうきっかけがなければ読むことはなかったであろう。ということで、こういう出会いはおもしろい。
    しかしまあ~読んだ感想は、1997年って、こんな昔だったけか!?
    三島を根底においてるせいもあるのかもだけど、とりあえず出てくるキャラがみんな昭和~。そしてキャラクターが平気で作中未成年飲酒やら、飲酒運転やらしまくる描写が出てくるんだけど、こういうのって今でもあるのかな・・・?
    そして話の結末は、やっぱちょっと「ええー」と思った。なんていうのか、自分が道徳的過ぎるだろうが、実際にインポで悩んでる人だって世の中にはたくさんいるだろうに、こういう結

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    2013年02月16日
  • 東京アクアリウム

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    東京行きの新幹線を待つ間に京都駅で買った本。
    別に東京行きだったから「東京」アクアリウムを選んだわけではない(笑)

    小曲が一番印象的だったかな。
    あと一歩が踏み出せない、あと一言が伝えられない・・・それで後悔したことが山ほどある。
    なんだか自分の心の傷をえぐられたような話だったけど、でも、心に一番残った。

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    2013年02月16日
  • 冬の伽藍

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    切ない話。
    でも、どんどん読むに従って結末が予想できてしまって残念。。
    軽井沢はよく行く場所なので、情景を想像させながら読むことができてよかった。

    女の、駄目だとわかっていても惹かれてしまう感じは、なんとなくわかる。

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    2013年02月07日
  • 蜜月

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    芸術家の感受性の強い男性の、恋愛模様。
    一般人とは違う、実家の芸術家やアーティストと呼ばれるような人種の人は、こうゆう人生を歩んでいるんだろうな。

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    2013年01月26日
  • 蜜月

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    小池真理子さん、好きな作家さんです。小説でミステリーを読む様になったのはこの方がきっかけでした。この本はまたちょっと独特。激しい恋愛ストーリー。

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    2013年01月17日
  • 恋

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    学生闘争に邁進する活動家との不毛な関係に疲れた布美子の前に現れた美しいカップル、信太郎と雛子。彼らを神のように崇める布美子の愛によって、2人はより完璧に近づくように見えた。ある男が現れて3人の関係を破壊するまでは・・・。あさま山荘事件の裏側で、ひとつの時代の終焉を示すように、殺人で終わったある個人的な物語。
    作家がこの物語をなみなみならぬ思い入れをもって書いたことはよくわかる。だが、このカップルの異常な完璧さを形成していた核心の「秘密」には、ほんとうにこれだけの重さが与えられるべきだったのだろうか?それこそ、この禁忌を過度に神聖化することになりはしないか。また、殺人にいたる布美子の心理は実に説

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    2013年01月04日
  • 浪漫的恋愛

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    ネタバレ

    W不倫……道徳的には許されない恋愛と知ったうえで惹かれあい、そして別れを選んだ主人公。
    大人の恋愛小説、という印象でした。
    作中作『月狂ひ』も淫靡で神秘的な雰囲気が良かったです。

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    2015年10月09日
  • 瑠璃の海

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    事故で大切な家族を失った同士が・・
    そんなシチュエーションは自分に置き換えられないので、こうなるか??ではあったが、小説は小説として楽しめればよいので、OKかな。相変わらず、小池さんの文体は重いけど美しい。長崎に行きたくなります。

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    2012年12月11日
  • 狂王の庭

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    ネタバレ

    既婚女性が実の妹の婚約者と不倫。が、夫との間に子供が生まれ、その関係は収束。

    その子供が母親が亡くなった後事実を知る。その事のほうがストーリーとしては興味深いと思った。

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    2013年05月30日
  • 青山娼館

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    ネタバレ

    けっこういっきによんだかんあり。展開的に変化が大きいわけではないけど、主人公の葛藤というか、考え方というか境遇にはスピード感があった。
    読む前に想像してたのとはちがった(もっと短編的な要素がいくつか入ったものと思ってた)形の小説だった。基本的に不幸な人が多く出てくるなあ。じめじめがた。

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    2012年11月21日
  • 美神

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    恋愛小説ってあまりいい終わり方しなくて、終わり方のパターンが決まっているような気がして好きじゃないと言ったら、そういう終わり方をしないのもたくさんあるのに、めぐり会っていないのはかわいそうと最近言われた。

    本著も恋愛小説なんだろうと思いながら読み進めた。

    で、本著は正確にはサスペンスが入った恋愛小説感じで、結末も恋愛小説のパターンのひとつ。

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    2012年10月26日