織守きょうやのレビュー一覧
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ネタバレ元フィギュアスケーター、現デザイナーの塩澤とトップスケーターの志藤の話。
この2人の関係がめっっっちゃくちゃ好きなんやけど、間に挟まる転落死と不穏な描写のせいで気持ちがあっちこっちしてる。志藤が好きで隠して友人付き合いをしている塩崎と、そんな塩崎を友愛として好きで彼がスケートを辞めてからも交流を絶たない志藤。この2人の関係が気になりつつやはり過ぎる転落死。志藤のまっすぐさに絆され、塩崎の内心のパニックや潔さに笑えて、この2人の選ぶ未来が明るいものであってほしい。
そして不穏な顛末に待って落ち着けいやちゃうやん、ってそれまでニマニマしてたのにめちゃくちゃ焦る落ち着け。そして間の不穏さが飲み込め一 -
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素敵なお話だったな、と総括して思う。
この作品を通して、辛かった記憶とどのようにして向き合うかを問われていたような感覚がずっとあったし、やはり真摯に向き合って生きていくことが大切だと感じるが、私が一番心に残っているのは夏生と芽衣子の対話シーンだった。
芽衣子は夏生が受け入れてくれていたから正しくあれたと言うし、夏生は芽衣子を守りたい一心でいじめられていた芽衣子を救い出していた。正しく有る、ということの根源には大切な人を護りたいという気持ちがある。寧ろ、護りたい人がいるからこそ正しく、強くなれるのかもしれない。
沢山好きな場面が多かったので、ここには書ききれないと頭を悩ませているが、そう思える作 -
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「わたし綺麗?」、「これでも?」とマスクを外す。逃げても高速走行が可能で追いつかれる。子供の頃の夕暮れには、近くに居たら?と疑念を抱き恐怖心を煽られた。
幾多の都市伝説は見聞きするが、記憶を消せる人がいるとの話はこの本で初めて出会った。突如、身近な人が痴呆が発症した状態に出くわすことを想像すると、呆気に取られる自分が見える。しかし、記憶が抹消され負の経験を無かったことにできるのは好都合かもしれない。
「記憶にございません」「覚えている訳がない」と平然と述べる先生方は記憶屋が実在したら厚みのある札束と引き換えにメモリー消去を依頼するのかな? -
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ミステリーファンの方には物足りないかと思いますが、成就するはずのない秘めた恋を遂に伝えてしまう、そこに至るまでの心情が切ない
ラブミステリー♡
フィギュアスケーターとしてライバルとして多くの時間を過ごした二人 シオとシドー
引退後デザインの仕事につくシオ
トップスケーターの地位を守り続けるシドー
立場は変わっても適度な付き合いを続ける二人
恋愛としてシドーを好きなシオ
スケーターとして友人としてシオが好きなシドー
二人の関係の落とし所を探す会話が尊い
これがシマシマ本でないのです
ラストまで読んで、off stageと題されたミステリー感を高めようとしている章を読み直してみたんですけど こ -
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ネタバレ遼一が事実を知った後に真希が今後力を使わないような未来が揶揄され終わるものかと思っていたので最後の結末に驚いた。真希なりのこれまで背負ってきた事への償い方なのだろうか。だとしたら真希がどうしようもなく救われない独りぼっちの存在になってしまうので悲しい。
記憶を消すことは逃げの選択であり苦しい思い出も抱えて生きていく事こそ美徳だと私は思う。辛い経験があったときに、記憶屋に頼らずとも忘れようとする選択肢を取りがちな自分に対し後ろ指を刺されている気持ちになった。これからそういう経験があった際に忘れる選択肢を早計に取らず、向き合おうとする人間でいたいと思う。 -
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記憶という厄介なものを考える時、そこにはどうしてもその人の感情が含まれる。記憶が厄介なのは他人の感情、ましてや自分の感情ですら分からない故なのかもしれない。
人の記憶を消す「記憶屋」を通して、何が正しく何が罪でという判断がすごく難しく描かれていた。きっとあの人の為になる、だって周りもそう思ってるし、あの人もそう思ってるに違いない、それは真実なのかもしれない。しかし、実はそうでないかもしれない。その善意が必ずしも正しいこととは限らない。善意の行動をとった後にも、どこかで本当に良かったのだろうかと少しの後悔が残る。そんな居た堪れなさや喪失感を感じる物語であった。
誰しもが持ち得る、忘れたくても忘れ -