どうすれば20代でこんな骨太の長編が書けるのでしょうか。そして人の人生を語れるのでしょうか。読み進めながらそのことに感動します。映画化もされましたが、活字で想像を働かせた方がよほどスケールが大きく感じられる作品です。
登場人物の背景が印象的に描かれる前半から、それが徐々にクロスしていき、それぞれの時間を経過させてイージス艦「いそかぜ」に集められていく中盤が秀逸です。そして後半では、息をのむ緊張感の中での攻防を祈るように読み進めます。
この作品を追いかけるように拉致問題が明らかになり、領土問題が頻発し、日本人は「国」が何をしてくれるのかを問うようになっていきました。軍備拡張はイージス(=盾)に成り得るのか、逆に脅威になってしまうのか、この作品を読んでから真剣に考えてください!
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後半に入りどんどんハードな展開に。
ヨンファは勿論、艦長、士官は仕方ないが、
仙石、特に如月はどうなるのかと思ったが、
最後に目が潤む思いです。
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下巻のために上巻がある感じ。
暗くはないけど、重い。
でも、日本人の特性がよく出ていると思う。
これで感動しちゃ負けだと思うんだけど、やっぱり最後はこういう収め方になるんだろうなと。
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仙谷先任伍長の人柄が、いいねぇ。
海のオトコの常に諦めないという執念が突き動かす。
如月行は、戦闘的人間。
あらゆる危機を切り抜ける。
とにかく、自衛隊オタクには、たまらない本だろうね。
自衛隊で、反乱する。
自衛艦が自衛艦を攻撃を受けた。
宮津艦長の私怨。が、ここまで駆り立てるのか。
それで、仲間が死ぬ。
戦争が始まった。反乱とは、戦争なんだね。
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今年読んだ中では一番でした。しかし、長い、文字多い。。。
そして専門用語のオンパレード。
海上自衛隊に少し詳しくなりました(^^;
SF物なのかな?と思ってなかなか手を出さずにいたのだけど、読まず嫌いでした。
6000度の光熱でしか無効化できず、1リットルで、東京を全滅させる脅威の化学兵器「GUSOH」を積んだ「いそかぜ」をどう止めるのか。
「いそかぜ」艦長の宮津、北朝鮮工作員ヨンファ 対 仙石曹長と如月行の行方は。。。
読後もとても良かった。
戦争はない方がいいに決まっている。
しかし、攻めて来られたら?今の技術では、先制攻撃で終わってしまう。
それでいいのか?
よく考えて、参議院選挙に行きましょう(笑)
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やっと読み終わった〜〜!!
いや〜、時間 かかったわ〜
最初は 難しくてなかなか読み進められなかったんですが、
話が進み始めたら 面白くて
(と言いつつ かなり時間かかったんですが)
人物描写も 細かいので、
いつの間にか その人物が魅力的になってたりして、
エピローグなんて ちょっと泣いてしまいました。
すごい長い話だから、踏み入れるのに覚悟がいりましたが、
読後感は 面白かった!よかった!
。。。です。
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映画が微妙だったからって読まないでいるのはもったいないですね。
映画も面白かったという人にはごめんなさい(^^;)
自分は小説から先にこの作品を知り、映画を見たので、小説の方が全然いいなと思いました。
上・下ともに分厚く、気負いするような作品ですが、内容は面白く、自分は一気に読んでしまいました!
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読んだのは「川の深さは」や「Twelve Y.O.」を読む前。それでも、世界観には すんなりと入っていけましたね。
暗い過去を引きずる冷徹なマシンと化した少年と、真っ直ぐなベテラン軍人。ある意味ド直球な組合せでも、魅力十分な描き方で、ぐいぐいと引き込まれました。読み終えた後は、一本の壮大な映画を見終えたかのような感覚でしたね。
最後の最後まで手を抜かない緻密な構成から生まれる、手に汗を握る展開。読み始めると、もう止められません。
間違いなく、僕の人生で出会う中でも、上位に入るだろう作品です。
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すべてを話した後、彼は自分は狂っているかとわたしに尋ねた。わたしはわからないと答えた。国家、主義、民族、飢餓、戦争・・・どれも理論では学んでいても、自分の身に置き換えて考えたことなどない。自衛官という、国防の前線に立つ身でありながらだ。(p.371)
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以前もこの著者の作品は読んだが、アクション映画的な面白さは同じく魅力的で、かつ今作は著者の政治的主張をメッセージがより色濃く出ていたと思う。著者の作品がただの小説ではなく、読者に一定の気づきを促している点は他と一線を画すジャンルとして特徴的だと思う。個人的には他作と根本は同じような展開だったので、新しいものを求める自分には少し冗長に感じたが、面白いことは確かであり、これほど一貫したテーマで作品を書き続ける作者にむしろ感服せざるを得ない。
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登場人物の過去から始まる
海と船のことは全く知らなかったけど、名称は調べながら読んだ
壮大だった
映画になりそうと思ったら、映画になってるみたい
長かったけど面白かった
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ズッコけてしまいそうな終盤の展開に、読み終わって脱力感と疲労感でいっぱい。いったい何だったのか。下巻は息つく暇も無い怒涛の荒波のようで、本から迸ってくる得体の知れないエネルギーは「あれ」のようだった。
登場人物は悪党や暴徒や権力者であるが、みな愚かで脆く、どこか煮え切らない。そこが人間臭さか。戦場にいたのはロボットでもサイボーグでもなく人間だった。
極限状態におかれた人間の狂気と本性と魂とプライドを感じる物語だった。読み終えて本当にヘトヘト。
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《いそかぜ》の叛乱が本格的に始まる下巻。
『このミサイルの弾頭は通常とは異なる』
…つまりGUSOH(米軍が秘密裏に開発したバイオ兵器。気化する事で猛毒となる液体)を積んでいる事を明言し、
辺野古から始まった日・米・そして北朝鮮の思惑を全て公開せよ、
と日本政府に迫る宮津艦長とホン・ヨンファを筆頭とした叛乱グループ。
梶本総理を中心に、警察、公安、そして自衛隊の隠密組織であるダイスで構成された緊急対策会議では
この期に及んでも尚、自身の組織の権益のみを考えた無意味な話し合いが為されていた。
そんな中ダイスの渥美は、《いそかぜ》にまだダイス工作員の如月行と先任伍長の仙石が残って戦っている事、
そして艦底に穴が開いている事を知り、突入作戦を考案する。
しかし、ホン・ヨンファはことごとく日本政府の対応を読みきり、被害者は増える一方となる。
残された時間はあとわずかとなり、日本政府は遂に『Tプラス』による《いそかぜ》の消滅を決定した。。。
非常に多くの人達が血を流す小説である。
特に“フライフィッシュ”作戦失敗における被害は悲惨の一言だ。
更に艦内においても銃撃戦が繰り広げられ、北朝鮮の工作員も叛乱に加担した海上自衛隊の幹部達も、
次々と銃弾に倒れる。
ヨンファは言う。「これは戦争なのだと言っているだろう」と。
そうした中で獅子奮迅の活躍を見せるのが如月行と仙石の2人だ。
行の鍛え抜かれた洞察力や行動力に、仙石の《いそかぜ》に対する知識と熱い魂が加わり、
叛乱グループは彼らを始末する事が出来ない。
この2人とヨンファの妹・ジョンヒとの戦いは手に汗握る展開であり、読み応え抜群。
それにしても、『GUSOU』のオチ(?というか真相)には脱力させられた。
本気でアメリカという国家を憎みそうになった程だ。
(つまり小説にそれぐらのめり込んでいた、という事)
妙な国益の為に多くの人間の命が失われ、危機に晒された。
最終的に、現場(《いそかぜ》や対策本部)にいる殆どの人物は「自らの意思を貫く」という、
純粋で根本的な考えで行動する事になったのだが、
それすらも米国に鼻で笑われているようで腹立たしくなるのである。
…というように、非常に読ませる小説だった。
重厚で難解。しかし手に汗握るし続きが気になって読み進める手が止まらない。受賞も頷ける。
映画ではわからなかった詳細なプロットがこの小説に奥行きを与えていると感じた。4.5点。
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守るべき国の形とは、個人の幸せの延長線上にある具体的でそれぞれの心の中にあるものなのですね。人によって守るべき国の形は違う。国体とは、抽象的な議論、自分の外側にあるではなく、自分の生き様、「生き甲斐」の中にある。と、この本を読んで痛切に思いました。
素晴らしい本です。
「ありがとう、お父さん。あなたは、子が誇れる父でした」ああそうか、この言葉が聞きたかったのか。。
この場面が良かったなー。
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上巻の途中から一気に進んだ物語は、
下巻もすごい勢いで進みます。
ただ展開の速さで暗いという印象はないのだけど、
なかなか重く、リアルを想像するとかなり凄惨です。
登場人物それぞれのキャラクターがしっかりしてて、
それが魅力的ではあるのですが、
少し格好良すぎな感じがしないこともないかな・・・。
最後の最後まで目が話せない展開が続き、
上下巻通して本当に読み応えがあります。
最後はまぁこうしないと仕方ないかって
終り方でしたが、まぁ悪くはないでしょう。
悪くはないでしょうと言いながら、
最後のページはむしろ好きだったりしてね(笑)
がっつり読みたい人向けです。
挫折する人もいるかもなーって感じの本ですが、
私は読んでよかった。
おもしろかったです♪
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暗い生い立ちから始まる行の生きざま。国の上層部の思惑と各官庁に付随する諜報機関たちの関係、そこにしか生き甲斐のない艦船乗り、その外側であの国が複雑に絡み合う。そんな世界観をよく造りだせたなと。これは映画にするのは難しい。
しかし、ここまで痛められても人間というのは行動できるものなのか。どんでん返しの連続が、いつまでも飽きさせないスピード感を感じさせる。
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「よく見ろ、日本人。これが戦争だ」
福井晴敏著「亡国のイージス」。上巻から時間が空いてしまったのでテンションが下がりまくりだが意を決して下巻も読む。
日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞受賞のこの作品は「祖国とは何だ。そこに生きる人々は何だ。そしてお前は何をするのだ。」とストレートに訴えかけてくる。
しかし暑っ苦しいだけじゃなく、時に淡々と書かれる文章に余計に凄みが感じられる。だからこそ、作品半ばで登場人物が言うセリフ、「よく見ろ、日本人。これが戦争だ」が迫力を持つ。
戦争を放棄した日本は軍隊の保持を否定。しかし国を守る為の「自衛隊」の保持する。しかしその力は戦力となるのではないか-。自衛隊が抱える矛盾、そしてその矛盾に対して従わざる得ない人・矛盾を正す為に立ち上がる人・そして行動を起こせない日本国。
自衛隊を、守る対象を失った「亡国の盾(イージス)」と言いきった、重いテーマの本作品、それなのに読後感がいい。
よくよく考えれば国の問題なんて何も解決されてない。全て個人の幸せで全てが払拭されているが、それでもどうして後味がいいのだ。
上巻の途中まではなかなか物語が進まない。思わせぶりぶり、布石(ひっかけ)が続くので、読書慣れしてない人はこの辺りで落ちる可能性大。
でも、後半に入ると止まらない止まらない。「あ、やっぱりそうなる?」から「あ、そう来たか!」とひっくり返される事が続くのがとても気持ちいい。
もちろん「そ、そんな偶然が何回も起っていいわけ!?」とも思うんだけど。でもでも、それらを拭っても面白い!
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再読。下巻に入ってから政府側・戦艦占拠側・戦艦奪取側・その他人物たちの視点を入れ替えつつ進む話が熱くて読み応えがありました。ラストの展開。全てがアメリカの思惑だったっていうのは何だかなって思う。福井さんはアメリカ嫌い?北朝鮮工作員についてはともかく、テロに関わったクルーがほぼ無罪放免っていう展開は綺麗な終わり方だけど納得はできないなー。どこぞかで謀殺でもされてたほうが納得できてしまうかもしれない。そして最後の再会の箇所はスッキリ終われて良かったです。
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幕の引き方に、えー…、と。
物語としてはともかく、主題「亡国の盾」は現在においてもまだまだ通用するハナシだと思う。石破さんの「国防」を隣にして読んだら、またおもしろかったかも。
Posted by ブクログ
憲法改正論議や自衛隊の機密漏洩などRWが騒がしくなってきている昨今、改めて福井晴敏の問いかけるテーマについて考えさせられてしまう。勿論、そんなこと抜きにおもしろい一級のエンタテイメントであることは諸兄の指摘の通りであるが・・・。
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がんばって読んだ甲斐がありました(笑)
キャラクター、まとめ方は王道で、わかってはいるものの
やはりほろりとさせられました
読後の満足感もかなりのもの
今でこそ、特にネットやテレビ番組を通じて国防論や外交なども
気軽に一般人が意見を述べたりしていますが
発売当時はそこまでではなかったのではないかと思います
(少なくとも自分含め自分の周りでは)
やはりこのような小説がきっかけの一端を担ったのでは
ないかと考えます
わたしのようにミリタリーなど手にとったこともなかった人間でも
ちゃんと最後まで読ませてくれて、考えるきっかけになったのですから。
(映画はちょっとあれだなあと自分は思ったけど…)
Posted by ブクログ
在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦「いそかぜ」は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。まじわるはずのない男達の人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った「楯」が、日本にもたらす恐怖とは。
「現在、本艦のミサイルの照準は東京首都圏内に設定されている。その弾頭は通常に非ず」ついに始まった戦後日本最大の悪夢。戦争を忘れた国家がなす術もなく立ちつくす時、運命の男達が立ち上がる。自らの誇りと信念を守るために。
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海上自衛隊のイージス艦艦長が、息子を殺された腹いせに、北朝鮮の工作員と組んで、東京に毒ガスをまこうとしたが、毒ガスはCIAのウソで、東京は無事だったよーん、という話。
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途中、死にそうでしなないし、大活躍といえば活躍しているのだが、なぜが中途半端な残尿感を覚えながら読み進める。講釈を垂れながらの勇敢なその姿には感動するが、如何せん話が迷路へ・・出口が見えないまますすむ。これはてっきり星3つだよな、なんて気分も後半、良い意味で期待を裏切り大満足の下巻だった。
如月行と仙石先任伍長は男の熱い友情でしっかりと結ばれるのでした。これ、一行だととても怪しいのだが、とにかく全般を通して熱いこと、熱いこと。この熱さに水をさすのは、間違いなく宮津艦長である。彼はいったいなにをしたかったのか、わかるようでわからん。
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「現在、本艦の全ミサイルの照準は東京首都圏内に設定されている。その弾頭は通常に非ず」ついに始まった戦後日本最大の悪夢。戦争を忘れた国家がなす術もなく立ちつくす時、運命の男たちが立ち上がる。自らの誇りと信念を守るためにー。
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護衛艦で繰り広げられる戦争。
海上であるが故に逃げ場もない。
非情なまでのやり取りの中に、人間らしさが垣間見られるのが、せめてもの救いだった。
2014.2.2
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「よく見ろ、日本人。これが戦争だ」とか「日本人に覚醒を促す」なんて惹句は、ホントなんだかな。
一昔前であれば、この手のものには、即、飛びついてたはず。
平和ぼけな有り様を憂い、国防やら国家がなんたらと、先のフレーズも含めて、とかくややこしい文脈のみが伝わってきてたんでね、きっとガンダム世代のお兄ちゃんらには受けが良いんだろうけどと、正直、敬遠してたのだった。
実際に、読破(この分量だとこの表現が適当)してみると、そんなことどもから想起される限りなくマイナスに傾いた憂国の念ではなく、ずっと理性的な思考に帰結しており、共感さえ覚えてしまう。贔屓のジャンルなのだから、読まず嫌いはいかんかったね。
当世流和風冒険小説。冒険の前に海洋はいらんだろう、面白し。