あらすじ
1981年に文庫化されて以来、46刷まで重ねている池波正太郎のロングセラーが新装版に。
池波正太郎の“もっとも愛着のふかい”長篇小説!
過酷な運命の少年、杉虎之助が、動乱の世を斬り開く――。
杉虎之助は微禄ながら旗本の嫡男。生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで十三歳のとき大川に身を投げるが、謎の剣士・池本茂兵衛に助けられた。この日が波瀾の人生の第一歩だった。
幕末から明治へ、数奇な運命を辿った直参の剣士の生涯を描きつつ維新史の断面を見事に剔る異色の長編小説。
※この電子書籍は1981年に文藝春秋より刊行された文庫版を、新装版として刊行したものを底本としています。
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Posted by ブクログ
一連の幕末物語で、前回読んだ幕末遊撃隊の主人公「伊庭八郎」も重要な役割で出てきます。
まあとにかく色んな人が登場し、それがどれも幕末期の誰でも知ってる重要な人物なので頭が混乱します。
「仁-jin」なんかとも混乱しますし。。。
勝てば官軍という言葉がありますが、幕末期の徳川が封建制度の中心で悪者、倒幕側は西郷、坂本龍馬・・・等が正義のようなイメージを持っていましたが、それぞれの立場、考え方、人柄・・・そんな簡単に白黒つけられる物ではないという事がよくわかります。
私もどちらかと言えば社会科は嫌いな方で、この辺の史実は教科書ぐらいしか知りませんでしたが大変勉強になりました。
この物語に出てくる中村半次郎>人斬り半次郎>桐野利秋も素晴らしい人物なので、次に読む本は「人斬り半次郎」ですかね、やっぱり。
池波正太郎は、剣客商売、鬼平犯科帳、仕掛人・藤枝梅安・・・等、数十冊は読んでますが、まだまだだなぁ・・・。
Posted by ブクログ
旗本の嫡男として生まれた杉虎之助。
母は難産で虎之助を生んだ直後に亡くなり、虎之助も病弱。
義母に息子が生まれると、ますます家での虎之助の扱いはひどいものとなる。
思い余った虎之助は川へ身投げする。それを助けたのが池本茂兵衛だった。
虎之助は剣士、池本に頼み込み、弟子として修業の旅に出て。
久しぶりの池波正太郎。
冒頭の「非常な、難産であったらしい。」からグッと引き込まれている。
テンポもよくてどんどん読む。
眼ばかりギョロリとした痩せて色の白い陰気な虎之助が、数年後に驚くような変貌を遂げて登場する。
世の中は、黒船到来、尊王攘夷が叫ばれ、桜田門外の変、和宮の婚姻とざわつく中、虎之助も巻き込まれていく。
どうも女性の描き方が好きじゃなくて、そこが困ったけど、まだまだ先は長く、日本の混乱が続く。