あらすじ
在日米軍基地で発生した未曾有(みぞう)の惨事。最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した長編海洋冒険小説の傑作。(講談社文庫)
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どうすれば20代でこんな骨太の長編が書けるのでしょうか。そして人の人生を語れるのでしょうか。読み進めながらそのことに感動します。映画化もされましたが、活字で想像を働かせた方がよほどスケールが大きく感じられる作品です。
登場人物の背景が印象的に描かれる前半から、それが徐々にクロスしていき、それぞれの時間を経過させてイージス艦「いそかぜ」に集められていく中盤が秀逸です。そして後半では、息をのむ緊張感の中での攻防を祈るように読み進めます。
この作品を追いかけるように拉致問題が明らかになり、領土問題が頻発し、日本人は「国」が何をしてくれるのかを問うようになっていきました。軍備拡張はイージス(=盾)に成り得るのか、逆に脅威になってしまうのか、この作品を読んでから真剣に考えてください!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
映画を見て面白そう。
けどなんか分かりにくい。
原作を読んでみたら、
登場人物の背景がきっちり書き込まれている。
映画だとなんでここまでと思う事も納得できる。
映画だと尺の長さの制限があると改めて思わされる作品。
Posted by ブクログ
ノンフィクションだと言われても納得してしまうくらい説得力のあるストーリー展開で、下巻よラストが本当に気持ちよい!大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞のトリプル受賞作
Posted by ブクログ
古本で購入。上下巻。
本棚整理にあわせて再読。
国家に“殺された”息子の仇を討とうとする自衛官によるイージス艦の反乱に、アメリカが作り出した新型兵器と北朝鮮の精鋭工作員が絡み合う舞台仕掛け、そこに福井晴敏お得意の「バディ」モノのアクションが加われば、一級のエンターテインメント小説ができあがり。
ミステリー仕立ての序盤からハリウッド映画さながらの大ドンパチが始まる後半のクライマックスまで、ズンズン読ませる。
作品としては後のものになる『終戦のローレライ』と通じるのは、主人公のひとり、先任伍長の仙石のこの言葉。
「生き甲斐だよ。生きててよかったって思うことだよ。それがあるから人間、生きていけるんじゃねえか」
国家を背負った男たちの物語にあって、それぞれの登場人物が最後にたどり着くのはそこ。
ものすごく大きくて重いテーマを扱った作品を書きながら読後感が爽やかなのは、このあたりに理由があるのかもしれない。
Posted by ブクログ
亡国のイージス(上) 福井晴敏(著)
自衛隊とは、どんな存在なのか?
守るべき国はあるのか?
ミニイージス艦を乗っ取って、東京を攻める
という発想自体が面白い。小説に醍醐味。
『アレ』という名付けが、馴染まない。
辺野古ディストラクションが、事件の発端。
北朝鮮の工作員 ホヨンファ。
戦略的構築力と、人心掌握が優れている。
オーストラリア行き飛行機。それを爆破する。
その描写が、何とも言えないアクション的である。
如月行という男のもつ 凄さ。
仙谷の自衛官としての誇りと価値判断力。
オトコのロマンなのかな。生き甲斐とは。
Posted by ブクログ
上巻だけで500ページ超の長編国際謀略冒険小説!自衛隊の兵器や軍事行動・作成などが詳細に描かれ、読むのに苦戦したものの、とにかく面白い!
冒頭、主要な登場人物である宮津艦長、仙石先任伍長、如月一等海士の背景が描かれる。そして、北朝鮮のテロ活動が…Gとは何か…宮津の息子の死の真相は…いそかぜは…
中盤からは綿密に仕掛けられた事件が予想も出来ぬ展開につながり、結末はどうなるのか、早く下巻を読まねばと思うような面白さ。さすが、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞の三賞を受賞した作品だけのことはある。
Posted by ブクログ
さかのぼる様に若い者から順になされる人物紹介が登場人物を現実味溢れるものにする。
不信感が募りに募り、クルーが死に、欺瞞と疑惑が高まって決壊する。じわじわと這い上がるような不穏さが限界にまで達し、怒涛の展開に転じる様は見もの。
再読なので、展開を知っている分主人公が不憫すぎてつらい。
Posted by ブクログ
以前もこの著者の作品は読んだが、アクション映画的な面白さは同じく魅力的で、かつ今作は著者の政治的主張をメッセージがより色濃く出ていたと思う。著者の作品がただの小説ではなく、読者に一定の気づきを促している点は他と一線を画すジャンルとして特徴的だと思う。個人的には他作と根本は同じような展開だったので、新しいものを求める自分には少し冗長に感じたが、面白いことは確かであり、これほど一貫したテーマで作品を書き続ける作者にむしろ感服せざるを得ない。
Posted by ブクログ
海上自衛隊のイージス艦を舞台にした物語。
上巻の前半は主要登場人物の背景や人物像、海上自衛隊組織などについて丁寧に描かれていて、ややスロースタートな感じだが、300ページを過ぎたあたりから物語が荒々しく一気に動き出した。
「守るべき国の形も見えず、いまだ共通した歴史認識さえ持ちえず、責任回避の論法だけが人を動かす」この国に「真実を告げる者」が行動を起こしたところで上巻が終わる。
行動を起こした者たちの目的がいまいち理解できず共感もできないまま読み進めてしまった。ハッピーエンドとはならなそうなシナリオと展開のように思えるけど、下巻でどうなるやら。
Posted by ブクログ
海上自衛隊、護衛艦が舞台となり、国防がテーマの軍事小説。その中にもいろんな要素が含まれ、大長編だが飽きずに読める。18年も前の作品なのにも関わらず、日本の国防の問題は現在でも通ずる点が多い。この作品を当時30歳ぐらいで書いてる著者はすごいと感じた。
Posted by ブクログ
9年前に映画は見た(映画自体は05年の作品)けど、ほとんど覚えてないので、新鮮な気持ちで読んでいる。中盤まで来て、ようやく真田広之の姿が浮かんできた。前半だけでも十分に厚い本だが、まだ導入部。ようやく真の展開に至ったところなので、後半が楽しみ。
Posted by ブクログ
守るべき国の形が無いというフレーズが何度も出てくる。また、登場する人物達の多くが自分の守るべきものが崩壊し自らが生きる目的が見えなくなっている。その様子がベースになっている。
価値観が損得的金銭的な軸でしかなくなった今の日本への作者の怒りかもしれない。
日本にとって「守るべき国の形」とはなにか?続きを読みながら自分なりの答えを考えていきたい。
Posted by ブクログ
大藪晴彦賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞した大作。かなり期待して本を手に取った。
良くここまで考え付いたものだというのが率直な感想で、フィクションでありながら詳細な描写にリアリティがある。登場人物はほとんどが男性で、かなり骨太な人格が多い。組織対組織の関係や、登場人物が多いので、誰がどの組織の人間かが個人的には分かりづらかった。
戦闘シーンは長すぎて途中やや中だるみしたので、飛ばし呼んだ。ごつい小説なので、男のロマンは十分に刺激すると思うが、人物も多く、細かく追うのが面倒になる読者もいるだろう。
プロローグも引き込まれるし、なにより、終章が清清しく素晴らしかった。万人に勧められるわけではないが、自分は読んでよかったと思う。
Posted by ブクログ
再読。本書で書かれている問いは決してフィクションではない。前半部分は退屈ではあるけど、読み進めていくうちに全て必要な物だったとわかる。時系列的には少し前に読んだ「Twelve Y.O.」の後(読まなくとも十分楽しめます)。「専守防衛」の精神は尊いと思うけど、いざ戦場に立った時にそれを実践しろというのは酷だと思う。物語は上巻の後半に入ってから一気に進んできた感じで、下巻が楽しみでならない
Posted by ブクログ
圧倒的なスケールと迫力満点の戦闘描写に、読書意欲が鷲掴みにされた(笑)。
下巻も即購入♪
★4つ、9ポイント半。
2014.07.10.了。
Posted by ブクログ
映画化されましたが、文字のほうが圧倒的におもしろい。
現実は、こんなに簡単にことが進まないのだろうけど・・平和の裏にある危機をエンターテイメントに落とし込んだ秀作。
Posted by ブクログ
自衛隊や社会小説など、お固い小説は正直苦手です。
はじめは単語とそれにつけられているルビがつらかったのですが
それで読むことを投げようとは思いませんでした
それはキャラクターがきちんと生きていたからです
特殊なキャラクターは一人もいません
いわゆる紋切り型といえばそうなのかもしれないです
が、応援したくなる人間臭さがページを先に進ませます
自衛艦の艦長が北朝鮮と手を組み、日本に攻撃を挑んでくる…
賛否両論はあるのでしょうが考えるきっかけになりますね
Posted by ブクログ
在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦「いそかぜ」は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。まじわるはずのない男達の人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った「楯」が、日本にもたらす恐怖とは。
「現在、本艦のミサイルの照準は東京首都圏内に設定されている。その弾頭は通常に非ず」ついに始まった戦後日本最大の悪夢。戦争を忘れた国家がなす術もなく立ちつくす時、運命の男達が立ち上がる。自らの誇りと信念を守るために。
Posted by ブクログ
面白い。
憲法9条至上主義者には、こういう危機があるのだと知ってもらいたい。
大げさかもしれないが、国家の危機管理にやりすぎだということはないと思う。
下巻でどうなるか?
Posted by ブクログ
上下巻で、1冊1冊 すごく分厚い。
最初 プロローグ的な感じが 長くて
上巻の ほぼ終わりくらいから
やっと 話の本題に入った感じになるんですが、すごく面白い。
なにぶん 苦手な分野で
ちんぷんかんぷんなこともあるんですが、
それなりに楽しんで読めてます。
コロンボ風で 犯人は分かってるんですが、
その頃には その人のことを
前半のプロローグ的なとこで好きになってしまってるので、
この先 どうなるのか かなり気になります。
実際に ありえない話のようで
あったら かなり怖い話です。
Posted by ブクログ
渥美大輔が好きで好きで…
前半は読むのしんどいかもしれないけど、そこを越えれば面白いよ!
(と、友人に勧める時に言ったら「ほんとにそうだった!」と言われた)
Posted by ブクログ
第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会賞、第53回日本推理作家協会賞受賞 トリプル受賞
北朝鮮のテロリストが秘密裏に自衛隊幹部と接触を図り、最新鋭のシステム護衛艦を乗っ取る。そんなことが簡単に出来るのだろうか、そこは小説なので現実性については賛否はある。村上龍『半島を出よ』が05年刊行なので、こちらはその6年も前に書かれた小説なのだ。
自衛隊幹部が北朝鮮テロリストと手を組む経緯は別にすると、こちらの方が圧倒的にリアリティがあり面白いし、如月行が何者なのか、そのなぞが最後に明かされるあたりはさすがに驚いた。そうなると、仙石先任伍長の活躍を下巻で期待せずにはいられない。久々の星4つ。
Posted by ブクログ
海上自衛隊の最新護衛艦イージスを拠点に、日本政府に対するクーデターが発生するという、「沈黙の艦隊」並みの巨大スケールの物語。公安やら北朝鮮のテロ部隊やら謎の組織が色々と登場する上に、「米軍が開発した最高機密の特殊兵器」まで出てきて、ハリウッド映画的な大掛かりさなのだけれども、下地となっている設定はとても細かく綿密に練られていて、かなり話しには現実味がある。
主人公の、如月と仙石のキャラクターがとてもきわ立っていて、この二人の存在が、物語を格段に面白くしている。悪い組織を正義の味方が懲らしめる、というような単純な図式ではなく、それぞれにそれぞれの考え方と事情と立場があって、どちら側にも読者を共感させる要素を持たせているというのが素晴らしい。
話しの展開のさせ方や、盛り上げ方、収束のさせ方など、すべてにおいて上手にまとめられていて、それでいて、あっと驚くような仕掛けも随所に用意されている。ヒットする物語の創り方にある程度までのセオリーというものがあるとしたら、それを確実に実践しているのが、福井晴敏という人の小説なのだと思う。
Posted by ブクログ
上下巻感想。
護衛艦乗っ取りが始まるまでは、複数の人物のエピソードが丁寧かつ面白く描かれていてワクワクしたけど、乗っ取りが始まってからはハリウッド映画でよく見るようなシチュエーションになってしまって残念だった。
Posted by ブクログ
99年に大藪晴彦賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞した有名な作品。
映画化もされた。
沖縄にある在日米軍基地・辺野古にて前代未聞の大規模な火薬爆発事故が起きた。
この事故により日米安保を見直そうという動きが高まる中、
今度は北朝鮮から日本の大陸を越えたミサイルの発射事件も勃発。
そうした状況の下、イージス級の最新システムを搭載したミサイル護衛艦《いそかぜ》は海上へ訓練に出る。
艦長は直前に不幸な事故で息子を亡くした宮津。先任伍長の仙石はこの航海の直前に妻に別れを告げられる。
そして海士として乗り込んだ如月行は、他の海上自衛官とは違った雰囲気を醸し出していた。
《いそかぜ》はこの後、国家間の策謀に巻き込まれる事になる。。。
とてもボリュームのある小説。上巻読むのにも結構時間がかかってしまった。
読み甲斐があるのだが、言葉が専門的(?)過ぎて飲み込みにくいという方が大きい。
小説を読んでいて、書かれている風景がサッと思い浮かべる事が出来れば読み進めるのも速いのだが、
本書の場合はそうもいかない。
それでも、映画を先に見ていたお陰で多少なりとも「絵」を思い浮かべられたので良かったのだが。
これで映画も観ていなかったら、更に厳しかったかもしれない。
しかし、そんな難しさがあっても読み進めたくなる魅力がこの本にはある。
映画よりも人物描写が深く(当たり前だが)、仙石や宮津の苦悩をより感じ取る事ができる。
上巻だけでも物語が二転三転していき、この先どうなって行くのかが非常に楽しみにもなる。
(映画で先に結末を知ってしまっているのだが。。。)
何となく、『ホワイトアウト』の海上版的な感じもあるが。
この小説は、「日本の防衛」に対する矛盾点をこれでもか、と言わんばかりに突いてくる。
国益ないしは自身の利益のみを優先し、国民の意向や安全を無視した判断をする省庁幹部。
上の決定には何があっても従わなければならず、そこには自意識など存在しない自衛官達。
そうした自分達が施した網にがんじがらめになって動けない「日本」という国に対し、
強烈な挑戦を仕掛けるホン・ヨンファという北朝鮮の工作員。
現実に起こってしまってもやむを得ないと思ってしまうぐらいに、
現在の「日本」という国の危うさを描いているとも言える。
宮津の息子・隆史の論文でも指摘されている『日本のアイデンティティとは何だ』というサジェスチョン。
偏った考えだとは言え、心に響くものがあった。
難解である点などを考えると万人が楽しめるとは言えないが、質の高い小説だと思う。とりあえずは3.5点。
Posted by ブクログ
在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦“いそかぜ”は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った“楯”が、日本にもたらす恐怖とは。
Posted by ブクログ
如月は育つ中でいろいろなことがあり、両親が亡くなり一人になってしまった。
大きくなり、自衛隊に入隊した。そのときある任務を任されていた。
国家間の陰謀に巻き込まれ、団体に潜水艦を乗っ取られてしまう。
しかし、先任伍長は艦を取り戻すために、海に飛び込み、艦へ侵入することに成功した。
はたして艦を取り戻すことができるのであろうか。
Posted by ブクログ
さまざまな思いを抱えた男たちが乗艦する最新のシステムを搭載した護衛艦いそかぜが暴走。
完全に国を敵に回し、多くの被害をもたらしていく。
一体、この物語はどのように収束していくのか、想像ができない!
2014.1.25