福井晴敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作において異質さを放つ前巻からのエピソードに蹴りが付く巻。これまで『ラプラスの箱』を巡る因縁に一切絡んでいなかったカイ・シデン、家族を守るか恨みに従うかを彷徨うジンネマン。そういった人物を中心に据えつつ対立する運命の中で必死に抗い続ける人々の姿が。これはバナージ達が解決しなければならない問題を当事者目線で描いたものだったのかもしれないね
対立に踊らされる人々が描かれるからこそ、対立構造そのものを変える立場に居るバナージやフル・フロンタルの言葉にスポットライトが当たる構図になっていたのかな
器として自分が属する組織が望む形で箱を使うと宣言するフル・フロンタル。所属や生まれに関係なく皆の為に -
Posted by ブクログ
冒頭のシーンは緊張感がありワクワクした。
これからどんな物語が始まるのかと、期待は膨らんだ。
でも、中盤以降になってくると少しずつ期待値が下がっていった。
スピード感もありスケールも大きい。
ただ、わけありげな人物ばかりが次々と登場し、しかも裏事情は誰かの説明によって語られてしまう。
実際にはありえない設定をいかにリアルに感じさせるか。
もっとキャラクターのひとりひとりを掘り下げ、活き活きと動かしてほしかった。
ただ「闘う」ことに対する揺るぎない信念はストレートに伝わってきた。
「闘う」意味、何のために、誰のために、戦うのか。
そして物語の作者である福井さんにも確固たる信念があるように感じた。 -
Posted by ブクログ
7作中の5作目。奪った「M資金」で後発国の支援を実行した真舟たち。しかし、「M」である暢人は「清算人」に捕まり、石は生まれ故郷であるカペラ共和国に残り、真舟は一人で日本へ帰国。もう一人の協力者の本庄も「財団」に捕えられ、みんながバラバラに…そんな状況の中で、暢人から渡されたUSBメモリーの中の情報と、「清算人」遠藤の回想により、「M資金」がどのようにして生まれ、現在に至り、このような事態になってしまったのかが、「幕間」として描かれる。戦時中の描写に関しては、作者の得意分野であることがありありと伝わる。今作は後発国へのインフラの配備や近代的な内容が多いけど、やっぱり戦争ものも強い。最初から内容自