池波正太郎のレビュー一覧
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全12巻という圧倒的なボリュームから読む前は凄く心配だったが…読み出してしまえばその小気味よい会話のテンポ感、瑞々しい風景描写、そしてあっけなく死んでいく登場人物たち…
文章を読んだだけで目の前に映像が色鮮やかに浮かんでくるんですよね
数多くの人々のドラマを見たかのような、長い長い絵巻物を読んだかのような…
長い間多くの人々に読まれてきた理由がはっきりと分かりました
真田丸をきっかけに読んでみようと思った本作ですが真田信之に対する印象が変わりました
やはり豆州は天下の宝…!!
忍びの活躍もいいですよね
単純に武将の手足ではないというか
言うときは言う主君との信頼関係、圧倒的な身体能力をサラッと -
Posted by ブクログ
随分前にテレビドラマで鬼平犯科帳の外伝「四度目の女房」を見て以来ずっと心に残っていたので原作を読んでみた。
「四度目の女房」だけしっかり見て、あとはサラッと読もうかなと思っていたけどとんでもない。全ての短編が素晴らしく、時代小説といえば古いもののイメージだったのが、新しい刺激を受けるばかりの一冊だった。
短編といえど短編同士で人間関係に相関があることから群像小説でもあり、視点が変われば掏摸(すり)も商人も大盗賊も、全く違う顔を見せる面白さがある。
全ての短編で根底に「情」というテーマがあって、それは愛情だったり憎悪だったりするけど、池波さんが書く江戸の「情」は現代のそれよりもっと濃いように思わ -
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ネタバレ霧の七郎
人情話、になるのかな。一度は息子を狙おうとした人物すらも、許し息子の剣の師匠としてしまう。世のため人のために使うなら悪銭すらも見逃す。ここらへんの臨機応変さは時代やなぁと。
五年目の客
元売春婦お吉が過去の売春の発覚を恐れて殺してしまうって流れは今も昔も変わらんなぁと思う。音吉の方は何も気づいてないのに勝手に恐れて抱かれるところとかは何か皮肉めいたものを感じた。結局自分のことしか考えていない女ってことがありありとわかるというか。下手にお吉が引っ捕らえられるより、罪は不問にされたけど平蔵にぴしゃりと言われる方が爽快感があるのはどうしてだろう。
密通
やっぱり鬼平は人間関係にリ -
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ネタバレひとつのことをやりながらつねに他のことにもきをくばる
神経の回り方、体で覚える
同じ時間に二つのことをやる、パット感覚で反射的にできるように日常のつまんないことで肉体を訓練する
仕事のやり方が違ってくる
理屈だけでは世の中わたっていけない
人間そのものが理論てきに成立してない
異論なめんで客観視するくんれん、色の感覚をみがく
じぶんにあうきちょうのいろというのをいめる
靴とネクタイは色をあわせないとおかしい
おしゃれは自分のためにやる、じぶんのきぶんをひきしめる
自分はどういう形のものを主張するのかを決める
指の先を引っ掻ける
ぶんそうおう、そのときの自分にあわせて、そもそもなんのために -
Posted by ブクログ
波瀾万丈の真田家の物語、ここに完結。
前巻にて大阪夏の陣が終わり、今作はその後の真田信之を中心に、主要登場人物たちのその後が描かれる。
全12巻、大変に楽しんだ。
真田父子3人のみならず、お江をはじめとする草の者たち、向井親子、鈴木右近、樋口角兵衛、滝川三九郎などなどの魅力的な登場人物たち。
真田一族の波瀾万丈の史実を中心に、草の者の活躍や真田家のお家事情などを絡めた、エンターテインメント性の高さ。
智、仁、勇で象徴される真田父子の生き様のカッコ良さ。
池波正太郎ならではの情感。
さすがに太平洋戦争を経験する世代の著者とあって、女性観などが現代の価値観からしてあまりに古いのが難点か。