小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
辻堂環という一人の男性と、ほんの短期間関わりあった女性たちの話。
環さんは、とんだプレイボーイだ!と、最初の方は思うんだけど、読み進めていくうちに、彼の孤独の深さや、刹那的に深い愛情をもつそのやり方に、なんだか可哀そうになってきてしまった。
私はでも、こんな生き方をする人は好きではない。
環さんが好きになった、この話の主人公たちは、もともとは、他に大切な人がきちんといたり、自分をちゃんともっていた人たちだった。
環さんが好きになるのはそういう人たちばかりで、彼が関わることで、彼女たちは何かしらを失った。
失わせることでしか、愛せないなんて、なんて哀しいんだろう。 -
Posted by ブクログ
小池作品の文章って本当に美人だなぁと思います。すっと背筋の伸びた美人な文章。でも美人な女の人って綺麗だけどそのせいで近寄りがたくもある。この作品は特にそれが顕著な感じがします。
初めて読んだときは大学生だったけど、エマの「あなたとは、たくさんの男、共有してたわね」って言う言葉が大人っぽくて素敵で、エマにそう言わせた野乃ってすごいなと思いました。大人なエマにそんな風に言われる野乃に憧れました。それは今でも変わらないです。
ただ、野乃の歳を超えたら今度は野乃の幼さが目立つような気がしてならなくなりました。
大人のエマと野乃ではなく、エマと子供の野乃という感じです。
作品を通じてエマの魅力を語り続け