【感想・ネタバレ】その男(三)のレビュー

あらすじ

1981年に文庫化されて以来、46刷まで重ねている池波正太郎のロングセラーが新装版に。
いよいよ明治! 剣を捨てた虎之助、再び戦いの渦中へ――。

杉虎之助は微禄ながら旗本の嫡男。生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで十三歳のとき大川に身を投げるが、謎の剣士・池本茂兵衛に助けられた。この日が波瀾の人生の第一歩だった。
明治維新の激動の後、床屋を開業した虎之助は、師の死の真相を知るべく、鹿児島へ向かう。

幕末から明治へ、数奇な運命を辿った直参の剣士の生涯を描きつつ維新史の断面を見事に剔る異色の長編小説。

※この電子書籍は1981年に文藝春秋より刊行された文庫版を、新装版として刊行したものを底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

久々の池波正太郎。主人公である杉虎之助は、3人の実在の人物をミックスしてキャラクターを作り上げたとのこと。病弱な侍の子が不思議な剣士と出会い、弟子入りし、心身ともに鍛え上げられる。その剣士は、幕末の混乱期になんとか国内をまとめようとする幕府の隠密で、虎之助を鍛えはしたが、平和に暮らすことを願って距離を取る。とはいえ、剣の腕前と義侠心から、やはり混乱に巻き込まれていく。その中で出会った3人の人物(幕府軍として戦死することになる伊庭八郎、人斬り半次郎と恐れられた桐野利秋、西郷隆盛)との交流を通じ、険しくも楽しい人生を送る。訳ありの女性との生活も。虎之助の人生は波瀾万丈、山あり谷ありだが、人情と友情に溢れとても楽しそうである。一方、さまざまに工作する脇役たちの矮小さ、卑怯さ、ずるさなどは読んでいて嫌になる程だが、これも人間。最後に、杉虎之助という名前にピンときた人は、もしその人が死んでいなかったらこう生きたのではないか、という想像をもって読んでいただくとまた楽しいのでは。

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2023年08月20日

Posted by ブクログ

天保12(1841)年から昭和13(1938)年まで長寿をまっとうした、何と波瀾万丈な人生なのか。凄すぎる。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

三巻立てで、一巻毎の色合いがこんなに違う小説を他に知らない。一巻目は若き剣豪誕生の物語、二巻目は維新に向う時代に愛と死と復讐の物語、三巻目は桐野利秋をサブに据えて維新の有様から西南戦争にいたる物語。また、一巻ごとに杉虎之助の語り部的な立ち位置が強くなる。このような語り部的書き方は、「天切り松闇がたり」や「壬生義士伝」など浅田次郎の専売特許かと思っていたら、凄い先立がいました。個人的な好みを言えば、一巻、二巻、三巻の順です。池波流の切り口と簡潔で小気味のいい文章はとても好きだが、維新や西南の役なら、やはり司馬遼太郎の「翔ぶが如く」ではないだろうか。

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2020年09月23日

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