あらすじ
昭和初期、浅草六区の片隅に建つ芝居小屋。ここでは夜ごと、少女たちによる残酷劇が演じられていた。俳優たちは座長の方針で、ある特殊な条件のもと集められ、共同生活を送っている。ある日、容姿端麗で美しい声を持つ新人が現れた。本来ここには「完璧な少女」は存在してはいけないはずなのに、なぜ? 彼女の秘密が明らかになるとき、〈復讐〉が始まる――。分かち合えない痛みと傷を抱えて生きる孤独な魂を描いた全五編。退廃と奇想、呪縛と変容。唯一無二の世界を築き上げる創元SF短編賞出身の鬼才、空木春宵のデビュー作がついに文庫化!/【目次】感応グラン=ギニョル/地獄を縫い取る/メタモルフォシスの龍/徒花物語/Rampo Sicks/解説=橋本輝幸
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Posted by ブクログ
初めて読む作者だが、まずは作家名、そしてタイトルと、カバーイラストと、ちょっと説明を読んだだけで好みだとわかったので、ほぼジャケ買いだった。
実際全編大好きな世界観だった。
というか全編濃密。
おそらく作者が好んでいる大正時代は、1912~1926年。ほぼ100年前。
谷崎や川端や乱歩やが多感だった頃で、むしろ乱歩なんかは中年になって郷愁で振り返っていた「あのころ」を、100年後、こういう形でSFとドッキングすればよかったのか……!
と、作者の発見に、一読者として瞠目しきり。
しかも作品が目指すのは、損なわれた尊厳の奪取。
そのために虐げられた少女が設定されて、痛みを感じて、でも果敢に、取り返さんと。
百合的にもSF的にもアナクロニスト時代錯誤者にも、アア、美味しかった。
ピグマリオニスト人形愛好者は必読。
■感応グラン=ギニョル
■地獄を縫い取る
■メタモルフォシスの龍
■徒花物語
■Rampo Sicks
解説=橋本輝幸
Posted by ブクログ
文庫にて購入
めちゃくちゃ自分が望んでいた内容の本だった
耽美・不思議な世界観・残酷
こんなに想像しやすいのに詩的な文章表現ができるものなのかと圧巻
感傷ファンタスマゴリィの文庫化を切に願います
Posted by ブクログ
異形コレクション「メロディアス」に収録されていた「h〇le(s)」がとても良かったので直近で文庫化されていた著者の単著を買ってみた。
どの作品も身体性と痛みを強く感じさせる内容で、江戸川乱歩的な耽美さや幻想文学的なアプローチでありながらもしっかりとSFになっている。
一貫してままならなさの絶望とある種の呪縛からの解放が描かれているというのもよかった。