【感想・ネタバレ】人類資金Vのレビュー

あらすじ

資本という魔物に食い尽くされつつある世界を救うには。呪われた遺産『M資金』の継承者たる自分がなすべきことは。求道者のごとく問い続けながら世界を彷徨していた笹倉暢人は、流れ着いたアジア辺境の小国でついにその答えと出会った。自分がしたことの真の意味を知った真舟の前に立ちはだかるものは。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

いよいよこの巻で真舟一味?が何考えてるかの全貌、そして、M資金が今現在に至るまでの経緯が明らかになりました。
本庄とハロルドのやり取りには、色々考えさせられました。
結局行き着くところは。「人の善意を信じられるか否か?」なわけで、ハロルドの考えの方に共感した私は、人の善意を信じられない人間…ということなんでしょうね。

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2024年06月14日

Posted by ブクログ

前巻までの感想でも書いたと思うが、登場人物の相関関係は、筆者の過去の作品、イージス、ローズダストと同じく、主人公(本作では主人公ではないかも)な平成世代の若者とそれをサポートする昭和浪速節の中年、最後の最後で中年が意地を見せて若者を鼓舞してどうしようのない状況を打開するというストーリー展開は相変わらずで、本作の最後で中年が意地を見せ、次作に続く。絶望的な状況をどうひっくり返すのか、テーマが世界のあり方という大きな話である以上、どこまでいけるかはわからないが、ここからクライマックスに至るまでを期待したい。

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2014年04月04日

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ネタバレ

資本主義の限界というか制度疲労というか暴走というか本質的に抱えている問題の露呈、といったことをエンターテインメントのなかで語られている。僕はこういう小説、好きです。

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2014年09月14日

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 日米開戦とM資金奪取。戦後の復興に血流のように使われたM資金は、誰がコントロールしていたのか。笹倉暢人は、アジアの辺境を旅しながら資本主義の限界と危機を知ることになる。
 本作は資本主義の危機を、リーマンショックを契機に感じたことが背景にある。資本主義は、お金がお金を産み、膨張し続けている。価値が高まることで、お金も多くなっていることから、その価値が失われるという事態が起きた時に、真の価値が表に出てくることになる。100兆円という経済規模が、一瞬の内に何千、何万分の一になったら。。。そんな感覚を持っているのだ。
 実は、資本主義は確かにゲームである。価値は市場が決めるわけだが、例えばゲーム機の価値は電気が無ければ価値ゼロになる。人類が真に必要とするものは、生きていくために必要なもの。衣食住と娯楽であろう。そのものに価値というものがあるとすれば、ある前提が崩れたら価値がなくなるものを持っていることがリスクになる。例えば、現金もその一つだけど、価値がなくなったらなんてことを金融機関にいる人以外はきっと考えもしないだろう。

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2014年02月02日

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M資金が人類資金である、という説明の巻。笹倉暢人側の人間が囚われ、または監視下に置かれた過酷な状況となった。「不毛なマネーゲームを、人への投資という実体にスライドさせる」と説明された暢人の計画。行き過ぎた資本主義への著者の思いが感じられる。確かに経済はゼロサムゲームで回っていると言われると反駁できない。日本でも人口減少からマイナス成長を考慮しなければならない時代。国債、地方債の発行による借金の増大が、将来の人々にどれほどの影響を与えてしまうのか……? という薄ら寒い思いを抱いた。

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2018年05月19日

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ネタバレ

福井晴敏によるM資金にまつわる長編第5弾。
「M」が正体を明かしたことにより、ついにその計画も明るみに出、暢人もローゼンバーグの囚われとなってしまう。その時、石は、真舟は、なすすべもなく見送るしかなかった。
一方、清算人として生きてきた遠藤はある特質により優れた清算人となった。彼の父ハリー遠藤、暢人の祖父、ハロルドの祖父との関係も遠藤の回想の中で語られ、複雑な人間関係もようやく形が見えてくる。
いよいよ先が気になるが、ストーリーがどこに落ち着くのか、福井晴敏だけにありきたりな終わり方はしないだろうと期待したい。後2巻、じっくり楽しみたい。

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2015年08月22日

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背景説明や、戦後からの経済に関する記載、登場人物の過去など、なかなか本筋は進まないが、それでも、なかなか面白い、ある程度は史実を元にしていると思うので、全て本当かと思ってしまう。
最終章に向けてのストーリー、前の巻ですべてが終わったと思われた計画。全てが徒労に終わるのかと思われたとき、真舟たちの反撃が開始される。

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2014年03月29日

Posted by ブクログ

 「M資金」の謎が解き明かされる第5巻。

 資本主義の誕生からそのシステムの限界までが専門用語を駆使して説明され、その道に疎い自分としては、なかなか理解するのが難しかったのですが、それでも一気に読ませてしまうところが、作者の力量なのでしょう。

 第2次世界大戦の背景にもこの「M資金」が大きく関わっていたという展開も、あながちそうなのではないかと思わせるほど、けっこう説得力がありました。

 この巻では、ストーリー展開としてはあまり進まなかったので、次巻で一気に加速していくのではないかと期待しています。

 そして、この作品で、ただの小説ではなく、この資本主義社会を中心とした世界を救ってくれる夢を見させてほしいと願っています。

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2014年03月15日

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数字だけの富を循環させるだけの不毛なマネーゲームを、人への投資という実体にスライドさせるための善意のシステム化。数十頁にもおよぶ本庄とハロルドの資本論争だけでも、おおよそ経済誌数冊分の価値がある。

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2014年02月11日

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映画の後の世界が展開されています。
なのでネタバレには注意が必要かと思いますが、
なんだかフィクションなのか、ノンフィクションなのか
勘違いしてまいそうな感じ。
ルールを破るべきなのか、破らざるべきなのか?
破ったとしても実はそれも敷かれたレールに乗せられているのかも。
自分自身の人生も思い通りにならないことが多いですが、
(というかならない事ばかりか)
手の平で踊らされているなんて思わず、自分の足で動き、
自分の目で見たものを信じて行きたいなぁなんて思ってしまいます。

残り2巻。
あと2ヶ月待つのか、長いね。

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2013年12月22日

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次第に明らかになる『M資金』の秘密と架空のアジアの小国カペラで展開される笹倉暢人の策謀。第五巻にして、この物語の全ての材料が揃ったというところだろうか。残り二巻でどのような結末を見せてくれるか非常に楽しみである。

付加価値という実体を伴わず、信用というまやかしの中で肥大化し続ける世界経済。インターネットの出現が世界経済の肥大化に拍車を掛けて来た。この作品は世界経済への警鐘とも受け取れる。

全七巻揃ってから読んだ方が面白いかも知れない。

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2013年12月15日

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なかなか長い…この巻自体は過去の核心に触れるところがあり、それに付随する想いには、心動かされるところもあった。しかし、そこからの展開で、また元のペースに戻ってしまって、結局苦痛を伴いながら読んだ。

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2023年02月12日

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つかまった・・・

あとはM資金の起源が清算人の遠藤の視点で明らかになります。

次が最後。どうなるのかなー。

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2022年06月11日

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7作中の5作目。奪った「M資金」で後発国の支援を実行した真舟たち。しかし、「M」である暢人は「清算人」に捕まり、石は生まれ故郷であるカペラ共和国に残り、真舟は一人で日本へ帰国。もう一人の協力者の本庄も「財団」に捕えられ、みんながバラバラに…そんな状況の中で、暢人から渡されたUSBメモリーの中の情報と、「清算人」遠藤の回想により、「M資金」がどのようにして生まれ、現在に至り、このような事態になってしまったのかが、「幕間」として描かれる。戦時中の描写に関しては、作者の得意分野であることがありありと伝わる。今作は後発国へのインフラの配備や近代的な内容が多いけど、やっぱり戦争ものも強い。最初から内容自体に引き込まれているが、ここに来て、作者自身の良さも改めて実感。そして、「M資金」の「M」の意味も今作で明らかに…「ManKind」架空の話だとは分かりつつ、実在するのならば、この意味のとおりに使われるよう祈りたい。

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2017年02月15日

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前半は凄く面白かった…。暢人と石の出会い、何故、石がそこまで彼に心酔しているのか…。
これは、この戦争の犠牲になった者たちの血と涙の結晶…。すべての人間のために行使される「人類資金」であるべきだ。
真舟、石、高遠、何とか彼を救い出して!!

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2016年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

暢人らの目的は、未開の国に通信インフラとPDAを配置し、情報格差のない世界を作ることであったと明かされるが、犯行が露見してしまった以上、メンバーは捕らえられて尋問を受ける。

「始めた者はいい。どんな目に遭っても、自分で選んだことだとあきらめがつく。だが、最初からその結果を生きなければならない者はどうなる?」と言うように、終戦当時の遺産であるM資金を守ることを宿命付けられた日米の家系の物語でもある。

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2015年07月28日

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ネタバレ

思ったより面白くない。
描写が長く長く細かく、うまく作ってあるけど肝心の答えがそこかぁ。
いっそ宇宙にでも飛び出せる額なのに、PDAどまりか。
ハロルド・マーカスの言うほうが真実味がある。
PDAじゃなくて、せめて水濾過装置とか砂漠化を止めるとか空気浄化装置とか、生命へのインフラ装置じゃダメだったのか。
人への投資と言うけどもう少し別の答えはなかったんだろうか。

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2015年07月12日

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ネタバレ

まさかここで性善説、性悪説について考えさせられるとは思わなかった。
M資金の使い道、M資金が生まれる経緯が明らかにされるのだけれど、実在の人物、出来事が織り込まれて話が進んでいくものだから、なんだか小説を読んでいる、というよりは歴史書を読む気持ちになって、「え……これ全部本当のこと……?」と思っちゃいそうになって非常にアブナイ……。ドンパチが起こる巻ではなくて、M資金誕生時の人びとの思いが、それはもう熱く語られる。世界を変えるためにMの考えた方法は本当に価値があるのかを考えること、それは人間をどうとらえるかというその人の思想が関わってきて、私も「人間って……?」と思わず一瞬考えてしまった。

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2015年01月07日

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M資金の「M」 その由来も紐解かれた しかし、囚われの身となるものも 結論が奇想天外なものではなくて、少しがっかり 停滞気味の最近だけど、最後にどーんどくることを望んでる

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2015年01月04日

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グランドデザイン、過去の総括は素晴らしいのに、現代編になるとなんか矮小化して見えるのがどうにもこうにも。

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2014年05月27日

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Ⅴ/Ⅶ。

“動き”の少ない巻であったためやや間延びした感はあるが・・・、“ルール”や“財団”の謎が少しずつ明かされてきて、物語の続きへの興味は掻き立てられた。

次巻以降にも、大きく期待。

★3つ、7ポイント半。
2014.03.29.了。

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2014年03月31日

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段々と「M資金」の姿が現れてくる。
戦前・戦後の動乱を背景に、これまでの資本主義・共産主義から派生したルールとは違った経済価値観で新たな世界を切り開くことができるのか・・・

これまでの展開とは一味違った「M資金」の姿が見えてきた。

(これは、この戦争の犠牲になった者たちの血と涙の結晶・・・。すべての人間のために行使される『人類資金』であるべきだ。(P149から引用)

 今後、6・7巻がどのように終焉に向かうのかが楽しみだ。

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2014年01月04日

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主な人物のM資金への思い入れは、複雑で深遠で一度読むだけでは良くわかりません。経済活動を通して見る国の形もスッキリと見通すことは出来ません。希望はまだあるのでしょうか‥

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2013年12月31日

Posted by ブクログ

話は急展開、さてさてこの後、結末までどうなっていくのか?
結末に向かって、さらに大きく話しが進みそうな気配

人類資金の由来が明らかにされる
M資金は真に人類資金となるのか?次巻を待つ。

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2013年12月30日

Posted by ブクログ

手に汗握る展開は無いが、いよいよ『人類資金』後半戦がスタートした感じ。読んでいてフィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなるぐらい、リアル!早く6,7と読みたい。そして来年夏くらいに続編放映してほしい。

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2013年12月24日

Posted by ブクログ

終わり方が大分あっけない感じを受けました。
話の流れから考えてももう一波乱あった方が嬉しかったです。
手に汗握る展開が続いていただけに少し残念です。

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2013年12月17日

Posted by ブクログ

前巻でMの謎が明かされ、
ここにもうひとつMの謎が明かされた。
が、なんだか二巻連続であっさりしすぎな印象。
実態の無い数字だけの金に翻弄され、
その暴走を知りながらも、怪物を育てるしかない世界の
打破という試みは面白いのだけど、どんでん返しというか、
期待する波乱がない。
石や真舟は当然ながら
田、鵠沼や高遠がこれから先どう絡んで来る?

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2013年12月14日

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