空木春宵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いわゆるジャケ買いでした「筋肉少女帯小説家計画」。
表紙は漫画家の藤田和日郎さん。彼をはじめとして、多くの創作に関わる人々にファンが多いのは知っていたけど、本家である筋肉少女帯の歌を聞いたことはあんまりないです。アニメ「うしおととら」のOPぐらいか。
興味はあれど、聞く機会を求めてこなかったので、聞くきっかけになるかな、と思って購入しました。
10代というか思春期が感じる違和感、疎外感、万能感、危機感、無敵感、嫌悪や潔癖、夢想に妄想、強圧や抑制、純真に偽悪、憧憬に共感、拒絶と承認。そういったもののごった煮の中から、その時の、初めて聞いた時の自分が一番欲しがっていたもの、共感できるものを見出 -
Posted by ブクログ
ネタバレ屋上からの脱出
初心者に優しい〜!フックを作りつつも読みやすくて爽やかで、再現性がありそうなトリックがあって、シチュエーションが想像しやすくて、めちゃくちゃ脱出している。優しい。学校に天文台設備があるのいいな〜
名とりの森
所謂八幡の藪知らずってやつだ。好き!ただ、すわホラーか!?と席から立ち上がった瞬間から登場人物全員ド酷い目に合うかもしれないという過度な期待をしてしまったので読み終わった時にかなり反省しました。ホラーというより一夏の不思議な物語って感じだった。
鳥の密室
魔女裁判に関わる話は全部うっすら苦手なのかもしれないという気づきを得た。原液を飲むことによって、今まで触れてきた魔女 -
Posted by ブクログ
若手作家陣による豪華読みきり短編集。全てのお話がタイトル通り「脱出」を軸に据えたミステリーです。なんとなく暗い、難しいイメージを持って読み始めたのですが、予想よりは読みやすく読後感も悪くなかったです。
「屋上からの脱出」阿津川辰海
天文部の屋上観測で起こった閉じ込め事故。それは事故なのか?
故意だとしたらだれが何の目的で起こしたのか?
高校生の話なので、思惑はあるにせよ殺人などもなく読み心地良好です。
「名とりの森」織守きょうや
民族学的昔話を調べるのが好きなノキ。皆が恐れる森に夏の探検に行こうという。しかも最も入ってはいけないという時に。そんなノキを探しに森に姉と入ったタネチン目線で話は始ま -
Posted by ブクログ
脱出
脱出をテーマにした短編ミステリー集
阿津川辰海 屋上からの脱出
とあるカップルの結婚式。友人として招かれた一ノ瀬。結婚式に参加しながら、二人の馴れ初め、そして彼らと共通の部活で起きたとある事件について、同じく招かれていたハルと話しながら詳細を思い出していく。
性格柄か、何をそんなに驚いているのか、事件の真相と隠された事実について、微笑ましいとまで読み取ったのだが、現代の読み手はこの様な事は想いがねじ曲がっていると感じるのだろうか。僕にはとある二人の行動は普通だと思うし、されたら嬉しいのだが。阿津川辰海は歴代短編も漏れなく面白いのだが、今作は登場人物のバッグボーン含めあまり楽しめなかった -
Posted by ブクログ
今回のアンソロジーは読みやすい作品が多かったように思える。あくまでも個人の感想であるが、世界観をぱっと理解できる短編揃いなのだろう。個人的に印象に残った作品は2つ。「メタモルフォシスの龍」(空木春宵)は個人的にはあまり好きではないジャンルなのだが、恋に破れると蛇化する女性と蛙化する男性、特に蛇化する女性の描写が生々しくも切ないのが良い。「されど星は流れる」は系外流星を流星同時観測の手法で探索する物語。科学を一生懸命やる話は私の好物である。遠くにある流星の母星と少し離れた観測者の男女の物語が接触しそうでしなさそうな、流星が地球をかすめていくような感じでよい。
-
Posted by ブクログ
ネタバレどの話も設定が面白く、ワクワクしながら読めた。
◆天駆せよ法勝寺
最初から世界観に驚愕させられ、そのままの勢いで最後まで読み切ってしまった。最後、大人が大人であるがため苦渋の選択し、それでも前へ進まないといけないのに対して、主人公の意識が子供から大人へと変わる様子が危うげながらも、頼もしく清々し感じられた。世界観は奇抜だけど、共感できる。
◆家の外なくしてみた
扉や窓の外が家の中と繋がっている設定は四畳半神話大系と似ているかと思ったが、こちらはだいぶポップ。2人の会話が丁寧なのにテンポが良くて読みやすかった。
◆この光が落ちないように
これも世界観がすごい。
「感情は火と同じ。」と、感情の否定 -
Posted by ブクログ
ネタバレ元々、制作する楽曲の多くが、過去の文学作品を礎にしている人間椅子、彼らの作品が今度は小説のモチーフになったということで、いわば音楽界から文芸界への逆輸入、という発想がまず面白い。
そして、そのような出自であるからして、彼らの楽曲がノヴェライズのベースとして馴染まない訳がない。
まず選ばれた5曲を見てみると、1つは筋肉少女帯との共作だが、残り4作はすべて和嶋慎治氏の手による詞、ということに少し驚いた。
また、著名な代表曲ばかりということはまったくなく、むしろコアなファン以外にはすぐにピンとこないであろう作品も。
口火を切る大槻ケンヂ氏の「地獄のアロハ」、イカ天をリアルタイムで観ていた世代にとっ -
Posted by ブクログ
なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。
第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても!
その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な