重松清のレビュー一覧
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キヨシローが亡くなった2009年の5月。親を看取り、子供が手を離れ、「人生のA面が終わった」アカネが動き出すことで物語は始まる。
そして、懐かしい仲間たちとの再会の旅に出る。
高校の吹奏楽部で一緒だったアカネ、ハクブン、キョーコ、チャワン、カン。彼らはサックスとブラスの5人組、ショットガンホーンズをかつて組んでいて、卒業後も吹奏楽のアンサンブル大会に出たりと、5年ほど活動をしていた。
そして46歳になり、久々に再会した彼らは、それぞれの人生を生き、もがいていた。
文中でも何度も触れているが、少し設定は「ブルースブラザーズ」を思わせる。
かつてのバンドメンバーが旅をしながら再会していくとこ -
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ネタバレオイラの中ではこの物語の主人公はキミ婆や珠代さんだ。家族を守って、住んでいる場所を大切にして、そしてそんな風にして日本って国があるのかなって思う。いやそうであってほしい。誰も親や住む場所、国を選ぶことができないけど、できればどれに対しても感謝していたい。何かあったら力を貸す自分でありたいと思う。そのほうがオイラ自身が幸せだと思うから。キミ婆が言う。
“じいさんがおって、ばあさんがおる。お父ちゃんもお母ちゃんも元気で、子どもらも一つ屋根の下で、おんなじおまんまを食うて、おんなじ風呂に入って……その幸せを、しっかり噛みしめんさい。家族みんなが顔を揃えとる幸せを、忘れたらいけん。あたりまえのことでも -
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夫の友人からお借りしました。
いじめをテーマとした5作品が収録された短編集です。
今まで、温かい涙を誘うようなほっこりした気持ちの読後感の作品しか読んだことがなかったので、著者が書いたものでこんなにつらいいじめの描写があるなんて思いもよらず、衝撃を受けました。
ラストはほんのり希望のみえる作品もありましたが、とにかくいじめの描写が鮮烈過ぎて今も憂鬱な気持ちから立ち直れません。これが今のリアルないじめなのでしょうか・・・
それは私には知りえないことですが、ただ、読んでいてハッキリわかったのは、いじめられている側はそれを周囲に隠したがり、心配や同情も嫌うんだなっていうこと。
大人にSOSを送れば -
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【読み終わって感じたこと】
人生の何かに「負け」た人達を描いた短編集。みんな悩みや問題を抱えていて、何が正解かはわからないけれど、一筋の光に希望を抱いて、懸命に生きていくしかない。そんな風に思わせてくれる本。
【印象に残ったシーン】
『春になれば』で、先生が笑ってレオくんに抱きつく場面。どんなに酷いことをされても、不安定なコドモを全力で受け入れ、愛していきたいと決意する姿に、私はとても感動した。
【好きなセリフ】
「高見沢レオって、ぜーったいにカッコいいからね」
先生がレオくんに「新しい環境でも必ず前を向いて生きていけるよ」と伝えるこのセリフは、私の心に大きく響いた。レオくんはきっとこのセ -
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実質左遷された会社員が
会社の不正を告発するゲリラ戦を仕掛ける話。
仕事もまあまあ、家族もまあまあ、
穏やかで平凡で事なかれ主義の主人公は等身大で、
うだうだと悩む煮え切らない様子も
どこか他人事でなく読めるかも。
オズの魔法使いになぞらえられた
キャラの濃い同僚と、わかりやすい話の展開、
ゲリラ戦の最中はハラハラしたし、
最後はスカッと。
比較的サラッと楽しめる作品なんじゃないかな。
話の骨子は前述の通りなかなかにベタなんだけど、
さすが重松清作品、
家族に関しては深いひとことが
多かったように思う。
序盤は食えない冷めたやつだった中川が
「僕は親ですから」と涙を滲ませるのはぐっとき -
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本書は3つの作品から構成さており、最初の二つは30代の教師が主人公で、最後の一つは、自殺した同級生の遺書に名前を書かれてしまった弟を持つ、女子高生の姉が主人公。
その中の「ライオン先生」は、竹中直人主演でテレビドラマになっていたそうですね。(2003年)
個人的にもその話が一番印象に残りました。
中年になり、今までの生き方では通用しなくなってきた主人公。自慢のライオンのような長髪も今では時代遅れ。亡き妻の言葉を守り抜きながらも葛藤し、変化を受け入れようとしたり抗ったりする姿勢がとても人間味があり好きでした。
薄くなった長髪を、カツラを被り自分を偽ってライオン先生であろうとした主人公。結局それを
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