角田光代のレビュー一覧
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「私たちには物語がある」
そうそう、そうなんだよ…って偶然見かけたこの本を手に取った。どうやら読書感想文なんだ~と帰りの車の中で分かった。
冒頭の角田さんの書き出し。
これまでの自分を思い出しながら読むと、泣きたい気分になりつつも、物語があってよかったと思っていた自分に気がつく。
今考えれば、とても不安定だったあの時期(不安定だなんて今でも書きたくはないけどね)、唯一落ち着いていられる場所は本の中だったなぁ。
医師に「何をしているのが一番落ち着きますか?」と言われて読書と答えたっけ…。
「星の王子さま」もっとも好きな本の一つ。初めて読んだのは小学生の時だった。近所の人のお家で、掘りごたつの中に入り込んで読んだっけ。寝そべって読んでいたら、本にその姿勢をたしなめられて急いで姿勢を正して読んだっけ。
あらすじなんてものは全く分からなかった。でも、それでもこの本が大好きだったっけ。
少し大人になってから、この本のあらすじが分かるようになって、読むたびに感じ方が違うと気がつくようになって、なんてすごい本なんだ…と陳腐な言葉でしか言い表せない自分がもどかしいけど、
読書は、自分の状態に優しく合わせて寄り添ってくれるんだ…ってことを小さなころの私は感覚的に知っていたし、不安定だった私はそれにすがっていたし、今の私はあぁ、そういうものなんだ…と大人っぽい解釈をしていたりする。
読みたい本がたくさんあった。自分がこれまで読んだ本の話もでてきていたとても面白かった。
私たちに物語があって本当に良かったと思う。 -
Posted by ブクログ
他の本と併読をおすすめ 「母と娘はなぜこじれるのか」
「母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか
(NHKブックス)」を読んでからこちらを読むことをおすすめします。
著者の斎藤さんが、母娘問題にゆかりのある方と対談していきます。
角田さんの小説は同じ日に読み終わったばかり、
萩尾望都さんの「イグアナの娘」はマンガもドラマも見、
信田さよ子さんの「母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き」も
読んでいたので対談の背景を知った上ですっと読んでいきましたが、
今、実際困っている人は、「母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)」、
「母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き」の併読をおすすめいたします。
田房永子さんとの対談が、一番付箋が多くなりました。
実際の母との経験をマンガにされているということで、
呪詛植えのメカニズムと、呪詛抜きについてなど、マンガで
わかりやすく描かれているので、田房さんのマンガ作品にも
興味がわきました。
「母親から植えつけられた呪い、呪詛を抜いていく
『呪詛抜き』が必要だと思っています」
「いびつな母娘関係のラスボスは、男性の怠惰」
というような発言にひとつひとつ、頷く経験がある方が
いらっしゃるのではないでしょうか。
また、逆に全くぴんと来ない方も同じくいらっしゃるのでしょう。
それは、とても幸せなことだと知ってほしいです。
「母親の呪縛から解放される一番のポイントは、
自分は母親の思う通りじゃない、
母親の望む言動をしなくてもいいんだ、
イヤなことはイヤだって思っていいんだ、
と気づくことでしょうか。」
とありますが、このような本に出あっているということは
なんらかの気づきがあって読んでいるのかなと思うと、
それは大きな一歩だなと思います。
自分がそのような問題を抱えていることすら気づかず、
そう振る舞うのを当たり前と思っている人も多いはず。
また、
「今は母親との関係は、距離を置けているので、
直接的な被害はないんですが、自分のなかにある
母の呪縛みたいなものから、夫や子どもへの対応に
問題を抱えています。
お母さんとの関係が安定していなかったから、
夫に対してこれでいいのか、子どもに対して
これでいいのかと不安を感じたり、不安によって
夫に対してキレちゃったりする」
という言葉があったのですが、そういった、距離を置いてから、
自分が母となったときのよすがになるような
本というものも読んでみたくなりました。 -
Posted by ブクログ
母と娘の間には
母と娘の間にある問題がクローズアップされてきている。
母は娘を支配しようとし、娘はそれに応えるために必死になる....
その問題を5人の女性と対談形式で齋藤環が論じる。
一番興味深かったのが水無田気流氏との対談。
現代の育児の負担というものが女性に過剰に負担を強いているという論調であるがこの点は非常によくわかる。
保育園が見つからない、見つかっても子供が病気になれば休まなければならない、夫は帰って来ない、孤独感を募らせていく......
これは現代の母親には感じるものがあるのではないだろうか。
ある程度の社会基盤がある人ならば公的サービスを受けられる(それがあることを知ることができるから)が、そうではない人に対するケアが少ないのは深刻な問題だと水無田氏は語る。
それは現在の制度の大いなる弱点であろうと思う。
個人主義的な自己責任や自己決定が声高に叫ばれているのに肝心の個人というものが尊重されていない、という指摘にも頷かせられる。
信田氏との対談も面白い。
マゾヒスティック・コントロールやロマンティック・ラブ・イデオロギーという概念が興味深い。
後者が近代家族の維持装置の一つだというのは面白い視点だ。
それは幻想だとはっきり言っているわけではないが、一種の大いなる物語という指摘がある。
それが悪いというものではないがそれによって母のパワーが極端に一カ所に集中しているというのは納得できる部分もある。
他にも田房永子氏、角田光代氏、萩尾望都氏の三人との対談がなされている。
それぞれとても興味深い。
自身が母との関係に苦しんでいる場合もあり、それをもとにいろいろなこうさつがおこなわれている。
母というものが娘の人生に大きな影響を与えるのは決しておかしなことではない。
それをもとに自分自身の世界を構築していくのだから。
しかし、母と娘蜂が繋がっていたとしても別個の人間であり、母自身の「やり直し」ではない。
娘であり母である自分に照らして怖くなりつつ、わが家はどうだろうかとしばし考え込んでしまった。 -
Posted by ブクログ
うーむ。
なるほど……。と言おうかなんと言おうか。
女性が生む性だからなのか、産む性で有ることを社会的に期待されているからなのか、母、祖母、とさかのぼり、もしかしたらミトコンドリア・イブにまでたどり着く呪詛を感じる。すげーわ。
社会や人情、世間の常識に照らし合わせて間違っているとしても、本人が辛いならば「辛い」って言うのは当たり前なんですよ、と言うことを切々と語っているなぁと。
そして何より、逆もありき、と言うのが新しかった。端から見てどんなに辛そうでも、本人が大丈夫ならばそれでいいい。
本人にとっては、本人が感じていることが真実なのだし、それを大切にしてほしいと思いました。 -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて買った本。
ゆるやかな流れで専業主婦房子の日常が描かれていく、と思いきや、この夫婦の抱える空虚感が読んでいて怖い。空虚感、あるいはからっぽの箱、のイメージ。ふたりとも、そのことに気づいていないように見えることがさらに怖い。
良し悪しではなく、結婚したらマイホームを建てて、子供を産んで・・・という「目標」を持っている房子の親世代は、少なくともからっぽの箱に何か入れようとしているのだけれど、若い夫婦の現実味のなさは、彼らがまさに言うように「ゼロ」の状態で、いまどきこういう夫婦もいるよね、こんなスタイルもありだよね、と思う一方で、なにか背筋を寒いものがとおっていく感じ。
あぁ、これが角田光代さんの描くリアリティなんだな、とも思う。
読み終わってから文庫本の表紙を見ると、非常に意味深に見える。 -
Posted by ブクログ
母親を描いた短編集。
どれも面白かったけど、「初恋ツアー」「鳥を運ぶ」が面白かった。
この人は本当に女性を描くのがうまい。
当たり前のことかもしれないが、子どもは母親を見て育つ。意識していなくとも、母親のように生きてしまうものなのではないか。大人になるにつれ、その思いは強くなっていく。
気づかぬうちに、母と同じような生活を送ろうとしている自分がいる。
この本を読んで、改めて、母と娘とは同じ生き物のように感じた。あとがきには、母と娘の関係は、息子と娘の関係や、父と娘の関係とは全く異なるものだとあったのも興味深かった。
女ってやっぱり複雑でめんどくさい生き物だ。