空木春宵のレビュー一覧
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ネタバレ初めて読む作者だが、まずは作家名、そしてタイトルと、カバーイラストと、ちょっと説明を読んだだけで好みだとわかったので、ほぼジャケ買いだった。
実際全編大好きな世界観だった。
というか全編濃密。
おそらく作者が好んでいる大正時代は、1912~1926年。ほぼ100年前。
谷崎や川端や乱歩やが多感だった頃で、むしろ乱歩なんかは中年になって郷愁で振り返っていた「あのころ」を、100年後、こういう形でSFとドッキングすればよかったのか……!
と、作者の発見に、一読者として瞠目しきり。
しかも作品が目指すのは、損なわれた尊厳の奪取。
そのために虐げられた少女が設定されて、痛みを感じて、でも果敢に、取り返さんと。
百合的にもSF的にもアナクロニスト時代錯誤者にも、アア、美味しかった。
ピグマリオニスト人形愛好者は必読。
■感応グラン=ギニョル
■地獄を縫い取る
■メタモルフォシスの龍
■徒花物語
■Rampo Sicks
解説=橋本輝幸 -
Posted by ブクログ
2025/8/12にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREでの大槻ケンヂ氏のイベントに行ってきた。
20年ぶりくらいに生ケンヂに会ってきた。
彼は楽器ができない、楽譜が読めない音楽家ということで有名だったけど、
人前で弾き語りができるほどにギターを弾きこなしていて感無量だった。
途中で演奏失敗して曲が止まって「ちょっと練習するね」とか言ってたのはわざとだったはずきっと。
この本は曲の歌詞を小説にしたもの。
原曲に思い入れやイメージがかなり強かったのだけど、どの短編もいい意味で裏切られて楽しめた。
自分は辻村さんと生まれた日が近いので同じ時代を生きてきた。
藤子・F・不二雄や女神転生、よつばと、大槻ケンヂなど共通の好きなものが多くて勝手に親近感を持っていた。
この本の短編を読んで改めて若い頃に彼女と同じような感情になってたんだなあと実感。
ネットで各作者とオーケンの対談が公開されてるけど、執筆にあたってどこまでオマージュしたらルール違反かみたいなさじ加減をお互いに探り探りだったようで。 -
Posted by ブクログ
筋少の歌詞をベースに作成された短編集。どの話も、出てくる主人公は所謂「陰キャ」と呼ばれる人たちで、世間の輪の中に上手く混ざれない人たち。
そんな彼ら(彼女ら)に起こるヘンテコな話・・・なんだけど、いや~どの話も面白かった!!
元々大槻ケンヂの書く詩(筋少の歌詞)って、物語っぽいから小説にしやすいってのは想像できましたが、ここまでドはまりして読めるとは思わなんだ。
特に心に刺さったのは、一番最初の「中2病の神ドロシー」、人間椅子の和嶋慎治さん作の「福耳の子供」、そして最後の大槻氏本人作の「香菜、頭をよくしてあげよう」ですかね。
特に、最初と最後の奴、一度喪失したモノと長い月日を経て邂逅するって展開、ホントダメなんですよ。読んでて泣きそうになりました。
話の節々にちょこちょこと織り込まれる,筋少の歌詞や、映画やSF等のサブカル系?小ネタ達、これらの元ネタが粗方分かってしまう自分に閉口しつつも、ニヤニヤしながら読んでました。
しかし、この企画、第二段第三弾と続いてくれたらなと、期待しています。小説書けそうな曲(歌詞?)まだまだいっぱいありそうですもんね。「風車男ルリヲ」とか、「リルカの葬列」とか、「最後の遠足」とか(挙げたらキリがない(笑))。
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Posted by ブクログ
「そのバンド 本当はいなかった 25年見てたのは
自分の心さ 君自身の影なのさ」
“中2病の神ドロシー”より
うおぉ!筋肉少女帯の楽曲が小説に!しかも執筆陣も豪華アンド本人降臨!!
素晴らし過ぎる作品だ。筋少ファンとして思わず歓喜の涙(泣)
この作品は全6篇+装丁のアンソロジー短編集となっていて各作品のテーマとなった楽曲がタイトル(一部違うが)となっている。各執筆者はテーマとなってる歌詞を物語化しているが、まぁ、出てくる出てくる他の曲(笑)
探せば20曲くらい歌詞でてくるんじゃないかという勢い!しかもなんか大槻ケンヂの文章っぽさも感じる(寄せてる?)
筋肉少女帯愛が濃い!濃すぎる!!
物語としてはユーモア妄想日常ちょいSFファンタジーな作品揃い、バラエティ豊かで肩の力を抜いてのほほんと楽しめる。
勿論、筋肉少女帯知らない人でも楽しめる作品ではあるが、やはり各楽曲をBGMにして読むのが良いだろう。
筋少ファン、そうでない人、妄想癖とか、、暗い学生生活を送った人とか、電波受信する人とか、この世の全てを燃やし尽くしたい人とか、とにかく全人類オススメ!
「あのコは夏フェス焼け」藤田和日郎
オーケンの皮を被っていたのは…美少女!?
素敵表紙で期待感を高めてくれます!
藤田先生の別短編の「空に羽を…」という作品は
筋少の「機械」という曲をモチーフにしているので、コチラもオススメです!
「中2病の神ドロシー」辻村深月
好きだったはずのバンドが突如世界から完全に消えて無くなってしまった。彼女は存在しないバンドを探し求めて…
メッチャ綺麗にまとまってる!友達と協力してバンド探し求める姿はまさに青春小説!爽やかさを感じる作品。
「十光年先のボクへ」柴田勝家
名曲サンフランシスコ10イヤーズアフターをモチーフとした作品。
主人公ケンちゃんはこの世界は全部作り物で周りの人間に自分がそのことを知っていると気付かれてしまうと今の世界が崩壊してしまうと信じており、日々凡庸に生きているのだが…
楽曲サンフランシスコとリンクさせつつの展開にファン歓喜!楽曲もそうなのだが切なさと余韻を感じるラストが良い!
「日光行わたらせ渓谷鐵道」滝本竜彦
レティクル座行超特急をモチーフにした作品。
クラスの陰キャな主人公はその有り余るリビドーを秘密ノートに書き溜めていたのだが、クラスの陽キャ女子、踏子にそのノートを拾われてしまい…
うおぉ!オーケンのグミチョコ的なアングラ青春小説やんけ、ニヤニヤしながら読んじゃったよ。
「ディオネア・フューチャー」空木春宵
人間がハエトリグサに見えるボクと、球体関節ヒロイン“ドリュー”のSFカタストロフィ青春恋愛小説。
ライトな文体ながら切ないエンディング。
オーケンを連想させるキャラジローさんがいい味出してる。
「福耳の子供」和嶋慎治
バンド人間椅子のギタリスト和嶋慎治の筆による小説。実際の曲調は不気味な雰囲気なのだが、ほのぼのとした感じに表現されており、津軽弁がいい味出してる。
見た目の通り文学っぽい作品書くんだなぁ…
「香菜、頭をよくしてあげよう」大槻ケンヂ
満を持してのオーケン作品!曲もそうなのだが、まぁいつもの、オタク系のほほんアンドちょっぴりセンチな恋愛物な感じ。
しかし実際「頭をよくしてあげよう」って言われたら引くよね(笑)
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本書は空木春宵の第二作品集。東京創元社から創元日本SF叢書24として刊行された。この叢書の最新作は全て購入している。以前発行されたものは入手困難なので、いろいろ手を尽くして蒐集に努めている。
これまで空木春宵のイメージとしては、難読文字と当て字ならぬ当てルビでとても読みにくい酉島伝法系のSF作家だと思っていたが、酉島氏よりはそれらが幾分緩和されているようだ。基本的に、知っている漢字の方で読み進め、解らない時にだけルビを読めば良いと思っていたが、やはりどちらにも目を通した方が理解力が深まる。ぶっちゃけ、ハッキリ言って読みにくいが、我慢して読み進めると、自ずと内容の面白さに程なく気づく。なので、とにかく諦めずに最後まで読み切ることが重要である。
さて本書には5作品が収められており、どれも力作揃いの作品である。一つ一つじっくり感想を述べたいところだが、最小限に留める努力をしないと途轍もない長文になってしまう。なので、短くすべく頑張る。
<感傷ファンタスゴマリィ>
この本の題名にもなった作品であるが一番難解だった。約50ページと短いものの、もう一度時間をかけて読まないとこの作品を完全に理解することはできないと考える。特に前述のルビを如何に克服できるかポイントであろう。
<さよならも言えない>
この作品は既に Genesis で読んだ。その時に一発でこの作品の素晴らしさに感動し、特にテクノロジーのアイディアと人の心の揺れ動きの融合には驚くばかりであった。当時のインパクトが余りにも大きすぎたので、今回読んだ限りは新しい発見はなかったが、昔の感動の余韻、いや素晴らしさを再認識できて、安心しながら読み進めることができた。
<4W/Working With Wounded Women>
中編小説の長さなのだが、長さはあまり感じられず、もう一気に秒で読んでしまった。漫画やアニメではなかなか表現しにくい内容だが、主人公の微妙な心の動きに着目した内容に作り替えたらギリギリできるのではと思った。しかし、やはり直接的な痛みの表現無しでは作品の良さが伝わらない。小説で表現するのが一番バランスが取れているのかもしれない
<終景 累ヶ辻>
どうして同じ内容が何回も繰り返されるのかと思いつつ読み終えた。始点と終点が全く同じで、途中のルートが幾つも存在・発生するタイプのパラレルワールドの典型的な語法で展開された作品なのか?何か重要な仕掛けを理解できていない、読み落としているのではないかとも思った。機会があればもう一度読んでその重要性を探し出したい。
<ウィッチクラフト≠マレフィキウム>
この作品は改めて人間性、いやその様な単純な言葉ではなく人間の人間たる所以、如何に人間はあるべきか考えさせられる卓越した作品。魔女という言葉を使って差別の本質にメスを入れ、未だ日本で解決されていない現代社会の問題点をオタク青年を使ってうまく表現している。心の修行には終点が無いという残酷な結論も人間は学習しなければならない、人間の宿命に気がつかないと。
実は、「感応・・・」の方を読まずに、いきなり最新刊「感傷・・・」に飛び込んでみたが、一つ一つの作品が実に個性的なので、逆順で読んでも問題ないのではと考える。しかし、それよりも作者が寡作なので、作者の全作品を読み終えてしまったら、強烈な禁断症状が出るのではと恐れている。作品を読むことでドーパミンを溢れさせる、所謂「脳内麻薬生成小説家」という綽名を空木春宵氏にプレゼントしたい。 -
Posted by ブクログ
収録作
「屋上からの脱出」 阿津河辰海
閉じ込められた深夜の学校の屋上から抜け出す方法を探せ
「名とりの森」 織守きょうや
入ると自分の名前を奪われる森から、親友を助け出せ
「鳥の密室」 斜線堂有紀
魔女として処刑される前に、塔の最上階から逃げ出せ
「罪喰の巫女」 空木春宵
不可解な仕掛けに囲まれた神社の秘密を解き明かせ
「サマリア人の血潮」 井上真偽
謎の研究上の出口を目指し、失った記憶を取り戻せ
どれも面白い話でした。物語を全て読んだ後にもう一度読んでみると「あっそういうことだったのか!」と気づかせてくれる作者にはもうやばいとしか言いようがないです(笑)また記憶を消してもう一回読みたいです。本当に面白い話だからぜひみなさんにも読んで欲しいです。
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Posted by ブクログ
本気が感じられるアンソロジーだ。全編、妥協がない。絶対に楽しい。
「地獄のアロハ」には、池田貴族など、早逝した友人たちをモデルにした人物が出てくる。オーケンの昔のエッセイをよく読んでその時代の空気感に憧れていた90年代生まれのわたしは、ホロリときた。そして後半のカオスにオーケンやっぱり天才か…と。
「なまはげ」には東北の寒さと閉塞した雰囲気にちょっぴりの優しさ(情けかも)を加えた味わいが。
「超自然現象」には圧倒される。人間椅子と文芸を好きでいたおかげで、今日もまた新たな興奮と刺激と出逢うことができました。物語は様式美的なカタストロフィ。
「遺言状放送」を読む前に、作者の長嶋さんが芥川賞を取った『猛スピードで母は』を予習して、この作家の文章に溢れる不思議な多幸感とともに、「この人は確実にロックを信じている」という確信があったので、期待大でした。そして期待はもちろん裏切られなかった。
そしてワジーの「暗い日曜日」。彼のDNAには乱歩や太宰のみが受け継がれているわけではなくラヴクラフトだって含まれていて、その世界観を日本の風土に出現させることなど、彼の才をもってすればわけないのだ。