池波正太郎のレビュー一覧
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真田家に仕える忍び、壺谷又五郎や、お江の父の出身は甲賀忍者です。
甲賀における忍びのあり方が描かれます。
そして物語では、秀吉に仕えていた甲賀忍びの本家と、家康に仕えていた甲賀忍び分家が手を結びます。
真田忍びのお江は甲賀に深く入り込み、脱出の際に大怪我を負います。
この四巻は、ほぼ全部を掛けてお江さんの甲賀脱出物語です。
天下人豊臣秀吉は朝鮮攻めに出ます。
上杉の人質源二郎信繁は、豊臣秀吉の元に移ります。「どうせ人質ならわしが預かろう」
真田家は海を渡り朝鮮に戦に行くことはないのですが、陣中で真田昌幸は上杉景勝、秀吉の奉行の石田三成からそれぞれ思いやりや義を受け感じ入ります。
…つまり関ヶ -
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豊臣秀吉が天下を取り、対抗するような従うような態度をとれるのは徳川家康のみ。
真田家が領土としている沼田城は、北条氏が所有権を主張し、北条の後ろには徳川、真田の後ろには上杉の構図ができます。
家康は真田家の上田城を攻めさせます。
ここは真田一族の見せ場、知略と武力、綿密な情報収集と豪胆な決断、地の利を生かし徳川の大群と互角以上の戦いを繰り広げます。
まさかの痛手に家康は徳川軍の本体を送り込もうとしますが、すると上杉景勝が真田への援軍をちらつかせ家康を牽制します。景勝の後ろには秀吉の影も見えるので、このままでは豊臣対徳川の代理戦争になりそう、さすがに家康が兵を引きます。
真田家を書く小説のため -
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天下は豊臣秀吉の物になります。
豊臣と徳川の小牧・長久手の戦い。豊臣秀吉と、徳川家康それぞれの思惑。
真田家は周辺を大国の上杉、北条、徳川に囲まれています。
豊臣と徳川が和睦したため、真田家にまた危機が。
真田昌幸は、目に入れても痛くない次男坊の源次郎信繁を上杉の人質に出すことにします。
昌幸と信繁は上杉家当主景勝から人質以上の扱いを受け、景勝に対して強烈な印象を持ちます。
二巻副題「秘密」は、真田家の若者たちの出生のこと。
こちらの小説では、真田昌幸の長男源三郎信幸は昌幸正室山手殿の子、
一つ年下の源二郎信繁は別の女の子供となっています。
そして次男が源二郎、長男が源三郎と言うことから、実 -
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全12冊もらいもの。
12冊集中して読めるかなー、途中で他の本読みながらになるかなーと思いながらも読み進んでる。
歴史小説では作者の取材や資料による作者の考察が出ているのが興味深いですね。「〇〇城の跡地は今はこうなっていて…」「この人物はこういう人だったのだろう」などなど。
物語は、武田勝頼自刃により武田家は滅亡し、武田家に仕えていた真田家は一族の存続のため新たな道を探る…というところから始まります。
真田家当主昌幸は36歳。知略を尽くして真田家存続を図ります。女性付き合いもなかなか派手で、公家から妻となった正室山手殿とは揉めています。
長男源三郎信幸17歳、年の割には老成して冷静かつ観察 -
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池波正太郎は 剣客商売 ではまった。
その中における 食のシーンが じつに微笑ましい。
この本の 食に関するエッセイは
たしかに 食のシーンが、うまく取り出されている。
池波正太郎が 何にこだわっているのかが よく見える。
大正12年生まれ という池波正太郎の 時代的な背景がある。
ひいおばあちゃんは 摂州尼崎四万石の松平遠江守の奥女中をつとめていた。
ひいおばあちゃんは 明治維新のことを知っている。
その経験が 池波正太郎に語られる。
池波正太郎は、学校を卒業して、株屋の丁稚をして、
戦争にも行き、税務署員をして。
どういうわけか 新国劇の脚本と演出もして、
長谷川伸を 師匠として、小 -
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強く強く引き込まれて、まさに一気読み!!
なにより主人公「お歌」が、とても魅力的。
心身ともに強くて、機転がきいて、かしこくて、
何より情にあつく、人のためにくるくると
よく働く。
そんな逞しいお歌さんが、心の中であらがいながら
眼光に不思議な力をもつ、強い男、馬杉源吾に
惹かれていく様子は、娘のようで、艶っぽくて。
ハラハラしたり、胸ときめかせたりしながら
読むのを止めることができなかった。
人のために、そして、やってくる状況に臆せず
心尽くして立ち向かえば、全てうまくゆく、
というわけでもないけれど、
心が春のようなあたたかで、嬉しい時がくる。
そんな希望が読後に湧いてくるすばらしい