小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ人格としては作者さんのことがあまり好きではないのだけれど、読むものは面白い……
というか、人間の汚い分全体のホラーな感じの微妙な心地よさがあります。
人間――しかも、割と女のどろどろの部分にここまでフューチャーしたらこういう話になるのか……とまったく私が創造もしない話のオンパレードなので、それはそれで面白いなあ……と思ってはいます。
女のために罪を犯してしまう男とそれを嬉しいと思ってしまう女――
当たり前の生活をしていたはずの人間が、当たり前じゃなくなる一瞬。
そんな人間ホラーを読みたい人にはオススメです。
ちなみに、短編が集まったものなので、とてもよみやすいかとは思います。 -
Posted by ブクログ
亡くなった美貌の祖母の家の解体時に、「開封厳禁」という大量の書類が見つかった。そこには、義理の弟に当たる人物が作った、壮大な庭における、禁断の関係が克明に記されていた。
先に読んだエッセイから、ミステリ・ホラー作家という先入観があったのと、タイトルから、きっとなにか事件が起こるのだろうと読んでいくが、起こらない。内容もクラシックなロマン小説という感じで、読み慣れないジャンルともあり、なかなか読み進めることが難しかった。
ところが、内容に進展があるわけでもないが、2/3を過ぎたあたりからトリップをしたかのように読み進められるようになる不思議な感覚を受ける。
とにかく、お金持ちの男女の置かれている状況などが、すんなり受け入れられる人にとっては、マンガのようにスラスラと読める本であろう。
また、クラシックや庭のディテイル、その他周辺知識についても、非常によく調べられており、ストーリーにもじゃまにならない程度でしっかり組み込まれているため、それぞれの表現はストレートなものの、厚みが出ていると感じられる。
日記という建前もあるのだろうが、世間の動向などということはあまり考慮されない。だからこそ、少ない登場人物に集中させるあたりは、成功しているのではないか。
まあ、半分までは読むのが辛くて☆1にしたろか、などと考えていたが、途中のイベントなども、メリハリを考慮して配置されており、よく出来たストーリーである。
ただ、長い。疲れた。 -
Posted by ブクログ
ミステリ作家によるエッセイ集。ミステリの方は、過去にいくつか読んでいるはずだが、作品と頭のなかでつながらないため、近いうちに読んでみようと思う。
ちょっと古い本だろうな、という印象で読み始めたのだが、予想通り。「あ~柴漬け食べたい(故・山口美江)」や「カウチポテト」の時代のエッセイである。したがって、かなり時代を反映しているとも言えるし、あえて社会的に主流の論調に逆張りをかける形で、当時の若者のライフスタイルを認めるような話も多いため、今でもそれなりに楽しく読めるであろう。
ただ、それなりに上手くまとまっているものの、ちょっと物足りない部分もある。この手のエッセイで、特に女性作家に多いパターンであるが、「家族のことは書かない」「友達のことは書かない」というようなルールを設けているように感じる。
家族や友人の面白おかしいエピソードで稿料を稼ぐというようなことをするのは、プロとしていかがなものかというところは有るだろうし、わからなくはないのだが、いくら東京から軽井沢の山の中に引越したエピソードがあろうが、暴走タクシーに乗ったエピソードがあろうが、詐欺にあった友人の話のような、自分ではない人の話が描かれた途端に、客観的な視点が生まれてエッセイが生き生きとするところはある。
そのあたりも、作風によるものなのか、その頃の時代によるものかは判断できないところはある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ門脇 麦の主演映画を観たくて読みました・・
が、最終的に丸く収まる感じが『まあ人生こんなもんだよな』と。
主人公と尾行対象者が遂に対面してしまう、非常にスリリングなシーンの後に、何とも言えない雰囲気と距離感のなか、ワインバーで過ごすシーンが何だか滑稽で、でもなんか理解できるような気もしてよかったです。アルコールの入った2人が肉体関係にならないところが、非現実的というか、ああお互いキチンと冷静なんだなと、それもまた良かった。
(映画ではこのシーンが酔った主人公が『論文書かせて』迫り、ホテルに雪崩れ込み、自分の心は空っぽだと自己開示しはじめるという展開で非常に興醒めでした。)
文学的哲学的尾行、という新しい視点での作品だなと読む前は思っていたけれど、人間が秘密を持つこととか、誰かに対する相乗効果的な猜疑心だとか、書いてある描写と内容は別に真新しいわけでもなくて、尾行をして知れることもまあその程度なもんか、つまり人生ってそんなもんだよな、という感想です。