標野凪のレビュー一覧
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「夜食」にまつわる6篇の短編集。
夜のご褒美とは…
夜に何かを食すということは最近なくなった。
まぁ、TVドラマを観ながらボリボリとお菓子を食べることはあるが、何かを作ってまでは食べない。
いったい、どんなご褒美だろうかと読む。
短編なのでサクサク読めた。
何度か読んだことのある作家さんばかりなので、読みやすかった。
なかでも「ペンション・ワケアッテの夜食」が良かった。
ワケアッテがその分け合ってだとは思いもしなかったが…驚きの体験から気持ちもスッキリしてここに来て良かったじゃないかと。
そして、たぬきおにぎりも美味しそう。
麺つゆと天かす➕シソなんて最高ではないかと…
真似したい。
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『誰かの失われたものたち』が持ち込まれる『別れの博物館』。
館長の青年、カケスは算数障害だが、収蔵品の声を聞くことが出来る。
日が出ている間だけ開館する博物館で、様々な収蔵品が語るエピソードを聞く連作集。
収蔵品が『失われたもの』そのものではなく、象徴する物でも良い…例えばカケスの場合なら数字の代わりに算数ドリルの束だったり、耳を預けに来た女性は耳を象った石膏だったりという点だったり、全体的に静かで穏やかな雰囲気だったりというのは、小川洋子さんのテイストを思わせる。
それぞれの物語は穏やかな中にドキッとするようなエピソードが混ざり、それを手放すに至る人々の気持ちもそれぞれで、だがそれをただ -
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ちょっと心が疲れてしまった人が、偶然辿り着くのは、おひとり様専用の森のカフェ。
森といっても本当に深い木々の中にあるのではなく、住宅地を、ほんの一本奥に入ったようなところで木々に隠されるように佇んでいます。
小さな森の、小さなカフェのオーナーは、「そろり」と名乗り、肩の荷を下ろして休みたい人に寄り添ったメニューを提供してくれる。
連作短編ですが、この本の中の時期はちょうどコロナ禍で、誰もが少し疲弊しています。
それに加えて、SNSに振り回されたり、夫婦の在り方に悩んだり、働き方に悩んだり。
そんな大人の、ガス抜きの場所。ちょっと立ち止まって、リフレッシュ。肩に乗った荷物はおろして、暖かなもので -
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喫茶店という静かな場所で紡がれる日常の描写や、料理を通して人がゆるやかにつながっていく雰囲気がとても心地よい作品だった。
一方で、読み進めるうちにナレーターの語り口が強く印象に残った。出来事や感情を丁寧に説明してくれる語りは優しさでもあるのだが、私には少し距離が近く感じられ、物語の中に静かに入り込む前に現実へ引き戻されてしまう瞬間があった。
私は登場人物の言葉や仕草から気持ちを想像する余白のある文章が好きなのだと、今回の読書で改めて気づかされた。
好きな世界観だからこそ語り手の存在が際立ってしまったが、その違和感も含めて、自分の読書の好みを知る一冊になったと思う。
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死者の世界と現世を行き来し、想いを伝える「伝言猫」のふー太を主人公にした、ファンタジー要素のある物語です。本作を読んで強く心を揺さぶられたというよりも、「自分にとって会いたくても会えない人は誰だろう」と考えるきっかけになりました。
ここで描かれる「会えない」は、距離や心の問題ではなく、死によって物理的に会うことができなくなった存在のことだと感じます。会えなくなる前に会っておかなければならない人がいる、という当たり前のことを改めて意識しました。
私にとってそれは、小学生の頃に若くして亡くなった祖母です。当時は考えもしなかった人生の話や、庭に咲く花ことを、今ならもっと聞いてみたかったと思います。
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喫茶店を訪れる人たちの悩みに対して、店主がカフェメニューを通して言葉を添えていく構成の物語です。シチューや保存食、サンドイッチといった料理は、心情を直接なぞるというよりも、会話のきっかけとなり、悩みを少し軽くしてくれる役割を担っているように感じました。読んでいると、カフェでほっと一息つきたくなります。
人まねじゃなくて、自分の価値基準を持つ。自分が快適なら、それが理想の暮らしになる。他人の基準に振り回されて自分を見失ってはもったいない。自分がいいと思えばいい。ただ、そのためには自分の研ぎ澄まされた志を持つことが大切なんです。
という言葉が印象に残りました。何かを急いで変えることを求めるのでは