小池真理子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ門脇 麦の主演映画を観たくて読みました・・
が、最終的に丸く収まる感じが『まあ人生こんなもんだよな』と。
主人公と尾行対象者が遂に対面してしまう、非常にスリリングなシーンの後に、何とも言えない雰囲気と距離感のなか、ワインバーで過ごすシーンが何だか滑稽で、でもなんか理解できるような気もしてよかったです。アルコールの入った2人が肉体関係にならないところが、非現実的というか、ああお互いキチンと冷静なんだなと、それもまた良かった。
(映画ではこのシーンが酔った主人公が『論文書かせて』迫り、ホテルに雪崩れ込み、自分の心は空っぽだと自己開示しはじめるという展開で非常に興醒めでした。)
文学的哲学的尾行、という新しい視点での作品だなと読む前は思っていたけれど、人間が秘密を持つこととか、誰かに対する相乗効果的な猜疑心だとか、書いてある描写と内容は別に真新しいわけでもなくて、尾行をして知れることもまあその程度なもんか、つまり人生ってそんなもんだよな、という感想です。 -
Posted by ブクログ
大学院生の珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「何の目的もない、知らない人の尾行」の実行を思い立ち、近所に暮らす男性、石坂の後をつける。
そこで石坂の不倫現場を目撃し、他人の秘密に魅了された珠は、対象者の観察を繰り返すようになる。
しかし尾行は徐々に、珠自身の恋人との関係をも脅かしていく。
何気なく始めた行動が、自分自身の状況にも影響を与える。この物語の場合は、不倫をしている男を尾行することにより、生々しいその現場を目にしてしまい、結果自分の恋人の女性関係をも疑ってしまうことになる。
尾行までの極端な行動ではなくても、そういうことって案外転がってるのかも、と考えたりした。
他人の行動やら経験やらを見ているうちに、いつの間にか自分に重ね合わせて考えてしまう。頭の片隅にその考えが入り込んでしまうと、なかなかそれを排除することが出来なくなる。
この物語の主人公・珠は、自己洗脳みたいな状態に陥ってしまったのだ、と思う。
サスペンス要素もあるからあまり書けないけれど、ちょっと都合が良すぎる展開かな、と思える点もいくつかあった。
“尾行”というのが自分にとって現実的ではないせいもあるかも知れないし、実際やったことがないから分からない感覚もあるけれど、そんな風に展開することってあるだろうか?と。
何かの調査等ではない、目的のない“哲学的尾行”。実際見知らぬ誰かを尾行してみたら…と考えたら、少し面白そうだと思ってしまった。
人には誰しも少なからず秘密がある。行く先、会う人、知られたくないこともある。
既に映画化している作品だけれど、石坂の役が長谷川博己って合ってるかも、と思った。デキる男に見せかけてちょっと抜けてるところもあり、何だかんだ優しくて最後の詰めが甘いところが。 -
Posted by ブクログ
映画化された小池さんの「二重生活」がとても面白かったので、「青山娼館」に続いて3冊目。
少しどんなだろうと心ひかれる設定は、お上手。帯に書かれると、思わず手に取ってしまう気になる度。
でも、3冊にして、3冊とも不倫が関わってくる。私は、不倫を目の当たりにしたこともあり、その実際の不潔さを気持ち悪く思っており、安易に本で煽りたてるネタではないと思っているので、不倫が出てくるとよくある設定に感じて、がっかりしてしまう。
今度は、妹が惚れてやまない相手を奪うという人間的にも下衆な関係を描いていて、食傷してしまった。
もう小池さんは、しばらくいい。 -
Posted by ブクログ
本書を何気なく購入し、読み始めた直後、なんとなくその洗練された文体が鼻につき読むのをやめた。
それが今ではサクサクと一時間と少しで読めたのだから読書も本人のそのときの心の持ちようで大きく変わるのだな、と実感。
余談はさておき最初にも書いた通り何気ない風景や心の有り様を実に洗練された文章で表現されていて、終始キラキラしたものを目にするような感覚でいた。
登場する由香と拓はすっかりおじさん、おばさんという年齢なのに非常に美しい2人を想像してしまう。
様々な苦悩や喜びを含んだ経験を重ねてなお瑞々しい人生を歩める、随分遠くまで来ても尚、道はさらに続いている。
学生時代にこんな熱い思いを交わした2人にも。
そんな熱い経験のない私にも。
そんな気持ちにさせてくれた爽やかな作品でした。 -
Posted by ブクログ
いきなり、ジュエット・ルイス、グウィネス・パルトウ、ヘレナ・ボナム・カーター・・・???
映画をそれほど多く見ていないので、馴染みの女優がいない。
そこは恋愛小説の名手が描く、俳優・女優たちのデッサンと銘打っての通り、見た事もない?女優がいきいきと描き出される。
描写力というのはこういうものかという思いがする。
伊達に筆で生計を立てているのではないという根性に参ってしまうが、ジョニー・デップ、リチャード・ギア、アンソニー・ポプキンス、堤真一、高倉健等の知った俳優が出て来ると、ホッとするのも事実だ。
映画好きの人には堪らない魅力の本に映るのではないだろうか。