重松清のレビュー一覧
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ネタバレ命とか人間関係を題材にした短編集。
あとがきにもあったが、どれもわりと地に足がついていて空想ではないリアルなお話しだった。
個人的に刺さったのは、架空の息子と飼い犬をめぐる「石の女」と老齢の両親を故郷にかかえる「みぞれ」の二つ。
前者の面白さは社会的には少し古い考えかもしれないが跡継ぎを欲する両親からの抑圧や子供がいて当たり前という中での不妊夫婦の生きづらさが妙なリアリティがあってモヤっとするところ。
後者は完全に自分を投影してしまったが、脳梗塞で後遺症を持つ父とそれを支える母の老老介護のあり方と思い通りにならない苛立ちと少しの虚しさがすごく刺さった。 -
Posted by ブクログ
巻末にある、如月小春さんの
「巷の勇者たちへ」
が、私の感想と重なっている。
子供のいじめを
これでもか、炙り出しつつ、
その視点は父、母、教師、
いじめる側、いじめられる側、
同級生、
それぞれの
想いもしっかり描き、
それが重松清さんの
フェアな向き合い方だ、と。
短編小説集でありながら、
エビスくん、は
特に長編のような時の流れと重みを感じた。友人を亡くした重松清さんの経験と喪失を乗り越えるべくして書かれたという。
やっぱり、好きだ!
重松清さんの作品は
読後感がよく、
心に少しだけ足跡をつけてくれて、
明日は、少しだけ上手に自然に笑えている自分が見えるのだ。
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村内先生のような先生に出会えた生徒は幸せだろうな。
自分の人には見せにくい部分をオープンにして人と付き合っていく、彼の場合は仕事にしている。
とても簡単にできることではない。
どんなに強い気持ちが必要なことか。
けどそれをオープンにすることで周りの見方が変わってこれからの社会で受け入れてもらえる環境を作ることに貢献している。
なんて素晴らしいんだろう。
本当に尊敬します。
色んな人がいるんだよってことを存在自体で教えてくれている。
生きにくさを感じてる子どもたちには早いうちからこの作品に出会ってほしい。
周りと違ったり、違う部分を寄せて目立たないようにしなくてはという生きにくい社会を変えたいな -
Posted by ブクログ
ネタバレ小学6年生の男の子が主人公、ユウキの話。
学校でも塾でもいじめられて、それを親に隠したいプライドはあるのに戦う勇気はない。
読んでいるとあまりにうじうじしていて、イライラする。彼をかばう女の子の友だち、エリカの気持ちがよくわかる。
最後はうまくまとまるが、もう一声がんばって欲しい。
この物語に出てくる子どもたちの名前はすべて、カタカナで表記されている。唯一亡くなった少女だけが、新聞記事などで漢字表記される。
彼女ですら、思い出を語られる際はカタカナになる。そこには声に出して語りかけることのできる存在、生きているということを表しているように感じた。 -
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「青い鳥」を先に読んでから、こちらを読みましたが、その順番で正解だったのかもしれない。
冒頭の少年へ宛てた手紙の部分からも伝わるように、「ただ、そばにいる」ということは、重松清という人にとって、とても大切なことなんだと思う。
そして最後の「それがほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」という、「青い鳥」の村内先生が大切にしていた言葉。
あたたかく、そっと背中を押してくれるような、大好きな言葉です。
このメッセージを世界のどこかにいる誰かが受け取って、大事にそばに置いているといいな。
この本は、その誰かにとって、村内先生のような存在になっているんだろうな。 -
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ネタバレ2024/09/17予約 5
『さみしくて明るい人、元気でさみしい人が好きだ‥‥そのさみしさを描きたい』
難しい。
『送り火のあとで』が一番好き。逆縁の娘の精霊棚に、きゅうりの馬、なすの牛を飾る。おばあちゃんはお盆を娘の夫、孫ふたりと新しいお母さんの住む家で過ごし、『来年からは田舎でおじいちゃんと一緒にお盆の迎え火をする』と言う。複雑な状況を少ない文字数で表すのは流石だと何度か読み返した。新しいお母さんは優しそうな人で安心するけど、亡くなったお母さんの事を覚えてる上の孫は、送り火の日、出かけてしまう、なすびの牛も消えて。切ない。さみしくて明るい〜は、このお姉ちゃんを思った。
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ネタバレ読んでいて辛かった。
それはイジメの描写が生々しかったという理由だけではなく、自分の小学生、中学生の頃の行動を思い出させられたからだ。あの頃、自分の周りではイジメはなかったと思っていた。イジメは暴力を振るわれる、あからさまな仲間外れをするといった行動だけだと考えていたからだ。ただ、数十年が経過した今考えてみるとイジメがなかったと断言できず、
さらに自分がそのイジメに加担していなかったとも断言できない。あの頃はふざけて行っていたイタズラやいじりと思っていた言動もイジメであったのではないかと考えさせられた。
短編の中の1つ、キャッチボール日和での一節
"反省と後悔の違いが初めてわかった -
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ネタバレ吃音の国語教師、村内先生が人には打ち明けられない悩みを抱える中学生たちに寄り添い、大切なことに気づかせるハッピーエンド短編集。村内先生は、「自分は上手く話すことは出来ない代わりに、大切なことだけを一所懸命しゃべります。」と言う。その言葉通り、孤独な生徒たちにそっと寄り添い、様々な苦悩に希望を与える。いじめ関連4章、打ち明けられない悩み系4章で構成されている。前者はいじめ発生後に学校が用意した偽善的な学級目標や学校目標、いじめ告発box..etcいずれもどこか表面的で胡散臭く、むしろ歪な友情を作り出してしまう中、村内先生と接することでそれらに違和感を覚え始めるいじめ加害者の心理変容が興味深い。後
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「とんび」も好きだったがこちらも素晴らしい内容だった。
やはり家族を描かせたら重松清。
とんびと同じく、妻を亡くしたシングルファザーの話だけど、こちらは子供が女の子。
女の子を男で一つで育て上げるというのは想像を絶するものがあると思う。
主人公の亡き妻への愛、残された子供への主人公以外の親戚たちからの愛。
子供だけではなく、主人公もまた亡き妻の家族から愛されている。
そして、義父も自らの姿で孫への命の尊さを教えていく。
こうして自分も様々な人に育ててもらったのかなとしみじみと感じた。
亡き妻の小学生時代の話を同窓会の時に同級生から聞かせてもらうエピソードには泣いた。
確かに、自分の親も妻も知