波乱万丈のお福の人生だ。初めは奉公先の主人・神谷に凌辱され、恨みしか抱かなかったはずの神谷が何者かに殺されたところから、物語は大きく展開し舞台を江戸に移す。お福の急成長は、終盤で水茶屋の女主人となるところで、これまでの苦労と引き換えの結果として自分の胸にすとんと落ちた。お福の仇討に助太刀した小兵衛が、お福にとどめを刺させなかったことに感動した。これが他の時代劇であれば、とどめを刺させて目出度しで終わらせるのだろう。人にはその後の人生があり、人を殺めた過去を背負わせるようなことをさせない筆者の愛情を感じる。