池波正太郎のレビュー一覧
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ネタバレ懸隔商売シリーズ第12弾
とにかく引き込まれる秋山小兵衛と大治郎の二人の剣客。
今の時代で言うとというたとえる人物はいないけど、いわゆる嬢王陛下の007のような存在だろうか。ほぼスーパーマンでお上ともつながり弥七など手下もいて、難題が起こってもそれをすいすいと解決して悪を倒す(^-^;)そんな秋山親子が素晴らしい。
江戸時代のしきたりの仇討ちという決まりがこの時代の人たちの大変な生き方を(主に侍だが)垣間見るにつけ、この本の逃げる人でその定めが如何に難しく酷なものかとこの一遍で思い知る。
小兵衛と大治郎おはると三冬にその息子の家族が中心に必ずいて、様々な人を助けたり事件を解決していく痛快ドラマ -
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ネタバレ・顔…人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ
男の顔をいい顔に変えて行くということが男をみがくことなんだよ
・目…何の利害関係もない第三者の目に映った自分を見て、普段なかなか自分自身ではわからないことを教えられる、それが旅へ出る意味の一つですよ
・旅行…やっぱり求心力というのは大事なものだね、何かこうしたいと思ったら絶えずそのことを思っていれば、何かにつけてそのことを目指して、無意識のうちに少しずつ段取りを進めていくからね、だから自然にそうなるということになるんだよ
・靴…人間というのはやっぱり、一つまいた種がいろいろに波及して行くわけだよ、外にも波及して行 -
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『門の外まで、牛堀九万之助は小兵衛を見送って出た。
道を曲がるとき、小兵衛が振り向くと、いつものように九万之助が権兵衛と共に、まだこちらを見送って立っており、頭をさげた。
小兵衛も礼を返してから、道を曲がった。』
池波正太郎「剣客商売」八巻(狂乱)
人を人として認め、友を終生の友として想う心根。
これは時の流れのゆるやかな江戸の世にあってのみ、あり得たことでしょうか?
激流の社会の現代ではこうした様はすでになくなった、希有なことなのでしょうか?
ひょっとして、今の人々は時の流れに翻弄されているからとエクスキューズしている、
言い訳にしているにすぎないのではないかもしれない。
と、ひま -
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ネタバレまずは作者の池波正太郎さんのプロフィールは、
1923-1990年を生き抜いた浅草生まれのチャキチャキの江戸っ子である。
下町、下谷西町小学校を卒業後、
株屋に勤めて、
戦後に下谷区の役所に勤務。
長谷川伸さんの門下に入り、
新国劇の脚本、演出を担当し、
後に直木賞を受賞し、
【鬼平犯科帳】などの膨大な作品群を発表している。
そんな昭和のダンディーな男である、
池波正太郎さんの会話形式のエッセイ本。
この本には昭和の日本人の漢の作法が
十二分に詰まっている。
経歴からしても、お堅いお役所勤めをしていた池波さんの視点は実に面白い。
ビジネスマナーというよりは
男のマナーを教えてくれてい -
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一年の風景
池波正太郎さんのエッセイのファンです。正直言って小説は読んだことがありません。「食」に関する慧眼、洞察力はすごいと思います。
本書に書かれている何気ない「食」、例えば「小立鍋」やってみたいと思いましたが「後書」の平松洋子さん(平松さんのエッセーも大好きです)の文章で池波正太郎さんの文章に惑わされては「あかん」と思いました。それだけ人を引き付けるぜ絶妙な文章だと思います。池波正太郎さんの「食」に関するエッセー大好きです。でも新作がもう無いと思うと残念です。 -
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江戸の味を食べたくなって
池波正太郎さんの小説よりも「美食家」としてのエッセーが大好きです。特にこの書籍は決して高価ではなく庶民的な食材の(とても懐かしいものばかり)文書、しかも池波先生の人を引き付ける筆致であっという間に、一気に読んでしまいました。
最近はこういう名文家が少なくなって寂しいが霧です。