福井晴敏のレビュー一覧
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マリーダやミネバだけでなく多くの人を助けたいバナージ、ミネバだけを助けたいリディ。そこにこそ大きな差が生じてしまった気がするよ
体制に抗い続ける人間、体制に呑まれてしまった人間。そういった両者を前にしてザビ家の生き残りとして藻掻き続けるミネバが手を取りたい相手なんて決まってる
だからってあの状況で瓦礫から手を離して自由落下を選択するのは度胸があるとかそんなレベルじゃないけど
バナージを信じていたから飛べる。バナージなら助けてくれると確信しているから待てる
人を傷つけ殺すしか出来なかったユニコーンでようやく大切な人を助けられたバナージは大きな分岐点を正しく乗り越えられたように思えるよ
ミネバを -
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バナージの意思で止められる筈のパラオでの戦闘。けれど、戦闘を止める為のマリーダとの会話が逆に戦闘を引き伸ばしてしまうという……
これを欲をかいたと表現すべきか、それとも戦闘を止める為に全力にならなかったと見るべきか…。また、バナージにとって不幸と言えるのはNT-Dの存在だね。ニュータイプを殲滅するシステムはバナージの意思に反して苛烈な戦闘を行ってしまう
常人には不可能な戦闘はバナージがユニコーンの処理装置となる事で成立してしまう。戦いを忌避するバナージの存在が戦いを継続させる構図はあまりに残酷
だからこそ、最後の最後に意思をねじ込んでユニコーンを止めてみせたバナージは変化の兆しを手にしたといえ -
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巻の前半はフル・フロンタルの襲撃後の話
面白いのはリディとバナージが似た構図を取り始めた事か
リディは敵方であるミネバから、バナージは敵方であるマリーダからそれぞれ異なる立場の話を聞いた。そして最終的に敵方を助けるため、もしくは敵方こそ自分を助けてくれる存在になる
よくガンダム作品は単純な勧善懲悪でも正義と悪が対峙する物語でも無いなんて言及されるけど、バナージとリディが異なる所属の人間と交流する様が描かれる事で、これまでただの敵と思われていた相手の事情が見えてきて、ガンダム作品らしくなってきたように感じられるよ
そんな中で描かれたバナージとフル・フロンタルの会談は意味深な部分が多いね
フ -
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ネタバレ毎度おなじみの「この国」のネジレの指摘。
超絶能力の主人公、哀愁ありつつ熱いおじさん、残した家族、権力争いする官僚、玉砕覚悟の特攻、アメリカの手の中にいる日本、、、著者の日本軍、自衛隊シリーズはこれで打ち止めとなった。
Twelve Y. O.(講談社、1998年/講談社文庫、2001年)
亡国のイージス(講談社、1999年/講談社文庫、2002年)
川の深さは(講談社、2000年/講談社文庫、2003年)
終戦のローレライ(講談社、2002年/講談社文庫、2005年)
6ステイン(講談社、2004年/講談社文庫、2007年)
Op.ローズダスト(文藝春秋、2006年/文春文庫、2009年) -
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99年に大藪晴彦賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞した有名な作品。
映画化もされた。
沖縄にある在日米軍基地・辺野古にて前代未聞の大規模な火薬爆発事故が起きた。
この事故により日米安保を見直そうという動きが高まる中、
今度は北朝鮮から日本の大陸を越えたミサイルの発射事件も勃発。
そうした状況の下、イージス級の最新システムを搭載したミサイル護衛艦《いそかぜ》は海上へ訓練に出る。
艦長は直前に不幸な事故で息子を亡くした宮津。先任伍長の仙石はこの航海の直前に妻に別れを告げられる。
そして海士として乗り込んだ如月行は、他の海上自衛官とは違った雰囲気を醸し出していた。
《いそか -
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テレビでよく震災に遭遇した際のシミュレーションドラマが
あると思いますが、それを文章にしただけでした。
おそらくこのタイトルの本を手にする人は、震災に対して
意識がある人たちだと思うのですが
その人たちなら周知の事が述べられていることが
多かったように思います。
しかしこの作品が発売された時はそうではなかったのかもしれません。
あれから日本はフィクションをはるかに凌駕する大震災を経験しました。
以降、震災に対する人々の意識のフェーズが変わったように思います。
文章は読みやすく主人公にも感情移入しやすいので
ストレスなくすらすらと読むことができます。
いい作品だと思いますが、震災時の身の処し