標野凪のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ美味しいご飯が出てくるアンソロジー。タイトルと表紙に惹かれて手に取った。
あくまで私の個人的感想なので好きな人には許して欲しいのだけど、1話目のスクランブルエッグの話はかなりビミョーだった。
でも2話目の「ひめくり小鍋」がなかなか良くて、季節柄お鍋いいなー、しかも1人用のやつ!
主人公の行動や、合言葉が必要とか、まあツッコミどころはあるのだけど。
3話目の、背脂ラーメンの話がいちばん面白かった。途中まで、この人、殺人を犯したのでは?とドキドキしながら読んでいたら、違ってかなりホッとした。でも、自分のほんの小さな悪意が、ある人を事故死に追いやったのでは、と苦悩していた。その男性の友人もまた、同じような理由で(この人の場合は悪意でもない、事故死した人の自業自得)、自分の行動のせいではと悩んでいて、2人で深夜に「麺固め味濃いめ脂は銀世界」という、なんかすごそうなラーメンを食べて、「罪悪感を分け合おう」と提案してきたのだ。
法律的にはなんの罪にも問われなくても、本人は一生引きづりそうな‥でも遺族から見たら、モヤモヤしそうな‥難しいけど‥落とし所としては、ベターだったかな、と思う。
ペンションの話は、オーナー夫妻のダンナさんが良い。クマと間違われるほどの体格なのに、奥さんには頭が上がらない。
一方的に振ってきた元カレを引きづる主人公と、デリカシーのないタクシー運転手に最初はイラつくものの、オーナー夫妻の人柄の良さに緩和されて、悪くない読後感だった。
深夜にファミレスに集う、アラフィフ女性の夜食会の話。年代が近いせいで、彼女たちのおしゃべりに自分も参加しているような錯覚を覚えた。なんか楽しい!そして、語り手の女性の違和感に気づき、読み進めていってああ、やっぱりとなる。
せつないけど、楽しい物語。深夜のファミレス、いいなー。
最後は、近藤史恵さん。さすが!という感じで面白かった。背徳感のあるラーメンを食べるために、ダンナに一服盛る料理研究家の女性。普通に考えれば、かなりあり得ない行動だけど、彼女の生育歴を見ると同情できる面もある。そして、
ダンナさんの懐の大きさが見えるラストはお見事!
ちなみに、この本で私がいちばん惹かれた料理は、2話目の小鍋。うち、家族多いので、1人用鍋に憧れがある笑 -
Posted by ブクログ
丘の上にある博物館は、少し変わったものが展示されている。
それは、役目を終えて必要とされないものや誰かの失われたものたちだが、その人にとっては大切な記憶の欠片である。
みんなから『別れの博物館』と呼ばれるこの博物館で働くカケスは、数字や計算が苦手でディスカリキュアの障害がある。
だが、この博物館に持ち込まれた「物」の声が聞こえる特殊な能力を持っている。
収蔵番号【一】 館長の〈数〉
収蔵番号【二】喫茶店に飾られていた〈額〉
収蔵番号【三】帽子作家の〈針〉
収蔵番号【四】手話ボランティアの〈耳〉
収蔵番号【五】数学教師の〈名〉
もうひとつの収蔵番号ー着られることのない〈服〉
帽子作家の自分の引き際を感じたときや手話ボランティアの人生の終わりに向かう恐怖というのが、とても身近に感じた。(つい最近、職場の同僚が白内障の診断を受けて悩んでいたので…)
次第に衰えていく自分を正面から受け入れることができずに手放すということは、残酷なほどに辛いことだろうと思った。