重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東京のとあるニュータウン。
予定通りに反映することなく、人口も減っていく。
そんな街で閉校が決まった
「トンタマ」と呼ばれる高校の最後の世代の高校生が主人公の物語。
2005年の作品ですが、2012年に単行本化され、
僕が読んだ文庫版は2015年刊のものでした。
最近のものだと思って読んでいたら、
最近の高校生がまるで知らないようなネタがでてきて、「え?」と
思いましたが、書かれた時期がわかって納得。
昔の作品かあと思ってちょっと残念な気もしたけれど、
中身の部分は色あせることなく、
現代に当てはまっていて教えられるものがあります。
いつの時代でもずっと欠けているものがあって、
それは日本人の性質や文化が、
なかなか変わらないからだったりするかもしれない。
また、本作の主人公である高校生たち。
彼らのような若い世代、
つまり誰でも通る未熟な時期を描いているから、
普遍的な「欠けているもの」を描けているのかもしれない。
そういったところに気付いてなおかつ直視しそらさず考えて、
でも、硬くならずに平易に庶民の感覚で物語にしています、
それも夢のある形で。
こういう場面でこうできていたら、
きっとこういうふうに現実は進んで、
それはステキだったに違いない。
著者はそういった夢想の数々を物語の上に現実化していって、
積み重ねていく。
だから、読者はこの物語に、
数々のこれまでの後悔や鬱憤にたいして共感してもらったような感覚とともに、
本当はそうできたかもしれない失われた現実、選択しそこねた現実を、
読書でもって仮想体験する。
よって、読者がそこで直面するのは単純な感動ではなく、
胸の奥からこころが撹拌されて、活性する感動。
嬉しさもあるし、面白さもあるし、楽しさもあるし、
前へ進んでいこうとする活力も湧きおこる。
反面、苦さもあるし、悔しさもあるし、むずがゆさもあるけれど、
それらすべてひっくるめて、
自分自身と対峙できた反応なのだと思うのです。
小説という「虚」の世界を使う、つまり体験することで、
うまい具合に現実にフィードバックできちゃったりする。
自分と向き合わないことには、時間は進んでも人生は進んでいかない。
それどころは、後ろ向きに進んだりする。
この小説は、物語内の高校生たちがオトナになっていく道程で自分と向き合う。
そして、読者も、彼らの物語を通して、自分自身と向き合えるようになっている。
まあ、物語とは、往々としてそういうものなのかもしれない。
最後、ネタバレになりますが、世の中を料理に喩えて、
よい「ダシ」になりなさい、とするところはうまい表現でしたね。
そうなんですよね、いいダシだなあと感じる料理はたいがい旨い。
世の中もしかり、なのでした。 -
Posted by ブクログ
北海道の真ん中にある自然しかない場所北都のとある丘で、小学4年生の幼なじみの他愛ない会話が始まる。
ダムで失われる景色を眺めながら。
遊園地を作ろう!と子供たちが叫んだ言葉は現実となり、その遊園地を北都観音様が見守っていた。
これは、その遊園地、カシオペアの丘を中心に回りだす話。
カシオペアの丘を見下ろす観音様のいきさつと、俊介が北都を去った経緯、そのカシオペアの丘に遊びに来た東京の家族の身に起こった悲しい事件。
そして現在の俊介の体に現れた悪性ガン。
不景気の北海道で、見捨てられた地に立てられた遊園地はさびれていく一方。
存続が絶望的な遊園地、カシオペアの丘。
下半身不随となりながら園長を勤める敏彦。
その妻となった美智子。
有名になる!と言っていたユウは仕事を転々としつつ、現在はテレビのディレクターをしている雄司。
そして北都の大御所である倉田グループの創始者の孫である俊介。彼は倉田の名を捨て、札幌、東京へ進学した。
俊介がガンと宣告されてから、驚くべきスピードで進行し、余命3ヶ月。まだ39歳で、子供は小学4年生。
彼の病に関する絶望と残される家族への思い。
そしてずっと心に残っている故郷の友人への罪悪感。寿命の宣告を受けて、初めて故郷へ踏み出す。
「誰かに謝り続ける人」
「ゆるされたい人」
贖罪がキーワードだと思う。
誰が誰に対してゆるされたいのか、ゆるせないのか、ゆるしたいのか。
色んな人のベクトルが絡まってどこか苦しく、それを美しい星空が見守っている印象を受ける。
上巻では、俊介がガンになり、進行するガンに苦しめられ、余命を宣告されて、会うのを避けてきた憎んでいる祖父に会い、そして北都で幼なじみに再会するところまで。
俊介は優しい人なのだと思う。
美智子が称した、「まじめで、考えすぎるぶん、ちょっと弱い人でもあった。」
ずっと敏彦の怪我の事で自分を責め、さらに自分の祖父が敏彦の父親を間接的に死なせた原因であると知り、本人の咎でない理由で、直接謝らせてもらえない、手紙も破り捨てられて、彼はずっと傷つき、倉田を、祖父を、自分を責め続けていた。
ずっと、心の血を流しながらゆるしてほしいと祈り続けていた。
倉田の名を捨てて、東京に居を構えても。
それで、自分の命があと少しだと知ったら…。
それはもしかして、悪魔と呼ばれた祖父も同じだったのだろうか。
ミウの言った「謝り続ける人」というのが俊介に対してなのか、事故の犠牲者なのか、わからないけど、両方なのかもしれないと思った。
家族を残して死にたくない。という切実な気持ちは、自分には本当にはまだ理解できないと思う。
または自分の夫がガンだと宣告される…。
そんな時の自分の心の模様はどうなるか、なんて全然想像できない。
理恵さんのように考えられるかなんてわからない。
自分の友人夫婦がその立場だったらなんて声をかけるだろう。雄司みたいに何か行動を起こしたい。嘘が下手で嘘も気づかない雄司に一番親近感を覚える。
家族や友人を想い合う彼らにどうか救いを、と願ってしまう。 -
Posted by ブクログ
面白かった!
非現実的な設定にもかかわらず、最後はほろりとくるヒューマンストーリ
オヤジ世代の応援歌です。
そして、下巻ではいよいよ重松さんの本領発揮!
健太の父の危篤に対して、その最後の瞬間に応援団がとった行動。
熱い物が感じられます。
また、OB山下の帰郷に伴う斎藤との確執。さらには斎藤の仕事上のトラブルに対する対応などなど。
オトナの社会で生きる事とは?を見せてくれます。
そしていよいよクライマックスへ。
ケイガク応援団との揉め事から発生した合同応援練習。これもベタベタな展開ですが熱くなります。
そして、ケイガクとの秋の定期戦。これが大介の最後の応援とります。
ここでの善彦の行動や健太のメッセージ、沙耶のメッセージに心打たれます
そして、最後の大介のメッセージ
熱くなりました!
とういことで、ハチャメチャなストーリ展開、コメディタッチでありながらも、最後の最後は熱い言葉で締めくくりました。
押忍! -
Posted by ブクログ
面白かった!
非現実的な設定にもかかわらず、最後はほろりとくるヒューマンストーリ
オヤジ世代の応援歌です。
上巻では
主人公は藤巻大介45歳、総務課長。
団員ゼロの廃部寸前の団を救うため、応援団OBのワンマン社長が大介に下した辞令が「あすなろ大学応援団」への出向。
脅され涙されながら、その辞令を受け入れます。
応援団OBの山下と斎藤にどやされながら指導を受けて、一人で応援団を再興していきます。
チアリーダの玲奈、吹奏楽部指揮者の善彦。
さらに新人として応援団に入ってきた健太、
娘の彼氏の根性をたたきなおそうと無理やり誘った翔、応援団責任教員となったフェミニストの原センセイ、
原センセイの教え子の沙耶
なんとか形になっていきます。
そこにケイガクの応援団との確執とドンパチでハチャメチャな展開へ。
さらにはOB含めた地獄の合宿。
そんな中、スジとは何か?
応援とは何なのか?
といったことがさまざまエピソードから語られていきます。
合宿でのOB達の応援はめちゃくちゃながらも感動しました。言葉ではなく行動でヒシヒシと伝わってきました。 -
Posted by ブクログ
新聞連載されていた時に、ところどころを読んで面白がっていたこの作品を、映画化されたとの惹句に惹かれ、文庫版を読んだ。
新聞などの連載、単行本、文庫と、たどる道はちょっと興味ある。
新聞連載=毎日連載のこととて、何せ忙しい毎日、今のわたしには読み忘れなどあって不向き。
単行本=なにしろちょっと高価、よほどでないと手を出さず。
文庫=その小説の定本になるかと思う、この『ファミレス』も少し手直しなさったと重松氏のあとがき、だから完全版を読める喜び、本好きのこだわりだけどね。
前に『ビタミンF』を読んで以来の重松氏作品。
飲みやすいお酒、口当たりのいい食べ物、軽いデザート、さっぱりしたお茶、の後に来るそこはかとない哀愁を味わう、の感想は裏腹かな。
というのも全編食べ物うんちく満載なんだから、ホントは満腹なんだけどね。
離婚届を懐に抱いて行動する妻におろろするする夫図は、深刻でもあり、今更平凡でもあり、氏あとがきにあるようにそういう時もあったのだ・・・ということで。
タイトル『ファミレス』=「ファミリー・レストラン」ならず、「ファミレス」=「ファミリー・レス」家族が無いというのもこれまたいまさらで、
ともかくも家族形態がこう迄変わってしまった現代を軽く流すか、深刻重大なこと、国家の根底にもかかわることであるとするか・・・。
そういえば、「ファミレス」はいつごろからあっただろうか?と調べたら1970年代とか、やっぱりお世話になってますね、わたし達。
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